2-5 LV上げ
テテテテッテッテッテー。LVが上がった、歩いている時に上がったので、最後の一押しは移動による経験値だろう。ここ最近とても充実している、やる事があるっていうのは良い事だな。
コンビニ弁当で遅めの夕飯を食べながら、最新のステータスを確認する。LV1と比較すると大分あがったな。
名 前:鈴木一郎
職 業:会社員
L V:10
H P:190/190 <90UP
SKP:86/89【95】 <45UP
M P:95/95 <45UP
STP:95/95 <45UP
攻撃力:57 <27UP
防御力:57 <27UP
素早さ:28 <18UP
器 用:28 <18UP
知 力:57 <27UP
羞恥心:33
状 態:正常
スキル:HP自動回復R1、痛み耐性R1、鑑定R1、投擲術R3(未装着)、歌唱R3
特 別:言語理解R2、移動距離に応じて経験値取得R2
称 号:生還者、新米勇者、回復力が尋常じゃ無い人、物凄い球を投げる人、歌が上手いオッサンサラリーマン
スキル習得ポイント:23
技:パワーショット,クイックショット,ダブルショット,投擲によるダメージ量増加,子守歌,声量増加,応援歌,第二テノール,バリトン,バス,ビートボックス
ほぼ毎日、自傷してHP自動回復と痛み耐性と鑑定のR上げを試みているけど、上がっていない。ポイントを使わずにRアップって出来ないのだろうか? もうスキルを覚えてから四カ月半くらいだよな、熟練度では上がらないのかな。
「7ポイントを消費し、鑑定スキルのランクを上げますか? “はい”、“いいえ”」
え? 鑑定のランクを上げようかなとふと考えたらランクアップの確認が行われたんだけど、9ポイントじゃないの? もしかして使い込むと次に必要なポイントが減る? HP自動回復が5、痛み耐性が2、歌唱が79に減ってた。
どれも僅かなポイント減だけど着実に減っている、これは希望が見えて来た。見えて来たけどR上げるのにどんだけ熟練度を溜めないと駄目なんだろう、それこそ期間で換算したら年単位で必要なんじゃないのか?
でも異世界で転生したんなら年単位でも良いのか。そうだよな仮に高Rになるのに二十年経過しても全然問題なさそうだな。欲しいスキルは優先的に上げて、普段から使い込むスキルは覚えるだけ覚えて、熟練度で上げる、全然ありだわ。
それにしても歌い始めて三週間だけど、経験値が稼げている気がする。たまたま取得してた経験値で上がってなかったんだろうけど、それでもLV5から10だもんな。いや違う、溜まってた経験値は中村さんの家のバ〇サン後のLVUPで消費したはず。
だとしたら三週間の間に始めた歌がもの凄い経験値をくれているんじゃないの? 歌一曲でどれくらい入っているんだろう、倉庫バ〇サンも結構入ってそうだけど、一度実施したら間を開けないと虫増えないからな。そう考えると歌うって凄いよ、やろうと思ったら毎日だって出来るんだからね、よしこのまま頑張ろう。
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金曜日二十三時、いつもより多く歌ってしまった。でもこれ以上は聞いてくれる方々の帰宅の時間を考えたら限度だろう、終わりを告げて片付ける。片付けると言っても、御座と折り畳み椅子とペットボトルとスケッチブックだけだから、大して時間はかからない。
「お疲れさまでした。今日も良かったです」
常連? 常客? まあ、そんな方々に声を掛けて貰って、手を振りながら皆を送り出す。終電があるうちにお帰り下さいねー。
「名無しさん、最後のホゲホゲ素敵でした。今度ホゲーホゲーもお願いしますね」
マスクちゃんが声を掛けてくれた。
「ありがとう。でも高校生がこんな時間になるまで居たら駄目だよ、危ないから早く帰ってね」
「あ! おめー先日喧嘩吹っ掛けて来た奴じゃないのか?」
声がする方を見ると、先日の酔っぱらいが今も酔っぱらって因縁をつけて来た。しかしどういう記憶力しているんだよ、一方的に殴られただけだろう私は。さてなんて返そうかと思ってたら。
「糞が! ささっと詫びろや!」
酔っぱらいが胸ぐらを掴んで持ち上げる。
「何やっているのよ! 離しなさいよ、酔っぱらい!」
マスクちゃんが抗議しているが、危ないから余計な事はしないで下さい。
「なんだてめー! 部外者はすっこんでろ!」
「きゃあーー」
左足で突き放すようにマスクちゃんを蹴っ飛ばした。
「おいよせ! その子は関係無いだろ!」
