3-2 旅番組1
2019年9月28日公開分 二話目。
3-1 告白2 清子さん雅美さん2 から公開。
シャルが退院した。忙しくてお見舞いには行けなかったが良くなる分には良いだろう。復活スキルの翌日には意識が回復し、三日後には歩けるようになった。その後発作も無くなって、しばらく調査入院をしていたが病気と思われるような兆候も見つけられなくなったので退院となったらしい。
「イチロー、アノネ、タイイインシタノ。ビョウキナオターヨ」
「おめでとうシャル。日本語上手くなったね。あとタイインね。タイイン。イは2つだよ」
「タイイン? タイイン! タイインシタヨ!」
電話から聞こえるたどたどしい日本語は、超、超かわいい、でへへ。なんでたどたどしい日本語って可愛く聞こえるんだろう不思議だな。話したいことが一杯あったんだろうその後は普通にドイツ語で会話した。
「イチローありがとうね。色々と本当にありがとう」
エマの少し声が震えている。
「エマ、別に私は何にもしてませんよ。シャルやエマが一生懸命頑張った結果ですから」
「ううんイチローのお陰よ。本当にありがとう」
でも治って本当に良かった、神様ありがとうございます。という事で仕事を一生懸命する必要性は低くなった。少し芸能活動はセーブしよう、うんそうしよう。ヨンミュージックの担当者に今後の仕事量について相談をする。
「ええー勿体ない、忙しくて辛いのは分かりますが今だけですよ、こんなに忙しいのは。大体一年もすれば休めるようになったり、そもそも仕事が激減したりするんですから。
…分かりましたこれからの依頼分、12月以降は少し予定を減らしますが、その分値段も上げていきましょう。ただ既に予定を入れたものはキャンセル出来ないのでそれまでは引き続きよろしくお願いします」
ぐはっ頑張り過ぎて仕事を入れ過ぎた。いやだって命が掛かってたから、がむしゃらに取り組んだ結果なんだけどさ、まあ仕方ない。体的には全然大丈夫なんだけど精神的にキツイんだよね、芸能人ってマジ凄いわ。
「あと明日のTV局での打ち合わせですが、その前まで別の打ち合わせが入っていて結構ギリギリになりそうなんで、先に待合室まで行ってくださいね」
旅行番組に出演する事になっていてその事前打ち合わせ、そして翌日が収録日となっている。
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はぁ~気が重い、電車に乗ってぶらり旅するらしい。しかも一人で話して進行するとか上手く出来る自信がない。なんで引き受けちゃったかなー、当時の自分に言ってやりたい、仕事を選べと。引き受けてしまったんだから仕方がないんだけどね。
「広っ!」
案内された楽屋は普段の数倍の大きさだ思わず声が出ちゃった。普段は六畳位なのに、これ教室ぐらいの広さがあるんじゃない?
「このままここでお待ちください。この場所に関係者が集まって打ち合わせしますので」
ADさんがそう言って出て行った。そうだよな会議場所っていうなら分かるわ。でも机と椅子の配分からしても、そんなに出る人は居なさそうだな、五、六人といったところか。
机の上に置いてあるお弁当やお菓子、ジュースなどに目が行く。通常の一人楽屋なら自分のために用意されたものだから食べて良いんだろうけど、今回のような場合はどうしたらいいんだろう。食べていいのかな? お菓子やジュースは良いだろう沢山有るし、弁当は…とりあえず見るだけ見るか。
どれどれ一番上は伊達牛タン弁当。旨そー、絶対美味しいよね? 結構高いよね? あーこれ食べたい。その下は何かな、スペイン産イベリコ豚重。うっほ、これも美味しそうだな牛タン弁当とも甲乙つけ難い。
その下は極上焼き鳥弁当。鳥だから一段階低くなるかなと思いきや、そんな事は無い。透明な蓋なので中の物が全て見える。つくね、もも、レバー、皮、ねぎま、唐揚げ、半熟卵などがびっしりご飯の上に敷き詰められている豪勢な一品だ。
いやー三つとも食べたいな、さてさてその下はー、結構大き目なのり弁。一気にランクが下がったな。いやのり弁好きだけど先ほどまでの弁当と見比べるとどうしてもね、うん。とりあえず一番上をのり弁にして、先ほどとは全く逆の順番で積み上げておいた。これなら牛タン弁当が回ってくるかも。
早く着きすぎたので打ち合わせまでにまだ時間が大分ある。待っている間に台本を斜め読みする。結構細かく書いてあるけど本当にこんな細かく決められているの? ぶらり旅じゃないの?
