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恋愛なんて壊れやすい不安定なものは興味ない

アンリ視点。

初めて、朱里を見たときに、なにか懐かしいと感じた。


ああ、そうだ。何故、惹かれたのか、やっとわかった。

『もう一度会いたい』その声に導かれたんだ。朱里は……だったんだ。


悠が現れてから、次第に思い出すことが増える。


---


「最初に『もう一度会いたい』と言ったのは貴女です」

「私?」

「朱里ではなく、朱里の前世の様な存在が、蓮の前世に『会いたい』と」

「前世の記憶なんて、私には、ない」


「蓮が朱里と地下鉄カナガワセンで、もう一度出会えたのに、話すことが叶わないまま、朱里が思い出すこともないまま、再び離れ離れになった」


「その死の瞬間、蓮はどうして自分たちが出会ったのか思い出し、今度は蓮が会いたいと願わないと、三度会うことは叶わないと悟った。次に会えたら今度こそ離さない、と蓮が強く願った結果がおそらくこれです」


「朱里と蓮の前世は恋仲だったの?」

「いいえ、とだけ答えておきます」

アンリの他人行儀な口調で答える。


---


俺たちは親しい友人だった。

俺がいくら口説いても「冗談でしょう?」と相手にしてくれなかった。


貴女は言った『恋愛なんて壊れやすい不安定なものは興味ない』


「互いに自我をさらけ出しながらも、互いに良いところを見せつけ合いたい、そういう向上心を煽り合う、尊敬しあえる相手だと思う」そう言った俺に、貴女は強い共感を示した。


そうして思春期に出会った俺たちは恋愛関係にはならずに、長い時間をかけて特別親しい友人になった。


関係性が絶対でも死が二人を分かつのは、恋愛、婚姻、家族どんな関係であろうと逃れられない。


俺の命はある日突然失われた。貴女はそれすらも『許さない』と言った。

『あなたは私が生まれてきた意味だと思ったのに』と。


「そんなこと言うくせに俺の『愛してる』を鼻で笑うなんて酷い女だった。」


「だって、あなた別に私を愛してなかったもの。広く人間愛だったでしょう?」

朱里の口をついて出てきた言葉は紛れもなく、別の人間の言った言葉だった。


「広くないよ。狭く深い愛だろう」


---


「今の答え、思い出した?」


「分からない、口をついて出てきた、けど私が本当にその人なのかは……」


「俺がこの世を去ってからも、貴方が『会いたい』とずっと言うから

 その未練に引き摺られて俺は蓮としてお前に会うために生まれ変わった。」


「前世の私の未練……」


「それを蓮として命を落とす瞬間に思い出し絶望した。

 再び会いに来たのだと前世の貴女の生まれ変わりである朱里に伝えずに死にたくないと強く願った。その時に果てしなく続いていたアンリの絶望とリンクし融合したんだと思う。」

前話と時系列が前後してる箇所があります。

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