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序章 四話 「けっこう疲れる事態では?」

 こんにちは。

 体脂肪率五.七パーセント系をのこ、凪白です。

 大丈夫か、我が家の体重計(タ○タ)

 壊れとんちゃうか?


前回のあらすじ

 陰キャの気配消しスキルに勝る者おらず。


「……疲れた」


 お昼の三時半頃、自宅マンションの一室のリビングで、カーペットを敷いた床に思わず倒れこむ僕。その原因は、天原さんのナンパ未遂に始まる今日一連の騒動その後のことである。より正確に言えば、岩川駅でよく分かんない署名活動の人たちに捕まりかけた。


 いや僕ね、知らない人と話すのがすごく苦手なんですよ。初対面の人に色々言われても咄嗟に上手く返したりなんか出来ないわけで口ごもるんですよ。でもだからってOKしてると勘違いしてどっか連れていこうとするのやめてくれませんかね!?危うく怪しい書類にサインするところだったわばっきゃろー!



 ふー、ふー、ふー。と内心で愚痴って鼻息を荒くする。いやほんとにすごく疲れた。凄くストレスが溜まった気がする。


「……筋トレしてシャワー浴びるかな」


 落ち着いた僕は立ち上がり、筋トレ部屋兼寝室になっている洋室に向かい、日課になっている筋トレを始める。


 まあ、筋トレとはいっても専用の道具などがあるわけではない。腹筋・背筋・握力のトレーニングに腕立て伏せ、懸垂を決まった回数行うくらいなんだけどね。

 ノルマを終えた僕は、さっさとシャワーを浴び、夕飯の準備に取りかかる。今日のメニューは洋風。ハンバーグにミネストローネスープ、サラダと白米の四品が今日の夕食だ。

 一時間かからず準備を終え、一人暮らしをするには広すぎる1LDKのダイニングに座る。

 いただきますを言い、箸を手に取ったところで、リビングにおいてあるスマホが振動した。


「……誰だろ?」


 電話のコール音ではない。ならメールか。そう思った僕は、スマホのロックを解除して……その通知を見た。


 曰く、「『MIHARU』が友だち申請をしています」と。


 MIHARU、とは確実に天原さんだろう。僕は一応クラスのグループトークに入っており、簡単にアカウントが分かるので、申請も可能だ。でもなんで、天原さんがわざわざ今になって僕に友だち申請をしたのかが気になる。

 まあそれも、話してみれば分かることか。

 僕は『追加』を押下し、メッセージアプリの「友だち」の欄に天原さんを追加した。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「……どうしよう」


 私、天原美陽は、ベッドに寝転がって、もう30分ほどもスマホの画面のにらめっこしていた。

 より詳しく言えば、メッセージアプリの友だち追加画面。表示されているのは、雪の結晶を背景画像に、異国風の城をアイコンにしたユーザーのものだ。名前は、『氷雨 雪哉』となっている。


「……うん、お礼しなきゃいけないし、やっぱり申請しよう!うん、そう、お礼しなきゃいけないから」

 彼に申請を送るのは、それ以上でも以下でもない、ないったらない。ほかに理由なんてない!……はず。


「あ、追加された」


 ピコン、とすぐに通知が来る……がそれで終わりだった。よろしく、の一言もない。いつもの素っ気ない態度からしたら妥当なところなのかもしれないけれど。


「……むぅ」


 私は、なんだか今日は一日、氷雨くんの態度に悩まされている気がして、頬を膨らませて両足をばたばたさせる。。他人に関わってほしくなさそうな無愛想な態度が、逆に気を引かれる。家に上がってもらおうとしたときだって、いつの間にかいなくなってて。

 にしても、こんなに気にしてるなんて、まるで恋してるみたいな━━━━

 そこまで考えて、私はないないないない!と首をぶんぶんと振った。優しい人だとは思うけど、恋愛対象としては見ていないはずだから。


「失礼します、お嬢様、湯浴みと後夕食、どちらを先になさいますか?」

 ノックの音ともに女中さんが入ってくる。

「先にお風呂入るね」

「承知しました」


 女中さんは私の部屋のドアを閉めて出ていこうとして━━━━はた、と足を止め、振り返った。


「それはそうと、お嬢様。何でも、今日は氷雨様という方に助けていただいたそうで」

「うん。悪質なナンパの人から」

「……そこまではお聞きしていませんでした。ご無事で何よりです━━━━つかぬことをお伺いしますが」

「なに?」

「氷雨様とは恋仲にあるのでしょうか?」

「ふぁうっ!?」

 全然つかぬことじゃないよ!それ!っていうかそれ、女中さんが部屋に入ってくる直前の私の思考トレースされた!?


