相談
「ただいま。」
「ケイン、お帰りなさい。夕食が出来ているから手を洗ってきなさい。」
「わかった。」
相談は食べ終わってからで良いか。まずは手を洗いに行こう。
手を洗いテーブルへと着くと、母親がすでに座って待っていた。
「「いただきます。」」
今日はいつものメニューだった。さすがに肉は無かったか、残念……
食事も終わり、お茶を飲みながら食休みしている。よし!
「母さん、ちょっと相談が有るんだけど良いかな。」
「なぁに?」
「俺、冒険者をやりたいと思うんだけど、母さん的にはどう思う?」
俺がそう言うと、母さんの動きが止まった。
「母さん?」
「あなたも父さんと同じく冒険者を目指すのね……」
それを聞いた俺は、その言葉の意味を理解した。そうだった、俺の父さんは冒険者で、帰らぬ人となったんだっけ。
もし俺が死んだら母さんは一人ぼっちになってしまう。俺は馬鹿だ!
「ご、ごめん。今の話は無しにしてくれ。」
「ケイン……」
お互い顔を伏せてしまい、沈黙が辺りを支配した。
しばらくその状態が続き、俺はどうしたら良いのか分からない。何か話題を変えなくてはと考えていたら、母さんがポツリポツリと話し始めた。
「母さんは、ケインのやりたいことを応援するわ。好きにやりなさい。」
「でも!」
「いいの。だってあの人もそうだったから……やっぱりそう言ったところは親子よね。」
「・・・・」
「でも一つだけ約束して頂戴。必ず帰ってくるって。」
「も、もちろんだよ! 約束する!!」
「なら、母さんからは言うことは無いわ。」
「ありがとう。母さん……」
こうして母さんの許可が貰えたのは嬉しかったが、約束した以上、必ず生きて帰らなくてはならない。
せっかく強くなれるためのスキルを授かったのだ。十分に活用させて貰おう。
自分の部屋へと戻ってきた俺は、ベッドに座りステータスを眺めていた。
「あの様に言ったは良いけど、結局どういう風に上げれば良いのか、全然分からない。」
単純に死ににくくするのならVITを上げれば良いのだろうけど、敵を倒せなければ結局死ぬだけだからSTRは必要だ。
でも、STRを上げてもDEXが低いと攻撃は当たらないらしい。そうするとSTRとVITとDEXは最低でも必要だ。
後はAGIを上げると攻撃が避けられるようになるらしいし、攻撃を避けられれば、より死ににくくなるは間違い無いだろう。
後は覚えられるかどうかは分からないが魔法も使ってみたいし、記載に有った通りなら、LUKの効果も捨てがたいと思っている。これは悩むな……
「くそっ! 全然分からない!!」
その時、俺の頭に雷が落ちた様な閃きが起きた。
「全部必要なら、全部同じ様に上げれば良いんじゃね?」
俺は同じ数字になるようにステータスを上げたのだった。
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名前:ケイン
職業:剣士
LV6
HP:60/60
MP:60/60
STR:6
VIT:6
INT:6
AGI:6
DEX:6
LUK:6
POINT:0
スキル:未取得
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この時の俺は知らなかったのだが、この様なステータスにすると、可も不可もない器用貧乏になると言うことを……




