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04 分かったこと

自動回復スキルはHP自動回復スキルに変更しました。

 スキルを覚えてから一週間程経過して、色々と分かったことがあった。自分を鑑定して表示されたスキルや状態を鑑定すると、説明が追加で表示された。最新のステータスはこんな感じ。


H P(ヒットポイント):50/50【100】

SKP(スキルポイント):44/47【50】

M P(マジックポイント):50/50

STP(スタミナポイント):30/50

攻撃力:4

防御力:4

素早さ:2

器 用:5

知 力:18

羞恥心:8

状 態:大怪我

スキル:HP自動回復R1、痛み耐性R1、鑑定R1

特 別:言語理解R2

称 号:生還者、新米勇者

スキル習得ポイント:94


 どうやら、状態が悪いとステータスも低くなるし回復も遅くなるらしい。瀕死から大怪我に変わったらパラメータが上昇していた。それと羞恥心はかなり変動があって、恥ずかしい事があると上がって時間経過で下がっていく。だからと言って何かが起きている感じがしない、特に意味なんて無さそう……。


 スキル(ランク)2を覚えるためにはR1を覚えている必要がある。スキル習得ポイントでスキルRを上げる事は可能だが、経験値を稼ぐ手段が分からない現状では、自分自身のLVを上げられないのでスキル習得ポイントが増える見込みがない。


 ただR制なら、使っていると熟練度が上がり効果が増すのではないだろうか? 神様も戦闘経験がどうのこうのって言ってたような気がするし、どれくらい熟練度を高めたらRが上がるかは分からないけれども、繰り返しスキルを使うしかないな。


 今分かっている取得可能スキルは、魔法系:光、闇、水、土、風、火。耐性系:毒、状態異常。生産系:錬金、薬学、鍛冶、木工、陶芸、縫製、調理、魔道具。攻撃系?:剣、槍など多数。他にも知識系や芸術系、その他分類が難しいものまで見つかった。


 まだペンを持つ事も出来ないので、流石に全てを暗記しきるほどの頭も無いし、一度見つけたスキルを忘れちゃったり、再度思い出したりしている。でも、今のところこれだ! というスキルは無い。

 魔法系は興味をそそられるけど、地球で魔法が使えるのだろうか? 覚えたけど大気中にマナが無いので使えませんとか、魔法書が無いので覚えられませんとか、そんな事になったら目も当てられない。とにかく慎重に事を進めないと駄目だな。


 とりあえず、今できる事は……、うん、スキルを使いまくって熟練度上げだ。という事で、ギブスで固めている両手を叩き合って、ダメージを与える。若干痛みも出るけど耐性があるから全然大丈夫、定期的に鑑定でダメージを確認しつつ繰り返す。これでHP自動回復と痛み耐性、鑑定の熟練度が溜まるはずだ。思わず笑みがこぼれる、俺って天才。


「元気してる?」


「……」

 ニヤ付きながら、ギブスを叩き合っているところに清子さんが入って来た。人間って驚くと声も出ないんだね。


「……、やっぱり。あれよ、性癖はひとそれぞれだけど、そういう事は退院してからにしなさいね」

 目線を少し外しながら、もじもじしながら注意してきた。


「ちっちがいます! 誤解ですよ! ひっ暇なんでリズムを取ってただけなんですよ、いっいやだなぁあもう」

 完全にマゾと間違えられている。滅茶苦茶誤解なんですけど、入る前にノックぐらいしてよね。



 その後も、叩きに叩きまくる。翌日も、翌々日も、でも全然Rがあがらない。代わりに状態が大怪我から怪我に変わって、ステータスもあがるし、回復量が増えてきた。バットステータスによって阻害されていたものが解消されたのとHP自動回復スキルのお陰かな、このままだと早く退院しそうだよなぁ。


 そしてついに、状態が正常になってしまった。多少ギブスで叩き合ってもダメージが入らなくなった。しまった、どうしよう。考えながら部屋を見回すと、ベットのすぐ横にはテーブル兼収納棚がある。

 一番上の引き出しを引くと中には果物ナイフがあった。それを手に取って眺める。これで刺したらダメージ入るんじゃないか? 痛いかな? 多分痛みには耐えられるはず。切り過ぎて、やばいところを切ってしまって、出血ダメージで死んじゃったりしないかな?


 いやいやここは病院だし、最悪でも助かるんじゃないかな。でもベットが血で汚れたら迷惑かけちゃうし、うーん、ちょっと指先を切るくらいなら何とかなるかな。右手にナイフを持ち、左手に向けて震えながら…。


「おはよう元気してる…」

 清子さんが入ってきて、視線を清子さんに向け、目が合う。俺の右手にはナイフ、その先には左手。一瞬の沈黙、俺の体も手の震えも止まった。


「きゃあーーー、何しているのイチロー!」


「どうかしましたか?」

 悲鳴を聞いてそばに居た看護師が数名入って来た。悲鳴を聞いた瞬間にナイフをベットの上に投げ捨てたので、看護師にはナイフが見えない筈。しかし、このままだとまずい事になりそう。なんとかしないと。

 どうしよう、清子さんに助けを求める視線を送る。目が合い、俺が頷くと清子さんも頷いた。どうやら分かってくれたようだ。


「すみません。取り乱してしまって。あの、非常に言いにくいのですが、ちょっとナニを取り出してナニをしようとしていた所を見てしまったので」

 いや、それ凄く変な意味に取れてしまいますよ! 凄く恥ずかしい、もうこの病院に居られません、しくしく。しかし、そのセリフに納得できたのか、ああそうなんですねー、とか、紛らわしいわー、的な感じで看護師が出て行った。そして部屋の戸を閉めて、叔母と二人になる。


「理由を聞かせて貰えるかしら」

 質問で聞いているけど、答えを要求しているんだろう。でもスキルR上げの関係で怪我を負うつもりでした。などと言って納得してくれるだろうか? 無理だろうな。しかし、叔母はどんどんと急かすので、何かを答えないと。


「あの、ギブスで固定している個所が痒くて、取り外そうかなと」


「嘘ね。だったら看護師に普通に頼めばいいじゃ無いの」

 直ぐに嘘がバレました。本当の事を言っても信じて貰えないだろうし、仮に信じて貰えたとしたら頭がおかしくなったと思うだろう、ならば……。


「凄く恥ずかしい話なんですが、実はマゾなんです」


「やっぱり。そうだと思ってたわ」


「で、普通の刺激じゃ足りなくなって、ついナイフが目に入って、これで刺したら気持ちイイんじゃないかと思ってしまって」


「駄目よ、そんなことをしたら。聖子(主人公の母)も悲しむわよ」


「分かっています。普段はこんな事しませんし、ちょっと欲求不満が溜まってしまったのかも。もう絶対にしません」


「そう、ならいいけど。どうしても我慢できなくなったら、あの協力してあげない事も無いから相談しなさいね」

 え? それどういう意味ですか。いずれにしても死にたいくらい恥ずかしい。もういやー。

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