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スキルは


いよいよ今日はスキルが授かる日だが、例の母さんの話のことも有るし、あまり期待はしていない。

街の教会へ向かうと、同じように成人したと思われる人達がいた。

数は、男性が俺を含めて3人、女性が1人の計4人だ。思ったより少ないな。


どの人も綺麗な服を着ていることから、きっとお金持ちに違いない。

俺? 俺は……まぁ、そう言うことだ。聞かないでくれ……



「儀式を受ける方は中へとお進みください。」



司祭様がそう言うと、ぞろぞろと教会の中へと入って行った。俺も行くとしますか。

教会の中はちょっとした空間で、神聖な感じがした。そして、前方に女性を模った石造と、それを囲むように長椅子が4脚有った。

全員が長椅子に着席すると、司祭様が話し始めた。



「では、これから成人の儀式を始めます。最初の方、こちらへどうぞ。」



どうやら右から順番に行うみたいだ。と言うことは、俺は最後だな。

まずは男性からだ。石造の前に進むと片膝をついて祈りを捧げると、一瞬体が光った。

もしかして、これがスキルを授かるってヤツなのか。



「『剣術』か。よし!」



男性がポツリとつぶやいてガッツポーズを取った。

どうやら本人には何のスキルが授かったのかが分かるらしい。

そうか、授かったのは『剣術』か、俺も狙っているスキルだし、ちょっと羨ましいな。


次に進んだのは2人目の男性だ。同じように祈りを捧げると体が光った。



「よし! 『算術』だ。これで商売がやりやすくなる!」



どうやら2人目は『算術』のスキルを貰ったみたいだ。喜んでいるってことは商人なのかな?

次は唯一の女性だ。この人はどんなスキルを授かるのだろうか。

女性が祈りを捧げると、2人の男性とは違って少し強く光るのだった。



「・・・・」



だが、女性は特に何かを言うことも無く、そのまま席へと戻った。

そうか、別に授かったスキルを言わなくちゃいけない訳じゃないんだな。

まぁ、何を貰ったのか気にはなるけどね。


そして、いよいよ俺の番だ。

同じように石造の前に進み、片膝をついて目をつぶって祈りを捧げる……

すると、頭の中に文字が現れた。



「MMORPG? 何だこりゃ?」



見たことも聞いたことも無いスキルを貰ってしまった。

混乱している俺を他所に司祭様が終わりを宣言した。



「以上で成人の儀式は終了です。頂いたスキルを活かすも殺すもあなた達次第です。頑張ってください。」



これで儀式は終わりだ。他の儀式を受けた人達はゾロゾロと外へと移動していった。

部屋を出るとき女性がチラリとこちらを見ていたが、呆然としている俺は気が付かなかったのだった。




・・・・




家に帰ると、母さんが出迎えてくれた。



「お帰りなさい。」


「ただいま。」


「それで、儀式の方はどうだったの?」


「よくわからないスキルを貰った。『MMORPG』だってさ、母さん知ってる?」


「う~ん……ごめんなさい。聞いたことは無いわね。」


「だよね。」


「なら1度そのスキルを使ってみたらどうかしら?」



そうか! そうだよね! 使ってみればどんなスキルなのか分かるってもんだ。

よし、さっそく使ってみるとしよう!



「……スキルってどうやって使うの?」


「えっと、私の場合だと、裁縫道具を持つことで、どうしたら良いのかが分かるって感じかな。」


「それだと、『MMMORPG』って何をすれば良いの?」


「……そうそう、お洗濯が残ってたんだっけ。あ~忙し忙しいっと♪」



母さん……知らないなら知らないって言ってくれよ……

その後、色々と試しては見たのだが、結局『MMORPG』とは何が出来るのかさっぱり分からなかったのだった。


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