神崎課長
「起きろ、何時までも寝てるんじゃないこの豚、立て!」
どこかで聞き覚えのある声だ。頭がガンガンする。俺はソファーから起き上がり周りを見渡した。見栄えは良いが安っぽい合皮製のソファー、ラブホのエントランスの様な間接照明、暗闇から垂れ下がるロープが現れては消えまた現れてを繰り返していた。どこだここは?ぼんやりする頭で声の方向を見ると黒のボンデージ、黒のピンヒール、手には鞭とスタンガンを持ち、まるでSM嬢のような総務部のユミちゃんが仁王立ちで立っていた。
俺は「ユミちゃん、ここ何処?それよりその格好ちょっと・・・・」するとユミちゃんはスタンガンをバシバシ放電させながら強い口調で「今日、何があったか思い出してみろ。この間抜け!今日の事だバカ!」 俺は腕時計を見た。10月24日23時10分。今日、大手自動車部品メーカーから大口の受注。プロジェクトのメンバーと祝勝会を開き、しこたま飲んだ。しかしその後は何も思い出せない。
「教えてやるよ、お前は心臓発作で倒れたんだよ。22時55分に」
「じゃあ俺は死んだの?天国?上司に信頼され部下から慕われているこの俺が」
「お前みたいな偽善者が天国?ふざけるな!」
すると暗がりから老人の声がした。守衛の山下だ「あなたはまだお亡くなりになってはおりません。俗に言う人生の走馬燈、三途の川の手前でしょうか」
「早い話、くたばりかけてるお前の脳みその中の世界だよ。お前の世界観だよ。今から表の様子を見せてやるから。山下さんお願いします。」守衛の山下は「はい、かしこまりました」と言いリモコンのスイッチをONにした。すると巨大なスクリーンが現れ「では再生画像をお楽しみください」と言い俺の手にモニターのリモコンを手渡した。
画像は22時50分、俺が2次会の店を出たところから始まった。