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異世界転生しそこなったけど、スキルは貰えたので現実世界で楽に生きたい  作者: ぐわじん
天罰? ノースVSアメリカ

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3-22 宿泊

2020年1月25日公開分 三話目。


3-20 中村さん4から公開

 せっかくだから少し涼しいところに来たかったので札幌のホテルまで来た。それなりに立派なホテルなら変な詮索もされないだろうし、お高めのホテルをチョイス。ロビーも見た感じ広いし綺麗だし、ここなら大丈夫そうな気がする。


「部屋空いてますか? ツインの部屋をお願いしたいんですけど」

 事前にインターネットで部屋が空いていることは確認済だけど。


「はい空いております。一泊で宜しいでしょうか? お手数ですがこちらにお名前と住所の記入をお願いいたします」

 そういって宿泊カードに名前を書き始めたが、神様の名前が書けない。


「あの、すみません。名前は書かないと駄目でしょうか? あっいや、名前が無いので」


「はい? 名前が無い? 申し訳ございません。旅館業法によって義務付けられておりますので…」


「他の宿泊施設でも同様でしょうか?」 


「はい宿泊施設であれば記入が必要になります。あれ? もしかして歌手の名無しさんですか? ああ、だから名前が無いという事ですか。違う? 一緒に宿泊される方が名前が無い、神様? はい?」


「すみません。今回は宿泊を取りやめとさせて下さい」

 フロントを去り、ホテルのロビーを珍しそうに見て回っている神様に相談する。


「どうしましょう、普通のホテルや旅館だと宿泊時に名前が必要だそうです。なので泊まれないと思います、今日のところは自宅に戻りませんか?」


「しかし記者会見で別の場所に泊まると宣言したからのう、本当に泊まれるホテルは無いのかや? 普通でだめなら普通ではないホテルは無いのかや?」

 そういわれて思いつくホテルは有る。しかし、そんなホテルに泊まるのはどうかと思う。いや間違いとかは起こしようが無いと思いますが、そのあんまりよろしく無いかなと。しかし神様がずっとこちらを見続けている。神様のプライドを尊重する必要性もあるしなあ。


「神様。この辺の上空100m位のところで宙に浮き続ける事が出来ますか?」

 そういってグルグルマップで横浜町田のインターチェンジ付近の写真を見せる。


「空中に浮くのじゃ。万が一の事があってはまずいのでしっかりとつかまるのじゃ」

 ホテルのロビーで抱きつくのは恥ずかしいが、神様の背後に立ち、肩の上から手を廻して神様の体の前でしっかりと手を組む。


「はわわわわ」

 転移に必要な掛け声? 変な神様の声が聞こえた後、一瞬で景色が屋外になり周囲を見渡すと見たことがある風景、間違いなく横浜町田インターチェンジの周辺だ。さてどこにするかな、パッと見まわしたところ看板に人工温泉、露天風呂付という広告が目に入った、ここで良いか。


「あの建物の入り口に移動してください」

 そう言って特定の建物の中に入る。部屋は一番高いところ、これかこれで良いや。鍵を受け取り、エレベーターに乗り、そして部屋に入る。

 一通り部屋の状態をチェックし、風呂場の先には外に出れる大きな窓があり、その先はジャグジーになっている。お湯を注ぐボタンが有るので押すと勢いよくお湯が溜まっていく。


「随分綺麗な部屋じゃな。ベットが一つしかないのじゃ」

 部屋に戻ると神様がベットの上に腰かけていた。


「神様はベットをお使いください。私はこっちのマッサージチェアで寝るので」


「マッサージチェア?」

 神様がマッサージチェアに興味を持たれたので、座って貰ってスイッチを入れる。


「きゃっ。はわわわ。うふっ。ほへへへ」

 変な声を漏らしながらマッサージチェアを満喫しているようだ。今のうちに風呂入ってくるか、今日は色々あって疲れたからな。服を脱いで体を洗った後、ジャグジーにゆっくりと浸かる。外からは見えない様になっており、まあただ外にあるブクブク付風呂それだけだな。


 これからどうなるんだろう。数日後にはアメリカで魔族、魔王と戦う事になるんだろうけど、戦闘用スキルとか殆ど用意していないし、そもそも武器だってないよ。どうやって戦えば良いんだろうなあ。死んだらどうなるんだろう、私は復活スキル持っているけど他に復活スキル持っている人なんて居ないだろうし、死んだら皆に会えなくなるという事だよね。

 清子さんには最後ちゃんと挨拶しとかないとな。でも清子さんより早く死ぬって清子さんには申し訳ないよ親の代わりのような人だし、絶対に死ねない。でも死んじゃったらごめんね。あっPCのエロ動画とブックマークや動画の閲覧履歴とか整理しないと。それと同人誌やフィギアも誰かに譲りたいけど、そんなの探している余裕も無いよな。フィギアだけでも大切にしてくれる人にあげたいな。


 バシャーン! 神様が真っ裸で飛び込んできた。いてて、いや全然痛くないけど、つい普通の人間の時の感覚で痛いと勘違いしちゃった。じゃない!


