1話 目覚め。
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目を開けると、俺は、宮殿の中に横たわっていた。
なぜだろうか?なんの音も聞こえない。
誰もいないのではないだろうか?
周りを見渡すと、俺の正面に緑髪の姿をした人が椅子に座って寝ていた。
装飾をつけて、いかにも女神という感じだ。
贅沢すぎる。
彼女はまるで死んでいるように動かない。
「あのー。」と俺は声をかけた。
すると、目の前にいた女神は目をゆっくりと開けた。
なんと、彼女は黒目ではなく緑眼だった。俺は少し不思議に思った。
龍なのだろうか?
俺がそう考えているとも知らず、彼女は俺に向かって口を開けた。
『なんじゃ?』
俺はそう言われて、返答に困った。
別に何かを質問する気はなく、目の前にいたから声をかけてみただけだからだ。
「なんでもないです。」
俺がそういうと彼女は
『ふん』と言ってまた寝てしまった。
うーん また寝るのかこの人は
とりあえずもう一回声をかけてみた。
「あの〜。」
今度は少し怒った顔をしながら
『わしを2回も起こすとは何様のつもりじゃ』と言って俺の顔を見た。
ただの人間様だよ
「えっとここってどこですか? それと、あなたは誰なんですか?」
と俺は言った。
『まったく、わしに向かって誰とは失礼じゃ』
そういって俺を見下す目つきで言った。
一応敬語だし。他になんて言うんだし。
そう思ったが言わないことにした。
彼女を怒らせるとここから出られないような気がしたからだ。
『わしはイム。 ここは、そうだな、一時的な空間じゃ』
「rえっ? 夢の中なんですか?」
俺は熱々の鉄板ネタである頬つねりをしてみた。
「痛っ。」
それをみてイムは少し表情を緩めた。
だが、俺は少し納得した。
じゃないと他に誰もいないこんな場所はどこだって言うんだ
『わしはそなたを助けた』
なんだと? さっきまで寝ていたじゃないか
「本当ですか?」
と言いつつも半分信じた。
着飾ってるし。偉そうだし。上から目線だし。
それと比べて俺はただの着物を着ていた。
一応俺より身分は高そうだ。
『それはそなたを助ける力を使ったから体を休めていただけじゃ』
「・・・俺が死にかけていたのか?」
『そうじゃな。今一度、自分の服を見て思い出せ』
俺は自分の服を見た。
「うっ、うわあ。」
なんと、俺の服はところどころ破れていて、土の汚れもついていた。
そこで、俺の身に起こったことが頭の中に鮮明に描かれた。