3-36 アメリカ政府
2021年1月30日公開分 二話目。
3-35 戦闘訓練から公開
■三人称視点かも
軍事責任者のグレース、FBI長官のエフビー、CIA長官のシーアイの三人が会議室で極秘の打ち合わせを行っていた。
「魔族に対しての問題もこれで片付きそうね。あとはAK(ノース、金属鎧殺人鬼のコードネーム)を殺さずに捕縛する方法が確立すれば災厄も終わりに出来るんだけど」
「ええ、グレース。まったくその通り、これも神様と名無しさんのお陰ですな」
同意するエフビー。
「となると、次の問題に取り掛かるべきですね」
「シーアイ、次なる問題とは何かしら?」
「おや、白々しい。勇者にどう対処するかという問題ですよグレース」
「いやいや、あんなに協力してもらっているじゃないか。そんな…」
エフビーの擁護発言をシーアイが手を軽く上げて遮った。
「誰も率先して対処しようなんて考えていませんよ。ただ、もしあの力がアメリカ国内に向いた場合に、どのように対処すべきか考えておくというのは悪い事ではない。
万が一にでもあの力が国内で発揮されたら大惨事になる。そうなってから対処していたのでは遅いのですよ」
「確かにあの力は脅威ね。武力で言ったらAKの数十倍以上の危険性が有るわ。ただAKは死んでもどこかで蘇るから脅威なのであって、名無しは死んだら自分では生き返られないのよね? だったら対処方はあると思うわ。このレポートを見て」
グレースは自身のタブレットを操作して会議室のモニターに映す。そこには名無しを殺害する方法と殺せる確率が記載されていた。
「おい! 何でこんなレポートが存在するんだ! 何時からこんな事を」
「あらやだエフビー、あなたがそんなに無能だとは思わなかったわ。常にリスクを考えて行動するのは基本でしょう。私は軍事的な責任者として最善の行動をとっているだけよ。名無しがこちらに対して敵対的な行動を取らなければ良いだけの話でしょ」
「それにだ。茜という勇者は力に溺れて神を殺害している。このような暴走が他の勇者でも起こらないとは言い切れない」
「待ってくれシーアイ、茜さんも今は改心して魔族との戦闘に参加しているじゃないか。それに名無しさん、清子さんの二人は信頼出来ると思う。今後何かあってもあの二人が対処してくれるだろう」
「今はな。ただ将来的には分からない。でも茜はいい仕事をしてくれた、神様を殺してくれるなんて思ってもみなかった。神様が直ぐに復活する事が判明したのはとても良い情報だった。あわよくば神様諸共殺すなんて案は取れないことが分かったのだから。
勘違いしないでくれエフビー。対処方法を考えておくだけだ、実践するとは言ってない。感情的にならないで欲しい。私だって恩人に対して銃を向けるつもりはないよ。ただ、何かあったときの事を考えているだけさ」
シーアイが操作し、モニターに複数の顔写真とプロフィールが映し出された。
「名無しの父親は現在行方が分からず、母親は死亡している。身内といえるのは清子とその娘の雅美だ。これは万が一の時に備えておく必要がある。ん? そうだな、敵対する勢力が名無しを脅迫するために誘拐する可能性だってある。既に日本政府には身辺警護の依頼をしているのでそう簡単には手を出せないと思うが」
「警護? 警護ねぇ、うん警護は必要よね」
グレースは少し皮肉っぽく言った後、少し明るい口調で同意した。その発言を気にせずシーアイはモニターの内容を切り替える。
「こちらが名無しの交友関係のリストだ。そして注目して欲しいのがこれだ。まだ確証は無いが勇者候補だ。名無しの関係者が勇者である確率が高い。そして歌を歌っているのも共通項だな」
会議は続いていく。
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「一番良いのは勇者と魔族が同時に滅ぶのが理想的よね。まあ、そんなに簡単には行かないでしょうけど」
「まあ無理だろうね。相打ちに近いような、瀕死な状態だったら魔族の所為にして殺すとか。まぁ勇者側が勝った場合は、身内を人質に取るとか、冤罪で世論を操作するとか、まあ色々と手段はとれるさ。24時間起きて注意し続けるなんてことも出来ないだろうし、単純な武力だけでも何となるだろう」
「…」
「ただ怖いのは神様の介入よね。名無しに惚れているという監視員からの報告もあるし、今のスタンス“積極的に介入しない”を破って名無しを生き返らせたりしたら…。殺された事に怒った名無しが暴れて大惨事になりかねないわ」
「しかし神様の感情に対して名無しが明確に意思表示していないのは、ちょっと日本人ぽいといえばぽいな」
「シーアイだったら、神様と付き合うの?」
「無理だね。戦車や戦闘ヘリ、あるいは猛獣? を彼女にするようなもんだ。ちょっと間違っただけで死ぬ可能性が有るのだから。手を出したいとは思わないよ。
まぁ神様の行動は読めないので、名無しに対して積極的な殺害は避けた方が無難だな。ただ治療を遅らせるとか、他の勇者と離れた状態で致命傷を負った場合に接触できないようにするとか。そんな方法はありかも知れないが」
「今のところ復活スキルを所持しているのは名無しだけ。AKが片付いた時に、丁度よく何かが起きると都合が良いのだけれども」
「まったくグレースは。丁度良くね、ふふふ」
シーアイ呆れたように、そして含んだように笑った。
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エフビーは自宅に帰って妻に帰宅の挨拶後、冷蔵庫からラガービールを取り出し書斎に籠った。グググっと一気に飲み、ぷはぁーと息を吐く。
「本当にこれが正しい行いなのか? リスクに備えるというのは分かるが…。名無しさん、どうかご無事で。そしていつまでも友好的な関係が続くように」
両手を組んで神に祈っていた。
「あなた大丈夫? 何かあったの?」
ノックの後、妻が部屋に入ってきた。
「ああ大丈夫。詳細は言えないがね」
「ううん分かっているわ」
軽い抱擁のあとエフビーが呟いた。
「周囲と自分の考え方に差があるというか…」
「詳しくは分からないけれど、私はあなたをあなたがする事を全面的に信じるわ。だからあなたも自分を信じて。それに大変ならやめても良いのよ?」
「ありがとう。大丈夫だよ」
ちょっと短いけど、話の区切りがあるので。
この作品を完結させたい。
大分ピースが揃ってきたんだけど、もうちょい足りない。
漠然とした感じでしか最後が見えてない。はぁ。
ノースとアメリカ軍の戦闘について、別作品として公開します。
タイトルは「ノースの地球侵略」です。
作風が全然違います。笑いありません。
同じ話のノリを期待するとがっかりするので、無理して読まなくて良いです。
以前からずっと書いていたんですけど、話の区切りが良くなかったので、公開を控えていました。
https://ncode.syosetu.com/n3777fy/




