3-11 神様のようなもの
2019年10月13日公開分 五話目。
3-7 天罰2から公開
しかし神様は何時までこの部屋にいるつもりなのだろうか。落ち着かないから帰って欲しんだけど。でも帰れとか言ったらそれこそ失礼だよなぁ困ったなぁしかも間が持たないよ。今神様は自分の顔を両手で引っ張たり歪めたりしている。
「もう言いたいことは無いのかや?」
チャーンス、これは帰って貰える絶好のチャンスだ。早く会話を終わらせて帰って貰おう。
「はいありがとうございます。スキルの使用について不安があったのですが、許可も頂けたことですし有難く活用させていただきます」
ここで念押しで確認しておく、これで後になってスキルを理由に責められた時に言い訳しやすくなったはずだ。やっぱり会議の終わりには要点をまとめるとか社会人スキルが発動したな。そんなスキルは鑑定でも表示されないけど。
「……」
「……」
えーと何で帰らないの? また顔を両手で弄っている。いやもう帰ってくれても良いんじゃない?するとキュルキュキュルという音が神様の方から聞こえた。
「お腹が空いたのじゃ」
え? それって私が用意するって事? いやいやいやいや神様に提供出来るような食事何て出せませんって。
「お腹が空いたのじゃ」
再度キュルキュルとお腹が鳴った。でも空腹は可哀想だな家に何かあっただろうか。
「あの何かお召し上がりになられますか? 家には大したものが無いですし、それほど料理が得意とい訳でも無いのですけれども」
「何でも良いから早く用意するのじゃ」
急ぎキッチンに行って冷蔵庫を開ける。とにかくご飯を食べさせて帰ってもらおう。冷蔵庫を見るとほぼ何も無い、自炊している時間的な余裕なんて無いからね。調味料とかチーズ、バター、飲み物位だ。冷凍庫を開ける冷凍した肉、食パン、ご飯、アイス、保冷剤、レンジでチンする唐揚げとおやつ。ご飯と冷凍唐揚げで良いか。
冷凍ご飯をレンジでチンして、その後唐揚げもチンする。カップに粉末のコーンスープを入れてお湯で溶かしてスプーンでかき混ぜる。一応出来たけど神様に出すご飯じゃないし朝食でも無いよな、でも無いんだから仕方ない、仕方がないんだ。ご飯を茶碗に盛り付け、テーブルの上にそれらを置く、えーとああ箸、それと調味料も一通り置いとくか。
「神様ご飯の用意が出来ました。こちらに来て貰えますでしょうか」
「うむ」
神様をテーブルの前まで案内し椅子を引くと、椅子に座ってご飯を食べ始める。…が、箸が上手く扱えないようだ。慌ててスプーンを取りに行き渡そうとしたところ、口を開けて待っている神様がいた。えーと、これは私が食べさせろという事か? 勘弁して欲しいが早く帰って貰いたいのでおかずをスプーンで掬って口に運ぶ。
「美味しいのじゃ! その白いのも寄こすのじゃ」
多分凄く喜んでくれているようだ、無表情だから分かんないけど。また口を開けて待っているので今度はご飯をスプーンで掬い口に運ぶ。
「さっきの方が美味しいのじゃ」
「えーとご飯は先ほどのおかずを食べている最中に追加で食べるような物? なので…」
「じゃあそのようにして寄こすのじゃ」
おかずを口に運び、少し咀嚼したところでご飯を口に運ぶ。
「さっきよりも美味しいのじゃ」
その後コーンスープもフーフーした後に飲ませて上げるとそれも喜んでくれた。なんか美味しいって言ってくれる人がいるのは嬉しいな、悪い気がしないでも早く帰って欲しい。
「久しぶりに食事ですっごく美味しかった」
食事が終わり満足していただけたようです、無表情だけど多分満足していると思う。でも神様キャラぶれていますよ。
「そうなんですね。どれ位ぶりだったのですか?」
「うーん、数万年ぶり…なのじゃ」
「長っ! 食べてない期間長っ! 食べなくても大丈夫なのですか?」
「普段は実体化していないから食べないのじゃ。なので同じく寝たのも数万年ぶりだったのじゃ」
「ブラック過ぎるだろ」
「ブラックかや?」
「あっいやっ、長時間連続で働き続けるとか厳しい世界だなと。気にしないで下さい人間世界の話なので」
起きているからと言ってずっと働き続けているとは限らないよね、ちょっとツッコミが的外れだったかも知れない。しかし神様が帰る気配が無い。参ったなあ、やっぱり帰ってくださいとか言わないと駄目なのかな。
「……」
「……」
間が持ちません。下手な発言をしてミスをするよりも沈黙を選択した。でも神様も話さないから何もしない時間だけが過ぎる。逆にこれはこれで失礼にだったり不満を持たれるような事は無いだろうか? かと言ってTVを付けるのも失礼な気がするし、TVに興味を持たれて長引いても嫌だ。
