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序章 一話 「雪と太陽」

 はじめまして、凪白です。

 ファンタジーものを書こうとして書いてみたら、恋愛要素が全然書けなかったので、書いてみました。

 どうぞ宜しくお願い致します。

 時は夏休み、後一週間ほどで夏季休暇という名のスーパーだらけタイムが終わってしまうという土曜日。


 賑やかな週末のショッピングモールのフードコートにたった一人でハンバーガーをパクつく男子がいた。


 僕━━━高校二年生、氷雨雪哉(ひさめゆきや)である。

 スクールカースト下位に位置し、『暗め』と形容される、つまり陰キャだ。人と会話するのがどうにも苦手で、誰とも仲良くなることが出来なかった結果、こうなっていた。

 僕自身、そんなに気にしていないけれど。


 小学校の頃から図書室の主だった僕は、いつもは家の中で読書か筋トレ、オンラインゲーム、後はお菓子作りをしている。それだけできれば、僕は幸せだからね。


 今日はネット小説が原作のアニメ映画を見に、一人暮らしをしているマンションから電車で四駅の大型ショッピングモールに来ていた。

 普段なら、僕は人と会うショッピングモールに出掛けたりはしない。

 映画ならテレビでやるまで待つか、DVDを借りて家で観る。

 でも、その小説は投稿開始から更新を追いかけて読んでいたので、少し愛着のようなものがあったから見に来たのだ。


 慣れないところなので朝早くに出発したのだが、早く来すぎてしまい暇をもて余している。

 上映時間の二時間以上前に到着するってなんだよ。


 そんなわけで、昼食と暇潰しをしていたのだが…


 窓の外に、男に引っ張られていく高校生くらいの女性が見えた。訂正、“くらい”じゃなくて高校生だった。

 同じクラスの━━━天原美陽(あまはらみはる)さんだった。

 たまたま僕の座っている席が、窓際だったから見えた感じかな。


 彼女は、僕が通う椿宮(つばきのみや)高校二年生の、スクールカーストの頂点に立っている。

学校内で名前の知らない人はいない、と断言できるほどの有名人、というか美少女、んでとっても明るい。

 つまり、何もかもが僕とは対極にいる人だ。

 僕レベルの陰キャになるとクラスの人に、いや、同じ生活班のメンバーにさえ僕の名前知らない人いるだろうし。


 それはともかく、どう見ても只事ではない雰囲気だったので、僕は席を立ち、外へと出た。


 しばらく歩くと、問題の現場につくことができた。


「だからぁ。絶対楽しいぜ?一緒に遊ぼーじゃん?」

「嫌です。やめてください!」


 おぉう。ナンパっすか。

 茶色に金のメッシュを入れた髪の、アクセサリーをじゃらじゃら付けた男が天原さんに絡んでいた。

 年齢は…20くらいかな。因みに、ファッションに興味がない僕にも断言できるほど似合ってない。

 ってか正直ダサい。物凄く。


 ていうかアホかあんたは。何かあったら警備員が一瞬で飛んで来るよ?こんな場所。

「いいから来いって!」

「離してください!」

 っと。男が天原さんの無理やり腕をつかんだ。放置するわけにもいかないし、と思って、二人の前に姿を現す。


「遠慮しなくていいから来いよ…あん?誰だお前?」

「た、助けてください!」


 やっぱり僕がクラスメイトだとは気づかないか。天原さん。まあ、予想はしてたけど。

「っち。おいお前、どっか行けよ。なにもしなけりゃ見逃してやるけど、邪魔したら殴るぞ?」

 茶髪男にそこまで言われてから、僕はとっても重大なことに気がついた。

 すなわち、どうやって助けるか考えてねーじゃん!である。


「あぁ?なんとか言えよ!」

「ナンパは別にいいし、好きにすればいい。でも、嫌がってるならすぐにやめるべき。」

 おお言えた。この状況で口を開ける陰キャはそうそういない。

 もしかしてコミュ力高め陰キャの称号をいただけるのでは!?

 ……すみません、生言いました。


「はぁ?関係ねえのに口出すんじゃねえよ!」

「クラスメイト」

「は?」

「そこの女の子は僕のクラスメイト。関係無くはない。」


 多分存在さえ認知してもらえてないけど、なんていう言葉は飲み込む。

 因みにわざわざ“そこの女の子”と言ったのは、名前バレを防ぐためである。


「いい加減に…黙りやがれっ!」

「きゃあっ!」


 堪忍袋の緒が耐久値の限界を迎えて弾けとんだらしい茶髪男は、僕に殴りかかる。

 割とマトモに僕の腹部に拳が命中した。

 まあ、特に問題ないけど。


 僕の趣味には筋トレも含まれる。僕は線が細いと両親によく言われるが、素人(多分)の成人男性に殴られた程度でどうにかなるほど柔な身体はしてない。

 でも、そこそこ痛いのは痛いし、何発も殴られたいわけでもない。


 とは言っても、ここで殴り返すのは得策ではないので、言葉で攻める。

「暴行罪。2年以下の懲役、30万円以下の罰金、30日未満の拘留、1万円未満の科料」

 ここでユキヤヒサメの必殺技、ネットの受け売りだ!


「あぁ!?」

「因みにここに来るまでに警備員は呼んである。捕まりたくないならさっさと逃げるべき」

「くっそ…」

 茶髪男は、スタコラサッサと逃げて行った。



 そして残されるは、恐怖と安堵で固まっている天原さんと、知らない人と無理に喋ったストレスで同じく固まっている僕。


 くっ…いったいどうすればこの沈黙という名の窮地(ピンチ)から脱け出せるのだ!

 クラスメイトと話すのが、強引ナンパ男を追い払うより難しいだなんて!

 現実逃避をしながら黙っているわけにもいかないので、頑張って天原さんに声をかけることにした。

 次回更新は、月曜日になる……はず……。

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