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異世界転生しそこなったけど、スキルは貰えたので現実世界で楽に生きたい  作者: ぐわじん
芸能人、歌手を目指す

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2-14 アメリカ

2019年2月17日、公開分二話目。

2-13 中村さん3 から公開しています。

 いくつものセキュリティゲートを進むと目的の会議室が見えた。会議室の前には警備員、それと女性が一人立っており、部屋の前まで行くと女性から機密保持契約のサインを求められる。普段から秘密保持契約をしているのになぜ今更という思いもあるがサインしてから中に入る。


 会議室には既に複数人が座って会議を待っている。一人はCIA長官のシーアイで私の上司だ、それとFBI長官のエフビー、アメリカ北方軍司令官のグレース、あと見慣れない男性がいるが誰だ?


 会議室のドアが開き大統領が入って来た。一斉に立ち上がって挨拶するが、手で構わないと直ぐに返し席に座った。


「もうすぐクリスマスなのに急に呼び出して申し訳ない。しばらく休みとは無縁と思ってくれ。では会議を始める、この映像を見て欲しい。これは昨晩コロラドの田舎町で暴漢が店を襲った時の映像だ」

 全身金属鎧を着た大男、いや人か? とても人とは思えないサイズ、熊と言ってもいいくらいのでかさだ。そしてその男が自分より大きな盾を持っている。有り得ないだろあの大きさの金属盾を持つとか。そして盾の先から火の粉が降り注ぎ、弓矢で木を爆砕する。


 最終的には住民から銃で撃たれ、ハチの巣になって倒れた。まあありゃ死ぬだろうな。別の映像に切り替わった後と、しばらくして死体が消えた。


「はあ? なんだ今のは! トリック映像か何かか!」

 態度の差はあれど、会議出席者はほぼ同じ反応を示している。


「落ち着いてくれ。トリックでも何でもない実際に消えたんだ。そしてその暴漢が持っていた武器や防具の成分表だ」

 タブレットに着信のアイコンが表示されたので、叩くと成分表が表示された。はあ?


「分かったと思うが、地球上で未発見の成分の物質が含まれている事が確認された。そして鎧の破片にも同様に未知の物質が含まれていた。また血痕を分析したところ人間ではなかった」


「はい? じゃあ何だと言うんですか」

 シーアイが質問をする。


「トニー、あー彼は宇宙局の者だ。トニー密入国以外の宇宙人は、居場所が特定されているんだよな」


「はい全て特定しております。発信器をつけており、ここ数日おかしな動きはありませんでした。もし今回の件が宇宙人であれば密入国と考えられます」

 なるほど。宇宙人の可能性という事かそれなら消えたりするのも理解が出来る。って理解出来るかっつうの! なに宇宙人とか全然理解出来ない、宇宙局? 知らないんですけど、上司たちは平然としているので、意外と当たり前の話なのかも知れない。


「宇宙人に関する条約を説明してくれトニー」


「はい。密入国に限定して説明します。宇宙連合に所属している星の宇宙人だった場合、生命与奪は地球側に委ねられていています。なので殺しても構いません。また逮捕や殺害に対しても協力を得ることが出来ます。ただし、宇宙連合に属していない宇宙人の場合、宇宙連合からの支援は得られません。勝手にどうぞというスタンスです。


 ん? 支援が得られない理由ですか? 宇宙連合と属していない星の間で戦争になるのを防ぐためです。続けます。密入国した宇宙連合に属している宇宙人が持っていた物は基本捕まえた、あるいは殺した者が所有権を得ます。あくまでも基本です。もしオーバーテクノロジーと思われるものがあった場合は宇宙連合に没収されますが、十年二十年程度先の技術なら問題なく入手出来ます、場合によっては交渉で入手が可能だと思われます。

 

 属していない宇宙人の場合は特に定めはありません奪った者勝ちです。ただし、その星とは交戦状態になる可能性があります」


 大統領が更に追加で説明を行う。


「ここからが要点だ。逃げた宇宙人と思われる者を捕まえて罪を償わせるとともに、全財産を没収する。これはアメリカに多大なる恩恵が得られる可能性があるとともに甚大な被害を及ぼす可能性がある案件だ」


「甚大な被害を及ぼす可能性があるのですか? 銃で倒せたのですよね?」

 手を挙げて質問をした。銃で倒せる程度の存在なら対処可能なのでは? 大統領はトニーが説明するように指示を出した。


「テレポートらしきテクノロジーを有しており、それほど先進的な技術があるならば、多分バリアなどで攻撃を防ぎ、強力な武器で町や村を一撃で消滅させるのは容易だと思われます。

 また攻撃手段が斧や弓、火力の弱い火の粉、まあ原始的と言いますか、そのような手段を取っている事から、ハンティングを楽しんでいる可能性があります。別に珍しい事ではありません。プレ〇ターご存知ですよね、あれ元ネタは実話ですよ」


