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2-1 歌手を目指す

 戦闘系のスキルだと、投擲術のような事に成りかねない。となると、生産系か芸術系か、分類が難しかったスキルの中から選んだ方が無難ではなかろうか。


 どれが自分に向くか分からないけど、芸能人になったらお金が沢山稼げる感じがする。どうしようかな、お笑いはスキルが無かったから無理だな。俳優は演劇というスキルがあるけど、いくら上手になってもそれを認めてもらうまでの道筋が長そう、芝居は芝居が好きじゃないと興味を持ってくれ無そうだしね、それにイケメンでも無いし。


 同様にダンスも舞踏スキルがあるけど、認められるまでの時間が掛かりそう。幾ら上手でもそれを理解してくれる人がどれ位いるだろうか?


 となるとやっぱり歌手かな。歌なら上手ければ、認めてもらうまでのハードルが低そうな気がする。目につく機会が多そうという意味で。歌唱スキルはR1がポイント3だから、R2で9、R3で27、R4で81だよな。


 投擲術でR3で分かったけど、戦闘するなら結構良い感じだった。でも歌唱スキルだとどうなるのかなー、取りあえずR3までは出来そうだな。

  悶々と悩むがとりあえずやってみる事にする。とはいえいきなり芸能界はハードルが高いから実験してみるか。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「清子さんお願いがあるんですけど」

 一郎から電話がかかって来た。またどうせバ〇サンさせてくれとかじゃないの? 既にさせてあげるって約束したじゃない。


「ちょっと付き合って欲しいんですよね」

 ん? また中華街の時のようなデートのお誘いかしら? いやいや、また私に恥ずかしい思いをさせようとしているかも知れない、気を付けないと。


「カラオケを練習中で、他の人の意見を聞けたらなって」

 カラオケか~偶には行っても良いかな、一郎がおごってくれるって言うし。別にカラオケ代程度のお金に困ってはいないけど、先日の入院中のお礼を込めてというなら、別に暇だし良いか。



「昼間のカラオケって随分安いのね」

 おごってもらっておいて何だけどさ。ビールを飲みながら、チープなおつまみを摘まむ。昼間っから飲むってのも良いわね。早速一郎が良く知らない歌を歌ったんだけど、BGMとしては駄目ね、ちょっと下手だわ。


「どうでしたか? 何かアドバイスを頂けたら」


「歌は素人だから何とも言えないけど。そうね、自分が出せる音の幅というかその辺を理解しないと、無理に歌おうとするから途中で声が裏返ったりしているんじゃない? 

 それと歌詞をちゃんと覚えている? 歌詞を理解しておかないとそれを確認しようとする気持ちに集中しちゃったりしてない? 歌う事だけに集中出来るようになった方が良いんじゃないかしら」


「そうですか、参考になりました。もう一回良いですか?」

 と言い、また同じ曲を入れたようだ。え? 同じ曲歌うの? ちょっと流石にそれはひくわー…。


「え? 上手くなっている!」

 思わず歌の途中で驚いて声が出てしまった。所詮素人だけど、これなら自分の十八番ですって言える位の上手さになっているわね。あのアドバイスだけで上手くなるものなの? 本当はこれが実力だったんじゃない? また私をからかう気なのかしら。


「どうですか?」 


「いやどうもこうも無いわよ、さっきに比べたら全然良いけど、本当はこの歌得意だったんじゃないの? え? 他にアドバイスが無いかって? 気持ちが入ってないわね。この歌がどういう意味で誰にどう伝えたいのか、とか?」


「分かりました。もう一回良いですか?」

 え? また同じ曲を歌うの? 流石に今以上には上手く歌えないでしょ……。でもこの曲は好きな人へ気持ちを題材にした歌よね。もっもしかして、何度も歌っているのは…いやいや騙され無いんだから。


