ホーンラビット狩り
冒険者ギルドを出ると、外は昼間に変わっていた。どうやら初心者講習を受けている間に変わっていたらしい。
「とりあえず武器も手に入れたことだし、ホーンラビット狩りにでも行ってみよう。確か街を出て少し歩けば出会えるんだったよな。」
門を出て外に出た俺は、そのまままっすぐ進むことにした。
途中で出会ったスライムを倒しつつ、進んでいると、白い綿毛のような生き物を見つけた。
「あれがそうかな?」
とりあえず隠れて様子を観察してみると、白い綿毛が動いた。うん、角が生えているウサギだったので、ホーンラビットで間違い無いだろうが、ずいぶんと大きいんだな。
どうも、俺の知っているウサギの4倍はありそうだった。だけど、あれだけ大きいのならば、肉も沢山取れるに違いない。よし頑張って殺るか!
俺はウサギの後ろ側に回り込み、静かに近づいて行く……が、ある程度近づくと、ホーンラビットの耳がピクピクと動くと、こちらへと顔を向けた。
「バレた!」
奇襲に失敗したので、俺は剣を構えて走り出した。
「てやぁ!」
俺は近づいたホーンラビットへと切り付ける!
ザシュ!
俺の攻撃は見事命中! ……したのだが、ホーンラビットは、血どころかダメージも見受けられなかった。何故だ!
代わりと言っては何だが、ホーンラビットの上に緑のバーが現れた。見たところ緑のバーは4分の3程減っていた。と言うことは、あと1回切れば倒せるってことだな。
「おっと!」
俺はホーンラビットの攻撃を避けた。スライムよりは動きが速いが避けられない速度ではない。これなら問題なく倒せるな。
さっさと倒してしまおうと攻撃を仕掛けようとしたところで、ホーンラビットの足元が一瞬光ったと思ったら吹っ飛ばされた。
ドカッ!
「うわあぁぁ~~!! ……って、あれ? 痛くない?」
それなりに衝撃は有ったのだが、少し強めに押されたって感じの衝撃だった。
実際2,3歩ほど後ろに飛ばされたけどな。
「まぁ、痛くないなら問題ないな!」
俺が切りつけると、ホーンラビットを倒れて、そのまま消えていった。
そして、ホーンラビットが消えた場所には、肉が落ちていたのだった。
とりあえず落ちていたものを拾うと、勝手にストレージへと収納されたのだった。
「追突されたときはちょっと驚いたが、ホーンラビット程度なら問題なく狩れそうだな。……あれ?」
ふと、画面の右上のHPバーが少し削れているのに気が付いた。
「もしかして、これがましろさんが言っていたダメージってやつか?」
数値が『108/115』となっているので、おそらくダメージを7食らったと言うことなのだろう。あと16回食らうと死ぬってことか……
俺はブルりと体を震わせるのだった。
「それにしても、この減ったHPを元に戻すにはどうすれば良いのだろう?」
ふと、あまりりすさんの露天を覗いた時のことを思い出した。
「そーいや、あの時、初級HPポーションってのが売っていたな。もしかして回復させるのにはアレが必要なのか?」
だとしたら初級HPポーションは必需品だ。仕方がない、俺も死にたくは無いので、結構高かったけど買ってくるとしますか。
一度街へ戻ろうとしたところで、あることに気が付いた。
「あれ? HPが回復している!?」
そうなのだ、減っていたHPだが、いつの間にか元に戻っていたのだ。
「何で!? 俺、HPポーションってやつを飲んで無いんだぞ?」
考えていても分からないが、助かったことだし良しとしよう。
「問題ないなら、後何匹かを狩って近所の人にも配ることにしよう。」
俺はホーンラビットを探しに彷徨うのだった。
・・・・・
「てやっ!」
ザシュ!
今回は、無傷でホーンラビットを倒すことが出来た。
「お肉、お肉♪ あれ?」
ホーンラビットが消えた場所にはお肉が落ちなく、代わりに毛皮が落ちていた。
「はぁ? 何でお肉が無いんだ? おかしいだろ!」
文句を言っても誰も答えてはくれなかった。
「仕方がない。次だ次!」
・・・・
ザシュ!
3匹目を倒したら、今度も毛皮だった。
「だああぁぁ~~!! 肉を寄越せ! 肉を!」
・・・・
4匹目は角だった。
「マジかよ……」
そして5匹目になって、ようやく肉が落ちた。
「やっと2個目だ。」
普通では考えられないことなのだが、どうやらホーンラビットを倒しても必ずしも肉が落ちる訳では無いみたいだ。
今のところ入手出来たのは、肉が2個と、毛皮が2枚、そして角が1個だ。今のところこの3種類だけだが、もしかすると他にも落ちるのかもしれないな……