「ええ!!」

 会議場がざわつく。


「でも死んだのですよね? だったらもう被害は出ないのでは?」

 その疑問に大統領が答える。


「本当に死んだのかは不明だ。死んでいたとしたら、どうして消えて居なくなるんだ? もし死んでおらず逃げたのなら、また同じことが起きるかも知れない。仮に死んでいたとして、じゃあ誰が死体を持って行ったんだ? 仲間が居ると考えるのが自然だと思う。つまり、まだ安心するのは早いという事だ。


 なので宇宙人、金属鎧殺人鬼を捕捉したら全力を以って叩く、これが基本方針だ。とは言え、世の中には宇宙人などとは言えないので、軍隊を持ち出してまで対応するというのは理解して貰えない可能性がある。

 一番危惧しているのは現場の警察官が独自に判断して攻撃する可能性だ。偶々遭遇した数人程度の被害を防ぐことは不可能だと思うが、警官隊が独自で対処できると判断して、無意味に何十人も亡くすようなことは避けたい。

 もちろん軍隊で攻撃しても死者が数千人規模で出るかもしれないが、手をこまねいていればアメリカ国民の命が無駄に失われるのだ」


「そんなに危険なら、宇宙連合の支援はいただけないのですか? 軍人だから死んでもいいとは思っていないでしょうが」

 グレースが大統領に詰め寄る。そりゃそうだろう、部下が死ぬのは誰でも避けたい。

 

「それは既に断られた。殺人鬼と思われる血液を分析した結果、宇宙連合に属する星の宇宙人では無い事が分かっている。一応分析は継続して行われているが、殺人鬼が混乱させる目的でダミーの血液らしきものをばら撒いた可能性もある。とはいえ現状では協力を仰ぐことは出来ない。もし殺人鬼を負傷させたら肉片でも持ってきてくれ。宇宙連合に追加で分析をさせる」


「ちょっと待って下さい。もし野良の宇宙人だとして、それを攻撃して倒したらその星と交戦状態になるのでは? 科学力が劣るならアメリカだけじゃなく、地球そのものが壊滅的な被害を受ける可能性があるのでは?」

 エフビーがもっともな疑問をぶつける。確かに寝た犬を起こすような事は避けた方が良い。


「じゃあ、何人だ。何人殺されるまで我慢する。百人か? 千人か? 百万人か? 何人まで犠牲にしていいんだ」


「それは…」


「仮に千人で満足して、自分の星に帰ったとしよう。そしてその星で“地球は楽しいぞ、無意味な抵抗してくるけど容易に倒せるから凄く面白い。お前たちも行ったらどうだ”とか、ハンティングするために年間数万人の殺人鬼でも来たらどうするんだ」


「しかし、それは仮定の話ですよね。もしかしたら、何にも起きないかも知れない…」


「本気で言っているのか?」


「いえ、失礼しました」


「私たちはいつだって選択を迫られる、宇宙人とか、地球の滅亡が掛かっているかも知れないとか、頭がおかしくなるような状態である事は私も理解している。でも、少しでも良くなるように決断するのが私たちの役目だ。

 殺人鬼を無視しても、攻撃しても、どっちにしても人は死ぬ可能性がある。だったら、目前の人の命を救いたい」

 大統領の言葉の後に、トニーが自身の考えを説明する。


「ちょっとよろしいでしょうか。これがゲームであるなら、ルールに従って遊んでいる可能性があります。

 凄く進んだ技術があるのだとしたら一方的に殺すでしょう。殺される位なら逃げるし、逃げた後に腹が立ったら壊滅的な被害を与える攻撃をしても良いはずです。でもしなかった。つまり遊んでいて、そのルールを守っているのではないかと」


「ふむ、そのような考え方もあるのか。もしかして殺人鬼はロボットのようなもので、真犯人は遠隔操作して遊んでいるという可能性なんていうのはどうだ? それなら別に死んでも問題は無いし死体が消えてもおかしくはないかもな」

 シーアイも同調する。


「でもどこかにテレポート、ワープ、まあ何でも良いんですが、移動する者をどうやって探すのですか? まさか乗り物に乗って移動するとか無いでしょうから、既存の探査方法では限界があるのでは?」

 エフビーが取り組みの困難さについて指摘を行う。


「みんなの意見は分かった。現状の方法で探せない可能性も理解した。繰り返すが何もせず静観する事でアメリカ国民が死ぬのは避けたい。ぜひ協力して欲しい。

 今できる事を考えて、まずは捜索を開始してくれ。FBIには本件の顔として担当してもらう。そして現場の警察に協力を仰ぎ、無駄に命を落とすような事は避けて欲しい。で殺人鬼を見つけたらアメリカ北方軍を投入して殲滅する。

 質問はあるか? じゃあ以上だ、直ぐに行動を開始して欲しい」

クリスマス前の話です。別に時期はそれほど重要では無いです、多分。

現職や歴代の大統領や長官、司令官とは何の関係もありません。フィクションです。

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