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2 シアの日常

アリアがまったりと温泉を満喫しているころ

シアは女王陛下も居間で3人の王配と女王を前にお茶を飲んでいた。

見た目はおだやかなお茶会だが、機嫌悪そうなシアの顔を見れば

楽しい話の内容ではないようだ。


サムソ女王国の名のとおりサムソは女王が統べる国だ。

本島と小さな小島で成り立つ神秘の女王国。

陸でつながる国がないことでこの国は安全と不干渉を手に入れていた。

他国とはおつきあいがなくても成り立っている。


現女王はアイリーダ 御年33才

少しだけ目じりが下がった容貌はそれなり美しい。

12才の王子 10才の王子 5才の王女の母である

女王国なので必然5才の王女が後継者になる

上二人が男の子だったため、王配を増やせと家臣がうるさかったこともあるが

今はそれについては静かになった。

王配は3人。多いか少ないかはいろいろなので何とも言えない。


前女王は一人しか王配を持たなかったが

前々女王は7人の王配を持った

この場合父親が誰かというのは全く問題にならない。

女王もしくは女王の系譜の女性が生んだというほうが重要なのだ。


王配は女王の伴侶であり実務を補佐するものでもある。

女王の健康と安全を守り、常に側に寄り添う。元の身分は関係ない。

女王が選んだ。それだけがすべての王配たち。


一人目 ソル 宰相に当たる統括者  34才

二人目 ディー 軍を率いる     30才

三人目 グレ 学者 サムソの頭脳といわれる 25才


ずらりと並んだ重鎮たちにシアは遠慮なく言った。

「なぜ私が子守りなのだ

ただでさえアリアのお守りで手一杯なのにこの上押し付けるのはやめてくれ」


説明をしていたソルが答える。

「子守りとは不遜ですよ。友好の語らいを補助してほしいという

お願いですよ」

にっこり笑うが目は笑っていない。

腹黒さ満載の笑顔は少し怖い。

「対象者が13才は子守りでしょう

しかも王子付きってなんですか エレクは12才でしょう」


話は親善使節がやってくるお手紙(帝国の王からの親書)がきたことから

始まる。来春 使節団に第二王子を同行させるので

貴国の王子様たちと友好を深め、貴国について勉強させてほしい

とても複雑な言い回しで書かれていたがまあそういうことだ。

「帝国は一年一度の訪問と交易だけでは飽き足らなくなり

婿候補を送り付け、あわよくば属国に組み込みたいということだな」

帝国はいくつもの国を属国にしており大国の自負がある

いつかこの時がくるとは思っていた。

今までは使節が年一回やってきて、商人を連れてくる。

カカオ コーヒー コショウなどの農産物と引き換えに

サムソ産の鉱石や魔石 チーズ 小麦を買って帰る

サムソでは手に入らない珍しいものを持ってくるので

つい寄港を許していたがついに来たかと言ったところだ


「使節は新国王の叔父だそうでね、こちらはそれで手一杯なんですよ」

ディーは軍をまとめている。

対外的に戦争をしたことがないので、国の治安が主な仕事。

他国と関わる警備は経験がないのが痛い。

「何もかも手探りでね、2か月で準備が出来るかわからない」


「戦争するつもりですか?」

シアは率直に聞いた


「なるかならないかはあちらしだいじゃの」

女王が答える

「戦争になったとて負けるつもりはないが その時は」

少し間をおいて女王はシアの目を見て言う

「シアの仕事が一番増えることになろうの」


シアは国の筆頭魔術師

アリアを別にするのなら生物兵器にもなれる強大な魔力の持ち主。

特化した能力は探査と転移。

その気になれば今いる王宮を吹き飛ばすくらいはするだろう。


「戦争になればアリアの手も借りることになろうの」

女王は伏し目で言う。望んではいないということだ。


シアはため息をつくと

「わかりましたよ、でもそのアリアが原因で戦争になっても

知りませんよ。それでいいならやってみましょう」

「多少の暴走はかまわぬよ。それで引いてくれるかもしれんしの」


「褒美はあるぞ、コーヒー カカオ 新種の果物 コショウの苗木を

持ってくるように頼むつもりじゃからの」


産物ではなく苗木。それは魅力的なおみやげだ。

暑い土地でしか育たない樹木.

サムソは雪が降る。寒さで枯れてしまうと思うとずっと断られてきた。

もちろん大事な交易品を自国で育てられては困るというのもあっただろう。

しかし今度は女王が直に求めてくれるという。

ブラスト村ならば温泉がある。

ガラスの温室を作ることも可能だ。笑みがこぼれた。


「それは楽しみです

では今夜はこれで失礼しますよ」

シアは椅子から立ち上がると、ふっとその場から消えた。

転移。シアの特化した力を見せつけてその場を離れた。


シアが(翔んだ(とんだ))のは自身の領地の我が家

転移専用室に瞬時に移動したシアは再度転移 浴室に翔ぶ(とぶ)

アリアはもう寝ているだろう

湯に浸かって めんどうな思考は明日の朝にしよう。













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