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誰?
「ねぇ兄ちゃん!晴れてるのに雨が降ってきたよ~!!」
そう言い笑顔で窓へ駆け寄る女の子。
____この子は、誰だったろうか
思い出せない。何処かぽっかりと穴が空いたような感覚がする。
そうして案山子の様に立ち尽くしていた俺の横を5歳半ばらしき男の子が通り過ぎて行き、窓へ走っていった。
嗚呼、この子だけは分かる。
正真正銘…幼かった頃の俺だ
じゃあ、あの子は誰だ??
何故か数少ない幼少期の記憶を漁ってみるものの、答えは出ない。
「あのね、〇〇。この雨はね、『狐の嫁入り』って言うんだよ!何処かで狐さんがお嫁さんになってる証何だって!!!」
そう幼かった頃の俺が嬉しそうに窓を見つめながら言う。
何故か女の子の名前らしきものだけ聞こえ無かった為、未だに分からない。
俺はモヤのような物に包まれて行く2人をただ見つめて居るだけだった_____