表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
not A  作者: もやしうどん
1/1

1.私のスタート!

アイドルが持つ輝きは純粋な輝きでない。

人間、誰しも闇を持っている。

ひとり、ひとり、闇に呑まれてく。

気づいたら私一人。

私は…まだ輝けますか。

「私、虎爪 ウタ(こそう   )!永遠の14歳!」

違うなぁ…

私がなぜこんなことさせられているのかというと…


~2か月前~

はじまりはママの一言だった。

「ウタ、大事な話があるの。」

いつも笑顔のママが今回は真剣な顔だった。

なんだろう...すごい不安を感じる。

「ママ、どうしたの?」

「ウタ、実は…」

ゴクリ。

「アイドル事務所のオーディションにウタで応募したら書類通っちゃった☆」

よかった…ママが笑顔になった…じゃなくて!

「それってつまり…」

「うん。行ってきて」

なんだろう。すごい反抗したい。

だが小学生のころ、ママと喧嘩した際に

「うるさい!40歳!」と言ったら

もれなく地獄を体験した…

だから反抗はできない。

ちなみになぜそこまでママは年に敏感なのかというと、

今は女優であるが、もともとはアイドルであり、その時の設定…もとい、

お約束が[永遠の18歳]だったのである。

…ん?ということは…

「ママ、一つ聞いていい?」

「なに?」

「私って何歳?」

するとママは告げた。

「永遠の14歳でしょ?」

私は現実を受け止めて部屋に戻り練習を始めたのだった。

そして今この有様だ。

オーディションは三日後に控えている。

ダンスはなんとかママの認める最低ラインまでいった。

歌はもともと得意だから大丈夫。

問題が自己紹介だった。

ママ曰く、

「自己紹介してる自分のことを過去の自分が見たら必死に勉強するような自己紹介にしてね」

とのことだ。

…たぶん永遠の14歳の時点で勉強すると思う。

仮に名字が“餅愛”とかだったら

「お餅のように変幻自在の愛のある歌をお届け!餅愛 ウタです☆」

とか出来たのに…生憎、名字は“虎爪”。

この名字を使うとしたら、

「虎の爪であなたを引き裂きます☆ 虎爪ウタです☆」

くらいしか思い浮かばない。

ってかこれはもはや殺害予告じゃん…


そんなことばっかやってたら当日でした。(本人談)

ママの車で会場まで送られていく。

そういえば事務所の名前聞いたことなかったな…

「ママ、どこの事務所なの?」

「ひみつ~」

秘密ということは…?

ふつう、驚かせるなら大きい事務所…!


30分後、謎のビルに着いた。

そして、驚かされた。

聞いたことのない事務所で...

「さあ、ウタちゃん、頑張ってね!」

もはや、やるしかない。

「行ってきます、ママ。」

受付でオーディションをうけることを伝え、

そのまま待ち部屋の前に誘導された。

選ばれるのは5人…!

果たして何人いるのか…!

扉を…開けるッ!!


定員5名に対し、いるのは3人。

あっ、そうか!後から来るのか!

にしても静かだなここ…


~30分後~

係の女性がやって来た。

その顔は今にも泣きそうだ。

そりゃそうだ…

5人集めたいのに4人しか来ないって…

女性は口を開ける。

「皆さんにお知らせします。まず、みなさん採用です。本日よりよろしくお願いします。」

「そして、本日来る予定の1名は、1名は…!」

徐々に女性の目が潤っていった。

そこにもう一人係の人が来て、

「みなさま、申し訳ございません。詳細についてはこちらの書類にて記載しております。」

そう言って一人一人にホチキス留めの書類を渡していく。

そして私が受け取った後、

「皆様、本日はその書類の内容を頭に入れていただければ幸いです。」

「本日はお疲れ様でした。」

そう告げられた瞬間、他のメンバーは一言、挨拶して去っていった。

私も一言挨拶して会場を出る。

駐車場に戻るとママが待っていた。

「おかえり、ウタ。」

「ただいま、ママ。」

私は助手席に乗りママに今日のことを伝える。

希望者が少なかったこと

今日は早めに終わったこと

他のメンバーは無愛想だったこと

そして、本来、来る人が来なかったこと


「とりあえず書類に書いてあるって言ってたから読もうかな。」

そう言った瞬間、

「ここではまだ見ない方がいいわ。部屋で見なさい。」

そうママは告げた。

「う、うん。」

きっとそう言うのは何か理由があるのだろう。


夕食を済ませ、私は部屋に戻ってきた。

書類に目を通してみると


年間スケジュール

練習内容

練習場所

プロデューサー等の紹介


順番に読んでいくと大体のことは分かった。

最後の紙に辿り着く。

そこには手書きでメールアドレスが書いてあった。

適当なユーザ名であるところからして、即席のものだろう。

そのメアドを登録すると早速メールが届いた。

内容は今日来られなかったメンバーの説明だ。



メンバーの皆様へ


本日はオーディションに参加して頂きありがとうございました。

あらゆる情報につきましては書類の通りでございます。

また、本日のメンバー1名不在の件につきましては、

当初、理由をお伝えするつもりはございませんでしたが、

プロデューサーの意向によりメンバーのみなさまにお伝えすること

に決定いたしました。

なお、これより発表する情報につきましては、

グループ外に漏れることのないようお願いいたします。

不在メンバー(本名等非公表)については

“妊娠”が発覚しましたので脱退処分をとらせていただきました。

今後は当初の5人体制ではなく、4人体制での活動となりますので、

今後ともよろしくお願い致します。


…え?

今日来なかった理由って妊娠?

数分、思考がフリーズした。

やっと考えられるようになっても、信じることはできない。

妊娠での脱退なんてアイドルでは一番ダメな行為だ。


ママはここまで察して私に部屋で見ろなんて言ったのだろうか。

いろいろとわからない。

だから今日はもう寝よう。


おやすみ…


一人の少女が眠っている横に一人の女性が立っていた。

「ついに…立ったわね。スタートラインに。」

今回、この小説を読んで下さり、ありがとうございました。

本来なら女児向けのアイドル小説書きたかったのに…!

なんで毎回ダークなんや…これじゃあいつもの

青年向けやないか

一応…ここから…ウタたちは頑張るので

応援してあげて…!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