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人魚姫のアリシア

番外ヒロイン三人目です。

当代の人魚姫アリシアは嘆き悲しんでいた。

相手役のジョゼフ王子の心が自分にないと知っていたからだ。

物語自体でもそうだが王子役は本当に隣国の姫役のカトリーヌと恋をしている、とアリシアは信じ込んでいた。


カトリーヌがアリシアに「ジョゼフ様が愛しているのはこの私。役目を終えたら結婚するのも私」と告げていたためだ。

更にジョゼフには「役作りというものが必要ですわ。私と恋の練習をしなくてわ。

アリシアにはそれを信じ込ませて悲嘆にくれる熱演をしてもらわなければ」と吹き込んでいた。


天然なジョゼフはそんなものか、と信じ込みカトリーヌが繰り広げる演技ごっことやらに日常的に付き合っていた。

ただし根が真面目なジョゼフはカトリーヌに実際に手を出したり、演技にのめり込んで本当に惚れ込んだりはしなかった。

そこはカトリーヌの思惑通りには進まなかった。


カトリーヌはジョゼフと同室に住むべきは自分であることを主張しアリシアを追い出そうとすらしたが、

流石に真面目なジョゼフが学院のルールを破ることを認めはしなかった。

すると同じ部屋に暮らすのにアリシアから言葉をかけてはいけないルールをカトリーヌがジョゼフを通じて命じてきた。

アリシアはそれに甘んじてきたがいよいよ悲しくなってついにジョゼフに嘆願した。


「ジョゼフ様……」

「だめだよアリシア、君は私には話しかけられないんだ。人魚姫は口が利けないんだから」

「普段から一言も話しかけてはいけないなんて酷いです。相談したいことだってあります」

「うーん。それもそうだよね。なんでだろう。カトリーヌがそう言うんだけど」

「ではカトリーヌが居ないこのお部屋でだけ秘密にお話しましょう。私だって役についてもそれ以外もジョゼフ様とお話したいです」

「分かった。秘密なんてなんだかドキドキするね」

アリシアはジョゼフの笑顔にドキドキしながらも恋人のカトリーヌに申し訳ないという後ろめたい気持ちにもなった。


ジョゼフは不思議に思った。

カトリーヌとの方がよく話をしているのにアリシアの方が自分を分かってくれている事に。

そしてアリシアとたくさん話をするとなんだかうれしくてドキドキすることに。

きっとアリシアは賢くて優しいから人の心が分かるのだろう。

学院でもアリシアを大層可愛くて気立ての良い姫だと褒める生徒、先生が多い。

先程の頬を染めた笑顔は飛び切り可愛かった。あの笑顔を他の王子が見たら少し嫌だと思うのはいけないことだろうか?

ジョゼフは自分の心が揺らぐ理由が分からず狼狽えた。


「聞いてくださいませんか朱里様」アリシアが朱里の部屋へ飛び込んできた。

明日もよろしくお願いいたします。

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