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薬草採取


昨日と同じ場所までやってきた。



「確か集中して見るんだったな。」



何ヶ所か▽のアイコンが出たので近づくと、画面に〇が現れたのでタイミングよく押して採取していく。

何本か収穫してふと気が付いた。ストレージに入っている薬草を手に取ると、▽アイコンのある場所を探してみた。



「アイコンが出ている場所に薬草って無いけど、何で薬草を採取出来るんだろう?」



相変わらずこの世界は謎が多いが、そういうものだと思うしか無い。俺は無理やり納得することにした。




・・・・




「ふぅ~、疲れた……」



あれからかなりの数の薬草を採取したのだが、体力的と言うよりは精神的に疲れたのだ。

どうも、あのタイミングを合わせるってのが苦手みたいだ。未だに7~8に1本くらいの割合で失敗していたのだ。



「残り何本だろう。」



ストレージを確認してみると、『薬草 ×114』と記載されていた。



「あれ? もしかして終わってる!?」



数えてなかった俺も悪かったが、何かしら教えてくれても良いんじゃないか? まぁ良いけどさ……

それにしても、後1本有れば、追加で3つの依頼を完了できるのでは? もっと集めれば、いちいち薬草を取りに来なくても、その場で依頼をどんどん完了させられる!?



「俺って天才かも。」



俺は思わず笑みがこぼれてしまった。よし、頑張って薬草を集めまくるぞ~!!




・・・・




「つ、疲れた……」



あれからずっと薬草ばかりを集めまくった。ある時点で突然薬草採取のアイコンに近づいても採取出来なくなったので、ストレージを確認したら『薬草 ×999』となっていたので、どうやら999本以上は採取出来ないみたいだ。



「出来ればキリが良い1000本にしたかったのだが……仕方ないか。」



それにしても、やっぱりこの世界はものすごく変だ。

かなりの時間を薬草採取に費やしたと言うのに、いまだに夕刻になっていない。と言うか、太陽自体が無い? なのにここに来てからずっと昼間の様な明るさが続いているのだ。

時間の感覚が狂いそうだ……と思っていたら、突然夕方になり、そのまま夜になった。あまりの急な時間の変化に頭が付いてこない。



「な、なにが起こったんだ?」



さっきまで昼間だったんだぞ? 夕方から夜になるのに10を数えるくらいしか無いのは、どう考えてもおかしすぎる!

俺が混乱していると、周りに不穏な空気が漂い始めた。



「ワオォォ~~~~ン!」



マズイ! ウルフの群れだ!! このままだと襲われるかもしれない。



「と、とにかく急いで街まで戻らなくちゃ!」



俺は急いで街に向かった走り出した。




・・・・




「ガウッ!」


「あぶなっ!」



俺は今ウルフの群れに追われている。今も何とか攻撃を避けたところだ。

AGIを上げておいて良かったぜ。上げていなかったら、今頃はウルフのお腹の中だったぜ……とは言っても微妙にウルフの方が足が早いんだけどね。だから追いつかれているとも言う。くそっ! 街まであと少しだと言うのに……



「「ガウッ!」」



今度は2匹同時に飛びかかってきた。これはもう駄目だな……母さん、親不孝な息子でゴメンよ……


ヒュン!



「キャイン!」



その時、どこからともなく矢が飛んできてウルフを貫いた。凄い、1撃で倒した!

続けて飛んできた矢により、もう1匹も倒された。



「キャイン!」



残った2匹は、仲間が殺されたのを見て、あっさりと逃げて行った。



「た、助かったぁ~~~!」



俺は腰が抜けて座り込んだ。すると1人の男性が怒りながら近づいてきた。



「てめぇ! 何トレインなんてやってるんだよ! 悪質プレイヤーとして運営に報告するぞ!」


「ご、ごめんなさい。」



トレインとか悪質プレイヤーとか運営とか分からない言葉を続けて言われてしまったが、ウルフを引き連れてきたのは間違いないので、何も文句は言えなかった。

そんな俺の落ち込んだ姿を見た男性は、声を掛けてきた。



「ひょっとして、お前って初心者か?」


「あ、はい。」


「なるほど、だからか。」


「えっと、どういった意味でしょうか。」


「夜になると、モンスターがノンアクティブからアクティブに変わって襲われやすくなるんだが、知らなかったで良いんだよな?」


「はい。」



ノンアクティブやアクティブがどういった意味なのかは分からないが、とりあえず頷いていおく。



「だろうな。そんな装備をしてるんだし、縛りプレイか初心者以外にはありえねーもんな。」


「はぁ。」



縛りプレイ? 自分で縛るってことだろうから、何か特殊な性癖ってことか? 俺は正常だぞ。



「初心者は夜は出歩かねー方が良いぞ。気を付けるんだな。」


「でも、突然夜になったし、どうやって判断すれば良いんでしょうか。」


「それも知らねーのかよ、ったく面倒くさいな。」



知らないから聞いたのに、何で文句を言われるんだ? 理不尽だ。



「まぁ、初心者なら仕方ねーか。ほら視界の上に太陽が有るのが見えんだろ。いや、今だと月だな。」



言われてみれば一番上部の左端に、小さな黄色い〇が有った。これがそうかな?



「それが視界の右端に来たら、昼になるんだ。逆に太陽が右端に来ると夜に変わる。これが12時間間隔で行われるんだ。」


「そうなんですね。」



12時間ってのがどのくらいの長さなのかは分からないが、おそらく俺のいる世界の昼間の長さくらいなのだろう。



「まぁ、これからは強くなるまでは昼間だけ行動して、夜は街中に居るんだな。

 もし、強くなって夜も出歩けるようになったら、トレインなんてしないでちゃんと倒すんだぞ。」


「わかりました。」



トレインの意味は分からないが、話の流れからすると、ウルフを連れて逃げることなのだろう。覚えておこう。



「じゃあ俺は行くからな。気を付けて帰れよ。」


「はい。色々と教えていただきありがとうございました。」


「へっ、気にすんな。あばよ!」



男性はそう言うと、颯爽と去っていった。

口は悪いが悪い人じゃなかったっぽいな。命を助けてくれたことだし感謝しておこう。

俺はそんなこんなで、無事に街へと戻ることが出来たのだった。


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