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異世界転生しそこなったけど、スキルは貰えたので現実世界で楽に生きたい  作者: ぐわじん
天罰? ノースVSアメリカ

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3-29 エマとシャルロッテ

2020年9月27日公開分 一話目。


3-29 エマとシャルロッテから公開


お待たせいたしました。

■名無し三股記者会見の日


 夕飯が終わり食器の片付けも終わって、エマがリビングで紅茶を飲んでいる。そこにシャルが小走りで走ってきた。


「ママ大変! イチローが三股しているって!」


「ブホッ! ゴッホゴッホ。ちょっと何言っているの紅茶こぼしちゃったじゃない」


「これ見て! これこれ!」

 そういってシャルがタブレットを差し出した。映し出されたWEBニュースを読むと名無し(仮)の三股について書かれていた。


「無いでしょ。無い無い無い、無いわ、無い無い、無いわよ、無い無い、イチローが三股? これは絶対有り得ません」

 ブラウザーの機能で自動翻訳されているため若干おかしなドイツ語になっているが、それを差し引いても有り得ないと断言出来た。落ち着くために再度紅茶を口に含む。


「そっそうだよね。三股じゃ足りないよね」


「ブホッツ。そっち!?」


「だって私やママも入れたら五股でしょ」


「シャル。私やシャルの関係は股と呼ばれるような関係には数えないのよ」


「そうなの? じゃあどういう関係だと股になるの?」


「えーと、その…」

 どのように答えようかと悩み、時間を稼ぐために紅茶を口に含む。


「裸で抱き合ったりする関係だとそうなるの?」


「ブブッ!! あっえっ、えええーー! どこでそんなのを」

 今まで以上に盛大に紅茶を吹き出す。


「前イチローが入院していた時に、そんな本があって読んだことがあるわ。え? いや違うわ、イチローに読まされたんじゃなくて、イチローが寝ているときにコッソリと読んだの」


「んんっんん。いずれにしても私たちの関係は股に入らないし、イチローは無節操に女性とそんな関係には成らないわよ。いい加減なニュースも有るから全部をそのまま信じちゃだめよ」


「分かった。じゃあ部屋に戻るね」

 そう言って再び小走りでリビングを出ていくシャル。そして布巾でテーブルの上に噴出した紅茶をふき取る。


「無いわよねー、無い無い。だってあのイチローよ? あったらとっくにねぇ…。というかそういうのに関心というか興味があるんじゃない。だったら手を出せばいいのにチキンよねぇ、あれかな年上の女性には興味がない? といっても大して変わらない年齢よね? まさかやっぱりロリコンだったりして」


   :

   :


 深夜、自身の仕事を行い、仕事関係のメール確認も終えて、そろそろ寝ようかと考えたところ、ふと気になってWEBニュースを確認した。


「はあ!? イチローが勇者? 神様? いや神様のような者? なんなのこれ!」

 複数の記事を読み進め、TVなどでも緊急特番や画面上のテロップで同様のニュースが流れていた。


「じゃあやっぱり、あの時シャルが生き返って病気が治ったのはイチローのおかげなの? 神様に知り合いが居たら生き返らせたり、病気を治せたり出来るわよね? そうよね、理由は分からないけど絶対イチローが治したと思ってた、これで確信したわ。…ありがとうイチロー、ありがとう…」

 しばらく一人泣き続けた。


   :

   :


 翌朝、エマがキッチンで食器を洗い、テーブルでハンスが本を読んでいるところにシャルが走って来た。


「ママ! 凄いの! 勇者、勇者だって、イチローが勇者だって! 勇者だよ勇者、勇者勇者勇者、あと神様だって」


「そうね。イチローは凄いわね」


「勇者ー! 勇者だったんだ、もう絶対特別な存在だと思ってたの。同じなの、一緒なの!!」


「同じ? 一緒? 何が同じなの?」


「うっうん、なんでも無い。秘密!」


「えー教えてよ、ダメなの? 教えてよ? 秘密なのかー残念。それはそれとして、神様は地球の神様では無いみたいよ」


「そうだよね。地球の神様はパパを助けてくれなかったし、居ないと思ってた。それに一度も会ったことないし」


「まあ、そうね。普通神様には会わないと思うわ。ただね、人は死ぬ可能性があるの。理不尽と思えるような事も世の中に沢山あるわ。でもすべての事を神様が助けてはくれない、その…そう…見守っているの。だから…後悔しないように? うーん、神様に見られていると思って正しく? とにかくちゃんとするのよ…。