「あのもう出ますね!」

 慌てて出ようとしたら、神様に腕を掴まれた。


「少しだけ話があるのじゃ」

 神様が真面目な顔をしているので、変にチャチャも入れる事も出来ず、そのまま風呂に浸かる。幸いブクブクが良い仕事をしてくれて見えないのが有難い。神様と対面で向かい合う。


「一郎。お前は少し、もう少し不真面目に? …うーん、力を抜く、力を抜いた方が良いのじゃ」

 え? 神様が私を名前で呼んだ。


「正直に話すのは確かに正しいのかも知れん。ただ、正しければ全て許されるという事では無いのじゃ。一郎が私利私欲でスキルを使ったのかも知んが、高レベルに成っていなければ、魔族との戦いに駆りだそうとは思わんかった。結果今対抗できる力を得ているのはお前が頑張ったからじゃ」

 確かに結果論で言ったらそうかも知れないですけど。


「仮に私利私欲でスキルを悪用してお金を稼いでいました、結果的に魔族と戦う事になったので応援して下さいと言って周囲から理解や賛同を得られるのかや?」

 それはそうですけど、ただ事実とは違いますし。


「目的を達成するためには、多少の嘘や非道な行いも必要なのじゃ。戦争をして誰も死なずに傷付かずに終わらせることが出来るかや? そんなのは無理だと分かるじゃろ。地球上の歴史を見れば多くの人の犠牲に現在が成り立っておる。

 最終的に多くの人が助かったり、楽に達成出来るように、少しくらい言い方を変えるくらいの工夫が必要じゃ」


「…」


「今この時にもアメリカでは多くの人が苦労しておる。自分が嘘をつかない、それを優先する事で魔族、魔王を倒すのが必要以上に延びた場合、その苦しみをお前は背負えるのかや?」

 神様の言いたいことは分からないでもない、私の安っぽい考えだったのだろうか。


「有る程度力をつけるまで雌伏していた、歌手になったのも全て神からの指示であったとという事にしておくのじゃ。別にそれで誰が傷つく話でもあるまい。

 表舞台に立ったことでこれからもっとひどい目に、言われも無い酷い事を民衆から言われる可能性も高いのじゃ。スタートライン位は障害が無い状態で始めたくはないかや?」 


「はい…。あの、だとしたら何故記者会見で記者たちに対して優しく接しなかったのですか? その方が効率的なのでは?」


「それはマスゴミが嫌いだからじゃ。あとお人好しのお(ぬし)がきっと間を取り持つだろうと思ったのじゃ。それで我はワガママな神様、それを(なだ)めて誘導する名無し、神を操る名無し、これでお主の立場は良くなるはずじゃ」

 そんな事まで考えていたのか。


「だいたい、プリンや生クリーム程度で言う事をきかせられるとか、どんだけ安いんじゃ」


「そうだったんですね。そういえば冷蔵庫にサービスプリンが入っていましたけど、不要ですよね?」


「一郎。それはそれ、これはこれじゃ。むろん食べるのじゃ」

 やっぱりプリンで買収出来そうな気がする。そしてしばらく無言の時間が流れ、思い出したように神様が話しかけて来た。


「一郎は嘘をついたら我の反感を買うと思ったじゃろ? 罰するようなことはせんと伝えておったが、もう少し早く伝えておれば良かったの、悪かったのじゃ」


「そんな、神様が謝る必要なんてありません」


「別に地球がどうなっても我は構わん、どうでも良い事じゃ。スキルを悪用? 別に構わないのじゃどうでもいい世界じゃからな。でも一郎にとってこの地球はどうでもいい世界では無いのじゃろ? これから忙しくなるのじゃ今日はゆっくりとベットで休むが良い。我はマッサージチェアが気に入ったのじゃ」


「はい、ではお先に失礼します」

 お風呂を先に出て、神様にお言葉に甘えてベットで眠る事にした。直ぐに眠気が襲って来て眠りについた。

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