「ひっ凄い、上手い!」

 これなら歌手だっていっても遜色ないくらい? いやそれは言い過ぎか、でも凄く上手いわね。のど自慢とかに出たら合格出来るんじゃないかしら。 


「どうでしたか?」


「さっきよりも上手くなっているわね。素人のど自慢大会なら、もしかすると優勝を狙えるかも、ってくらいの上手さよ」


「コツが掴めて来たんでもう一回いいですか」

 また、同じ曲を歌うらしい。流石に凄いとは思ったけど、もう歌が上手い事は分かったからこれ以上はねえ……。こっこれは、さらにさっきより上手くなっている気がする、プロといっても遜色ないレベルだわ。


「どうですか?」


「私の事からかっているの? プロ並みじゃない! 凄いわ一郎、歌をリクエストしても良いかしら」


「本当にそんなに上手かったですか? じゃあプロになって飯を食っていけそうでしょうか?」


「え? 今から、その年から歌手を目指すの? まあそれは置いておいて、今のままでは難しいかも知れないわね、確かに歌は上手かったわ。幾ら上手くても持ち歌が無いと駄目じゃ無いの? 作詞や作曲は出来るの? それが出来ないとなると誰か作曲家とか作詞家が付いてくれれば売れるかも知れないわ。


 でもね、多分歌が上手いだけじゃ駄目なのよ。何事にもそうだけど、成功する人は何かしらを持っていると思う。例え歌がそれなりでも声に魅力があったり、歌詞やメロディーを作る能力や、顔が良かったり、ダンスが上手かったり、逆に少し音痴であってもそれが個性として認められたりもするわ。


 うーんオリジナルというか、ユニーク、つまり個性よね。そういうものが一郎の今の歌からは感じられないわ。なのでプロを目指すのであれば、全てを超越する位の歌の上手さか、オリジナルの曲とか、イケメンは…難しいから、ダンスなどの+アルファ的な要素を持つか、いずれかが必要だと思うわ」


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「あの歌手を目指すことを否定しないのですか?」


「何で否定するの? 頑張れば良いじゃない」


「いや、会社員から歌手とか、この年齢で目指そうとか、安定志向というか、その保守的な」


「全部自己責任でしょ、好きにやればいいのよ。失敗したら生活が苦しくなる? 当然よ、勝負をしない人に勝利は来ないわ。成功するのは一握りの人だけ、でもそれは戦ったからよ。求めるなら戦いなさい」

 流石、元世界チャンピオンだけある。当然将来の保証も無く、戦い続けて勝ち取ったから今の清子さんが居るんだもんね。


「ありがとうございます。ただ会社員は続けようと思ってます、中途半端と思えるかも知れませんが、もう少し可能性が見えてから目指そうかなと」


「良いんじゃないの、さっきも言ったけど一郎の人生なのよ、好きに生きなさい」


「ただ、まだその自分の中で固まっていないというか、あれなので、まだ秘密にしておいて欲しいんですけど」


「…。ちょっと煮え切らないわね、でも分かったわ。そう、それと成功するには他にも要素があるわ。応援してくれる人の存在よ。確かに自分の力も大事だけど、周りで支援してくれる人が居るから頑張れるし、チャンスをくれたりするわ。私も応援してあげるから頑張りなさい」


「ありがとうございます」

 その後、清子さんがリクエストした曲を十曲位歌った。凄く喜んでくれたので少しだけ自信が付いたと思う。


   :

   :


 清子さんのアドバイスを思い出す、なるほど個性か。いまR3まで上げたけどR4まで上げるか、それとも他のスキルを覚えて…いや、R3のスキル位だと結局器用貧乏になるんじゃないのか? だとしたら歌唱スキルをR4まで上げるのが正解な気がする。


 スキル習得ポイントは11しか残ってない。R4に必要なポイントは81、残り70ポイントを稼ぐ、つまり35LVを上げれば良いんだな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 叔母と主人公頭バグっててゲロ出そう ババアのヒロイン候補とか需要ないし、ババアの叔母とカラオケ行くくらい仲ええやつおらんやろ よくありがちな鈍感系主人公やし頭ぴよりすぎ
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