2-22 清子さん雅美さん
2019年2月23日、公開分、四話目
2-19 決意2 から公開しています。
■2-19の話の最後の方、2-20の話より一日前の話、
つまりシャルの病気を知った日の翌日でかつ歌唱スキルをR4に上げて動画公開した日
名無しのツイッターが更新されているので確認する。なになに、はぁー、書き込みを読んで失望する。一晩でどれだけ成長するってのよ、大袈裟過ぎるわ。昨日の今日なのよ、いくらシャルちゃんのために頑張るって言っても無理でしょまったく。昨日も拡散を希望していたし焦り過ぎなんじゃ無いの?
とはいえ確認もせずに否定するのは良くないので、曲を聞いてから一郎を叱らないと。もう少しちゃんと地に足をつけて活動しないと駄目だって、そして動画を観る。
一郎の歌声が私の心にダイレクトに届く、心が振るえる。自然と涙がポロポロと頬を流れ、そして一郎が私に向かって大好きだって言っている事が分かる。いやただ歌の歌詞なんだろうけど、そう思える。
聞いているだけで一郎の子供が出来ちゃうと思えるくらい素敵、いやする訳ないけど。もう駄目、一線を越えてしまいそう。
そして次の動画を観る、物凄く感動し涙が止まらない。何なの、これがシャルちゃんへの愛の力なの? 嘘でしょ? ああー私にも愛を分けて欲しい、一郎を独占したい。そして動画を繰り返し観る、駄目、もう駄目、感動しすぎてこれ以上見続けられない、うぅー。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ただいまー。 ……あれ? 母さん居ないの?」
家に帰るが母さんからの返事が無い、いつもなら必ず返事をくれるのに。リビングに入ると母さんの背中が見えた。
「なんだいるんじゃん母さん。ってどうしたの!」
母さんが泣いている事が分かった。しかも尋常じゃない無い泣きっぷりだ、こんなに泣いている姿は見たことが無い。先日一郎さんが事故で入院した時も泣いていたけど、でもこれ程では無かったわ。全然涙が止まらず体が震えているので母を抱きしめた。
「ねえ何があったの?」
あんなに強い母さんがここまで泣くなんて…。
「一郎が一郎が、ごめん無理、もう駄目よー、ううぅ」
また一郎さんに何かあったの? 交通事故にあって死にそうになって、病院で階段から落ちて死にそうになったけど、今は元気に回復して生活していたじゃない。
だけど不幸の連続の一郎さんの事だから、まっまさか、死んじゃったの? 本当についてないわね。そっか、お付き合いしていたからより一層悲しいのよね、可哀そうなお母さん。そして気の毒な一郎さん、うぅ。
「で式(お葬式)はいつなの?」
「え? 式? 何?」
「だから式(お葬式)はいつするの?」
「無理よ! そんなの! 駄目よ!」
「何言っているの! しっかりして母さん、貴方がしないで誰がするというの!」
母さんが喪主を務めなければ、誰も葬式を取り仕切れる人なんて居ないわ、親戚と言ったらうちしかいないんだから。
「雅美は…応援してくれるの?」
「何言っているの当たり前じゃない! 家族なんだから」
「有難う雅美、うぅぅ」
「で何が原因なの? どうしてそうなったの?」
何が切欠で死んだのかしら? また交通事故?
「いやっ、そんな踏み込んだ事を言うのはちょっと…」
「目を背けちゃ駄目よ! ちゃんと自分の中で認める事から始めないと」
「そう? そういうものなの? 良く分からないけど、最後の一押しは歌だったと思うわ」
「歌!? 歌が原因で死んだの?」
「ん? 誰か死んだの? え? 一郎は死んではいないわよ」
「はあ!? だってあんなに泣いていたじゃない!」
「歌がうますぎて感動しちゃって、ぎゃふん!」
母さんが余りにも紛らわしい事をするので、思わず脳天にチョップを喰らわせてしまった。本当に紛らわしいわね、まったく。しかしそんなに号泣する程の上手さなの? 大袈裟なんだから。
「あんまり号泣するから一郎さんが死んで葬式でも上げるのかと思ったわよ」
母さんは床にゴロゴロと転がって悶絶している。いやいやそこまで痛く無かったでしょ、本当に大袈裟なんだから。
「はっはずかしい!」
叩いた時よりも激しく転がっているからこれは叩いた私への当てつけかしら? いまだにゴロゴロ転がりながら何が恥ずかしいのか分かんないけど、恥ずかしい恥ずかしいと呟きながら悶絶するのは止めてよね。で、その歌はどれなの? PCには複数動画が表示されていたので、タイトルを見てっと、とりあえず一曲目はこれか。
あれ? 名無し? もしかして茜ちゃんが好きな人って一郎さんだったの? まあ、それは置いておいて取りあえず聴こう。
「うっうまい、上手すぎる」
一曲聞いている最中に、この歌声をずっと聴いていたいと思った。次の曲、次の曲が聴きたいと思った。最後の曲はバラードで、終わって気が付いたけど涙が止まらず流れ出ていた。一郎さん大好き、結婚してください、いや嘘です、そこまでじゃないです、条件反射的に思っただけです。
はっそうだ! これは素晴らしい才能だわ皆にも教えてあげないと、動画のURLをつけて知り合いに拡散をお願いする。これでよしっと。
「ねぇ母さん、一郎さんはいつから歌を歌ってたの?」
お茶を飲みながら落ち着きを取り戻そうとしている。
「えーと、去年の十月…中旬位だったかしら? 歌手になるって。最初に歌声を聞いたときは全然どこにでもいるその辺の下手くそだったけど、三十分位でプロ並みに歌えるようになってびっくりしたわ。そこから一皮剥けるまでに時間が掛かったけど、でも約八カ月でここまで上達するとは思わなかったわ」
「歌手を目指して八カ月? 八カ月でここまで上達したの? 冗談でしょ! 昔からやっていたんじゃないの? 信じられない…。そんな訳無いでしょ、大体三十分で歌が上手くなる訳ないじゃん」
「そうね確かに三十分で歌が上手くなる訳無いわね、からかわれたのかも? でも急激に上手くなったのは今日からよ。昔の動画もあるから聞き比べてみればわかると思うわ。でも今回はシャルちゃんへの思いが一晩で覚醒させたんでしょうね」
「はい? どういう事?」
「シャルちゃんは余命いくばくも無いと知って、一郎の音楽活動を邪魔しちゃ悪いからって、自ら面会や接触を止めたの。
一郎はそんなシャルちゃんからプロポーズされていたらしいの、断ったみたいだけど…。昨日、余命が短くて一郎を思って面会を止めていたことをエマさんから聞かされて、多分一郎の中で何かが変わったんじゃないかな」
「ふーんそういう事もあるのね。で、母さんは一郎さんと結婚しないの?」
「なっなっ何言っているの! する訳無いでしょ!」
顔を両手でパタパタと猛烈に仰ぎながら否定している。
「そう? まあ、それならそれでも良いけど」
好きだけど結婚しないのか。私に遠慮しているのかしら? まあ結婚したいって言うなら反対はしないけどね。
R4の好感度増加で、好意を持っている人にはより一層、そうでない人でもそれなりに上がってます。
やっとこの話を書くことが出来たわ。
今週はここまでです。なんかノースの方が主人公適正ありそうな気がする。
更新頻度はゆっくりですので、気長にお待ちください。今週は有給一日、健康診断一日で余裕があったので。
続きが物凄く、もやっとしているので、来週末アップできないかもするかも。
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