「なんだてめー! 調子に乗ってんじゃねーぞコラー!」
胸ぐらを掴んだまま左手で顔面をぼこぼこと殴ってくる。マスクちゃんを見るが大きな怪我はしてなさそうだ、良かった。
「何やってるのよ離しなさいよ!」
「私は良いから、大丈夫だから早く行きなさい、良いから早く行って」
気丈にも再度酔っぱらいに喰ってかかる。だめだって、危ないから。しかし私の制止も聞き入れて貰えず、酔っぱらいの左手を掴み、殴るのを止めさせようとしている。
「じゃまだ!!」
掴んでいた右手を放し、右手でマスクちゃんの顔を平手打ちした、バシン! という音が響き倒れこむマスクちゃん。
「いい加減にしろよ!」
酔っぱらいの腕を引っ張り、こちら側に意識を向かわせる。
「弱いくせに、突っかかってくるんじゃねーっつうの」
再度、右手で服を握りしめ、私が逃げれない様に固定して、殴りかかってくる。HPが少しずつ減り始めるがまだまだ大丈夫、それよりマスクちゃんが心配だ。
「そこまでー! はい手を放して!」
警官が数人走って来て、酔っぱらいを取り押さえる。
「邪魔すんじゃねーよ、ボケが!」
警官に対しても暴力を振るおうとしている、見境が無いな。酔っぱらいはパトカーで連行されていった。私も派出所で事情聴取を受けたが、周囲の人が撮っていた動画などからも、喧嘩ではなく一方的に殴られていたことが証明された。マスクちゃんは念のため病院に行ったとのこと、悪い事しちゃったな。
しばらくブブレでの活動を自粛する旨の書き込みをツイッターにする。それと巻き込まれてしまった方へのお詫びも併せて書き込む。
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更衣室でナース服から普段着に着替える。周りも着替えたり、化粧を直したりしている。ブルブルとスマホが揺れ、それを見た太田さんが愚痴る。
「あーあ、またアイツだわ。平たく言えばヤラセロって。本当やんなっちゃう」
「何それ最低。最低と言えばさ、昨晩女子高生の頬を殴ったやつが居るみたい。腫れ上がってたって夜勤明けの子が言ってた」
同僚の田中さんが新たな話題を振ってくる。
「最悪。暴力を振るう男なんて死んじゃえば良いのよ」
「なんかほっぺたが、桃みたいになってたって」
「あ、ああ、桃? ちょっとピンと来ないわね。ほっぺたと言ったらリンゴじゃなくて?」
「よくわかんない、だって桃って言ってたから」
「でも羨ましいなあ」
思わず、口からこぼれ出た。
「えええ!? なんで? ああ、ヤラセロの話ね。そんな事ないって、やる事しかコイツ頭に無いんだよ? まだ彼氏居ないんだっけ中村さん」
「はい…残念ながら。でもやりたい事しか頭に無いってのは分かりますね、私も相手の都合でやられちゃってますし(バ〇サンを)…」
「ええー彼氏できたの?」
「いやでも、彼氏いないって言ってたよね」
「彼氏では無いんですが、やりたい時に連絡してきて、でやるだけやったら居なくなっちゃうんです(バ〇サンを)。しかも私は全然満足してないんだけど、そんなのお構いなしで」
「何それ、酷いねぇ。そんな男とは別れた方が良いって」
「ほんとほんと」
「でもさあ中村さん、そんな目に遭っているのに受け入れちゃうんだ。好きなのその人の事?」
「えーと、その何て言うか、その人の前だと有りのままの自分でいられるというか…」
「へえー。でその人とどうなりたいの? 付き合いたいの?」
「出来ればご主人様(私が奴隷的な立場として)になって欲しいなと」
「ええ!? そうなんだ。話だけ聞くと最低野郎っぽいけど、あんまりひどい奴だったら、止めた方が良いよ。勿体ないよ、今度良い人探して紹介しようか?」
「ううん、大丈夫です。ありがとう」
ほげほげ? 歌の歌詞や、曲名を入れると問題だから、ほげほげで代用しています。
決して手抜きとか、そういうんだから、誤解しないでよね。
コメディーパートは、比較的アイデアが出てくるんだけど、
肝心の勇者要素、成長要素がなかなか困りますね、一応成長要素も…入ってないね。
でも勇者要素入れます! きっと入れます! 多分入れます。入ると思うよ。その内。
今週はここまでです。
続きも書いてはいるのですが、ちょっと上手くまとまらないんです。
なので、アップは少し長引くかも知れません。
あと感想凄い励みになりますので、面白かったでも、面白かったでも、面白かったでも、面白かったでもいいので頂けると、調子に乗って木に登るかも知れません。木は無いですけど。
引き続きよろしくお願いします。