コンコン。ノックの音が聞こえるので返事をするとドアを開けてプロデューサーらしき人が入って来た。席を立ちお互いに挨拶をする。
「初めまして。この番組のプロデューサーの高橋です。よろしくお願いします」
ほほー高橋さんね、覚えましたよ。よろしくお願いしますね。
「あれお弁当食べなかったんですか? おい、これ片付けて」
「はい」
そう言って先ほどのADらしき人がお弁当を全部持って出て行ってしまった。しまったー食べれば良かった、弁当が遠ざかっていくのをただ見つめる事しか出来なかった、はぁ。
「あれ食べたかったんですか?」
思わず出た溜め息で気が付いたようだ。
「あっいやっ、その、出来れば食べたかったかなーなんて」
「|名無し(仮)《ななしかっこかりかっことじ》さん遠慮しないでそう言って下さいよ~。じゃあ持って来させますね。さっきのお弁当持ってきて」
戻って来たばっかりのADが明らかに一瞬嫌な顔をした。しかし「はい」と返事をして直ぐにまた部屋から出て行った。
いやーそうだよねー片付けろって言われたからか片付けたのに、また持ってこいとか仕事を増やしてしまって申し訳ない。そして戻って机の上に置かれたのはのり弁一つ。ええーこれじゃないんだけどなぁ。
「あのーかっことじは不要ですのでー」
それとは別に間違いは正しておかないとね。
「了解しました名無し(仮)さん。じゃあ、打ち合わせを始めましょうか」
気持ちを切り替えて打ち合わせに臨まないと。今後のためにプロデューサーを鑑定しておくかな。
「えええ!!!」
「どっどうしました、名無し(仮)さん」
鑑定した結果と違う、驚いて思わず声が出てしまった。鑑定すると“田中 真一 職業:アルバイト”と表示されている。
「いっいえ何でも。ちょっと…すみません何でも無いです。ちなみにそちらの方をご紹介していただいても良いですか?」
先ほどADと思われる方も一緒の席に座っている。一応鑑定したので結果を確認したい、ポーカーフェイスの技も発動して平静を装う。
「えっと…彼はこの番組のADで同じく高橋です」
嘘だ。いや嘘というのは語弊があるな、鑑定結果が明らかにおかしい、彼の鑑定結果は“伊集院 賢次 職業:俳優”となっている。お互いに挨拶をするが正直それどころではない。明らかにスキルに異常をきたしている。どうしよう、もしかして歌にも影響が出ている? あれ次歌うのっていつだったっけ? やばいやばい。
「すみません。遅くなりました失礼しますね」
ノックの後にヨンミュージックの担当者が入って来た。たっ担当さーん、凄く心強くなった。不安だったけどきっと何かあればフォローしてくれるはず。
担当さんを鑑定をすると正しく表示された。という事は新規に鑑定をした人だけおかしい? あるいは確率で正しく表示されない? 全部が駄目になった訳では無い? 歌も確認したいけど今は無理だな。
「いやー名無し(仮)さんのファンで、是非番組を一緒にしたいと思っていたんですよ。歌声凄く素敵ですよね」
こっこれだ! プロデューサーから良いフリが来た、このタイミングなら歌える。ラララーと軽く声を出してみると結構いけそうな感じがする、よし。
「ほげーほげー♪」
おおっ、全然歌えるぞ。プロデューサーの表情が凄くウットリしているので、そのまま一番を歌い終わるまで歌い続けた。歌は全然大丈夫みたいだ良かったーー! という事は鑑定だけ? 神様も他の人に迷惑を掛けたら不味いと思って範囲を限定した? 一気にスキルを制限された訳じゃないか、あー神様の真意を確認したいけど会えないから無理だよな。
「有難うございます、素晴らしい歌声ですね感動しました。じゃあ打ち合わせを始めますか」
失敗したって生きていれば儲けもの、生きていれば儲けものだ。よし。とにかく打ち合わせに集中しないとな。
名無しのメジャーデビュー時の芸名がついに明らかに。
って誰も気にして無かったと思うけど、変えたとも言ってないし。
デビューする際に、名無しから名無し(仮)に改名してます。
というかこれも一時的な名前でデビューを急いだので。
落ち着いたら、後でちゃんと名前を考えてから改名しようという思惑があったようです。
特に説明していませんでしたが、鑑定R1だと名前と自分が追加した情報。
R2だと追加で職業、HPが分かります。
もしかしたら、後で他にも見える何かを追加するかもしないかも。




