はじまりのはじまり
ある九月の放課後。
ある高校のある校舎のある一角にて。
室内の温度は27度。
窓には黒のカーテンがかかっており、日差しはない。
「これより!! 我ら恋愛禁止漫研部の集会を開始する!!」
と、彼女は、日野朝陽は声高らかに宣言した。
「これより!! 我ら恋愛禁止漫研部の集会を開始する!!」
と、彼女は宣言した。
俺は、軽く拍手する。
拍手の音は小さい。
この教室には俺と彼女の二人しかいないので、拍手の音が小さいのは当たり前である。
「拍手をありがとう。親愛なる隣人、育夫殿。」
彼女は俺にそう言った。
ここで俺の自己紹介をしておこう。
俺の名前は育下育夫。
高校一年生。
男。
友達がいないこと以外は、その他の高校生男子と何ら変わらない、代わり映えのない高校生男子である。
良い風に言えば、マイワールドを持っている。
悪い風に言えば、ぼっちである。
いや、ぼっちが悪いということではない。
まあ、俺の自己紹介はこれくらいにしておこう。
訳があって、部員数が俺自身を含めて二人しかいない恋愛禁止漫研部とやらに所属している。
そして、今に至る。
「さて諸君。今日の議題を話そうではないか!」
と彼女はそう言った。
「あの、諸君て言ってますけど、この教室には俺と部長の二人しかいませんよ。」
俺は手を挙げてそう言った。
「そこ、私語は慎む。」
彼女は指を指して、俺に言った。
いや私語に入らないだろこの発言。
「さあ気を取り直して、今日の議題は。」
「なんでこの部活って恋愛禁止なんですか?」
俺は彼女の発言を遮って、再び質問した。
「そこ、うるさい!私語は慎む!!」
いや、だから私語にはいらないだろこの発言。
「さあ、今日の議題を発表するとしよう!!」
と彼女は言った。
そうして、俺の一日は終わりを告げた。