それにしても何しに来たんだろう? 私の質問に答えに来てくれたのかも知れない、スキルを使って良いよと、でもそれなら既に要件を満たしたのだから帰って良いはず。でも帰っていない、という事はまだ用事が残っているという事か? じゃあ何でお願いしないんだ? 分からん、まったく分からない。このままだと何も出来ないのでリスクを負ってでも会話をするべきだろう。失礼にならないような話、話…。
「お前にお願いしたことがあるのじゃ」
ぐはっ! やっぱりそうだよね、何の目的も無く来ないですよね。拒否権など無いだろうしやるしかないよね。
「この世界に魔族が来ているのじゃ、アメリカで人を殺しまくっているのは魔族なのじゃ。そこで魔族を倒すのを手伝って欲しいのじゃ」
「えー!? 金属鎧殺人鬼は宇宙人では無くて魔族だったのですか?」
「そうなのじゃ、この世界には魔族が居らんかったが、この世界に魔族が来たことで昇進して魔王となったのじゃ」
昇進するのかよ。というか役職なの魔王って? 一応勇者だから日本に来たら戦おうかなと思ったけど、アメリカまで遠征して戦うのか。
拒否出来ないよねきっと、でもそうしたら日本での芸能活動は止めないとまずいよな、困ったな既に仕事の予定が入っているから。
はぁ~どうしようどうやって仕事を断ろう。実は勇者なのでアメリカで人を殺しまくっている金属鎧殺人鬼は魔王で倒す必要があるので休ませてください。と言ったら頭おかしい人だと思われるし実際に既に約束した仕事に行けなかったら違約金みたいなものを請求されそうな気がする。
というか神様なんだから自分で戦えば良いのに何で他の人にやらせるんだろう? 星の環境を変える事が出来るくらい凄いなら魔王も倒せるんじゃないの?
「何か不満でもあるのかや?」
「いや不満という訳では無いのですがちょっとだけ疑問に思った事がありまして、決して怒らないと約束して貰えないでしょうか?」
「うむ、怒らないのじゃ」
よし、言質は取ったぞ。
「神様のお力で直接魔王を倒す事は出来ないのでしょうか? あっいや、強いのでしたら態々他の人に任せなくても出来るんじゃないかなと思った次第で…はい…」
「多分出来るのじゃ」
「出来んのかよ!」
じゃあ何で人間に討伐を依頼するんだよ、自分でやればいいじゃないか。
「うむ。現地人に許可を貰えたので我がやるのじゃ良かったのじゃ」
あれ? 私が許可した事になっている? 神様に対して私が許可を出したの? それおかしくない? 何か凄く気になるんですけど。
「別に責任を負わせる気は無いのじゃ。我の気分的な問題なのじゃ」
「気分かよ!」
いや気分だけの問題で魔王を攻撃するしないが決まるの? だったら別に勇者を用意する必要がないんじゃないの? じゃあ何で勇者を勧誘するような面倒な事をするんだろう、神様に任せていいのだろうか、何か嫌な予感がする。
「ん? いや後で被害が出た時に自分から積極的に攻撃したから人を巻き込んでしまったとなったら、あまり気分が良く無いのじゃ」
「えーー。いや、人を巻き込むのですか?」
「積極的に人を巻き込むつもりは無いのじゃが、結果的に巻き込まれる場合もあるのじゃ。その時に気分的に許可を貰っているのといないのでは違うからの」
「いやいやいやいや、そんな私責任を取れませんよ」
「誰も責任を取れなどと言っていないのじゃ。あとになって犠牲が出た時にお主の許可を思い出して気分的に楽になろうと思っているだけじゃ」
神様は体の向きを東側に変えて、両手を自分の腹の前で構える。右手を上に、左手を下に、まるで丹田に気を溜めるようにも見える。何度か責任が取れないので止めて欲しいと伝えたがその構えを解いてくれない、困ったなぁ。ちなみに顔が見えてないと只の裸体に紐なので超エロい、じゃやなかった困ったなぁ。
自分の中でエロシーンがあるアニメとかは好きではありません。
エロはエロで、必要だったら専門性の高いエロい作品を見るよと。
なので書く場合には軽い、軽微なエロシーンだけにしたいです。
じゃあ書くなよと言われたら、はいそうですね。
じゃあ何で書いているんだよ、…まぁそういう事で。
この続きに一話あるんだけど、上手く続かない。
そこを含めて10月26日に予約投稿するつもりだったけど、そこまでに書ける気がしない。
なので先にここまで分出す事にしました。
これが終わるとノース編で11月末の公開予定です。