 それに…、良い例えが思いつかないけど、そうね、世の中で誰も死なない世界になったら、地球は人で溢れかえって地球が死んでしまうかも知れないわ。だから神様も救えないのかも知れないわね」


「良く分からなかったけど、とにかくイチローは勇者なの! 勇者だって、フフフ。勇者ー勇者! 勇者! 勇者!」

 もの凄く楽しそうに飛び跳ねながら溢れんばかりの笑顔のシャル。嬉しさが駄々洩れており、それに釣られてハンスやエマも全員笑顔になった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


■3-28戦闘 の後というかほぼ同時系列


「グーテンターク、歌が大好きシャルロッテです! シャルって呼んでね!!」

 スカートの端をチョコンと持ち上げつつ、右足を少し後ろに下げてから膝を少し曲げて姿勢を低くした。俗にいうカーテシースタイルの挨拶をする。その後顔が良く映るようにPCの前まで移動して席に着いた。BGMには名無し(仮)の曲をシャルがカバーしたものが流れている。


「キョウはライブ配信を見てくれてアリガトウ! それと皆さんにゴホウコクがアリマス! チャンネル登録者数が100万人を超えました。本当にアリガトウゴザイマス。ダンケシェーン、ダンケ、ダンケデスヨ」

 少したどたどしい日本語が可愛い、一生懸命に日本語を話そうとするのが愛おしい、小さいのに歌が上手い、容姿が単純に可愛いと評判になっており、チャンネル登録者数が跳ね上がっている。


「はいポンポコさんグーテンターク、南ちゃんグーテンターク、これは読み方ぐわじんさんかな? グーテンターク、…」

 チャット欄に挨拶をしてくれた人たちに挨拶を返していく。


「チャンネル登録者数100万人突破記念というコトで、皆さんの質問に答えていきたいと思います。最初の質問は既に知っている方も多いですけど、問い合わせも多いのでアラタメテお答えしますね。あっトモミンさんグーテンターク。

 名無し(仮)さんとは、どんな関係? については、友達デス。

 どこで知り合ったの? は入院していた病院デス。

 どれくらい前から知り合い? 去年の7月位ダタかな? だから名無しさんのデビュー前から知り合いデシタ。

 勇者と知っていたの? 知らなかったデス」

 名無し関係の質問を幾つか応えていく。


「ハイ。ではこれからは、このライブ配信の方を見てくれている方の質問に答えたいとオモイマス。今、この後書いてくれた、最初に書いてくれた質問を、おっルビアさんがさっそく書いてくれていますね。えーとシャルは…死んで生き返ったのですか…、名無しさんや神様の力で病気が治ったのですか…、えーと…えーと…」

 返事に詰まり、黙り込んでしまう。


「あの…良くわからないデス…」

 チャット欄には質問をしたルビアを攻撃するコメントが多数表示されて流れていく。そしてそんな中、他にも色々なコメントが書かれていく。


「え!? アメリカで、死んだ人を生き返らせている!? イチ…名無しさんが!? ウソ!」

 慌てて横にあるタブレットで検索すると死者を生き返らせているらしいというニュースが幾つも書かれていた。再びチャット欄を見ると、自分だけ治るとかズルい。チートじゃんチート。シャルはアンデッドなんじゃない? などのネガティブな内容が複数書き込まれていた。そしてそれ以上にそのような発言をした人に対して非難するコメントが、またそれに言い返すような悪態が、どんどんとチャット欄が汚い罵り合いのコメントで埋まっていく。


「あっあの、ゴメンナサイ。生き返えったとか…」

 泣きながら謝り、涙を止めようとするが止められずに泣き続ける。そして罵り合いで炎上しいくコメント欄。


「ゴメンナサイ。今日の配信は…ここで終わります…ヒック。見てくれてアリガトウ。ダンケ…シェーン。歌が大好きシャルロッテデシタ、ではまたビスダン」

 配信を止めたあと机に伏せて泣き続ける。


「やっぱり私の病気を治したのは一郎なの? イチローが勇者だったのは凄く納得出来たけど、でも病気を治したり、人を生き返らせるとか出来るの?」

 タブレットを手に取り、イチローとのラインの画面を開くが指が進まない。


「どうしよう…」

 タブレットを手に取ったまま、指は一向に進まずにいた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「はいポンポコさんグーテンターク、南ちゃんグーテンターク、これは読み方ぐわじんさんかな? グーテンターク、…」 さらっとっ作者が紛れ込んでたw [一言] シャルちゃん泣かしてんじゃね…
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