「そ、そんなことないよ!……なんでそう思ったの?」

「いえ、お嬢様が氷雨様のお名前を呼びながら足をばたばたされていらっしゃったので、氷雨様のお気持ちはともかく、お嬢様の方は……と」

「ふぇ!?」

 あれ、私名前なんか呼んでたっけ!?


「湯浴みの準備は整っておりますので、いつでもお風呂に入れますよ」


 ……なんかもうやだ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ちょうど雪哉が晩御飯を食べ終えた後。

 とある民家の一室で、一人の男がベッドに座り込み、うじうじしていた。


「うわぁー。俺なんであんなことしちゃったんだろう?ただのヤバイやつじゃん……。超恥ずい……」


 そう、この男こそ、美陽をナンパしようとして失敗し、雪哉に精神的にボコボコにされた茶髪男である。


「んだよ兄貴、うっせえな」

「はぁ?黙れよ雅紀(まさき)!」

「はいはい、何があったんだよ、話だけなら聞いてやるから」


 そんな男の部屋のドアを開けたのは、いわゆる『ワイルド系イケメン』とされる、男の弟だった。


「……ふむふむ。今日の晩の相手をショッピングモールで見繕っていたら、美少女を見つけて声をかけたら嫌がられて、それでも無理矢理連れていこうとしたら、クラスメイトを名乗るよく分からん男に言い負かされて追い払われた……と」

「……要約に悪意を感じる」

「もともと悪意しかねーよ。で、誰だったんだよ?その美少女と男ってのは」

「知るわけねーだろ!」

「ふーん。そんなことか」


 全く興味がなさそうな弟。だがそれも、ポケットでスマホが震えるまでのことだった。


ーーーーーー

『ねえねえ美陽ー』

『今日のお昼過ぎ、男子と歩いてなかった?』

『え、なに?ついに美陽に彼氏!?』

『マジか!?』

『美陽さん彼氏いたのか!?』

ーーーーーー


「な……に……」

「おいどうした雅紀」

「美陽に……彼氏……」


ーーーーーー

『ちょっと美陽どういうこと?』

『一言相談してくれたって良かったじゃーん』

『ちょ、ちょっとみんな何言ってるのかな?』

『お、ついに噂の美陽さま登場!』

『や、やめてよ』

『一緒に歩いてたのは彼氏とかじゃなくて、ナンパから助けてくれた人』

ーーーーーー


「……ナンパ?どこかで聞いた話だな……」

「おい、どうした?」

「……おい、兄貴……今日ショッピングモールてナンパしかけたって言ってたの、こんな女子じゃないよな?」

 弟は、スマホのアルバムアプリを開いて集合写真の中の一人、つまり美陽ををアップにし、縋るような目付きで兄に尋ねる。だが、返ってきた答えは、期待していたものではなく、予期していたもので……


「あぁ、そんなやつだった気がする」

「気がするじゃねぇよ!何やってんだよバカ兄貴!」

「うっせえなぁ。んだよ、お前の女か?それとも……」

「ち、違うわ!」

「ふむふむ、一方通行、と」

「うるせぇ!」


ーーーーーー

『え、ナンパ?』

『大丈夫だったの?』

『うん、助けてもらったから』

『なら良かったけど……』

『で、誰?』

『え?』

『その助けてくれた人っていうのは誰なのさ!?』

『え、その、その人にも迷惑かかるから言えないかな』

『良いじゃん良いじゃん』

『ほら、男子も無関心装いながら聞き耳たててるし』

『え、でも……』

『僕』

ーーーーーー


「は?」


ーーーーーー

『え、言って良かったの氷雨くん?』

『大丈夫』

『え、誰?』

『まじで氷雨?』

『おい、こおりあめなんてやつクラスにいたか?』

『そうそう、栗田のつぎ小暮じゃなかった?』

『ちょっと、失礼じゃない?』

『気にしてないよ』

『話が並行しすぎ!』

『ちょっと一回だれか整理して!』

ーーーーーー


「……」

「おいおい、大丈夫かよ?」


 もはやカオスと化したクラスのグループトークを見ながら、呆然とする弟に、兄は心配げに声をかけた。

 ……ストック尽きました。

 ストック全然無いのに見切り発車するから……。

 次回更新は水曜日にして、これからは水曜日をマスト更新日、できたら他の曜日も更新、っていう風にします。

 ……いけるか心配(遅筆)。

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