05.リュオンの杖
少し短いです。
新たな橋に手すりの取り付けが行われていた頃に、リュオンは家
で仕込み杖を作っていました。
「リュオンは魔法が使えるから杖にしよう」
昨日、私の槍を三人で作った時に、羨ましそうに見ていたリュオ
ンにルートさんがそう言って、槍を作ったケサナの木の先端部分を
リュオンの杖にする事は決まっていました。
そして今日、仕込み杖を作る事になりました、見かけは長さが1
メートル20センチ位の単なる竹の棒です。
仕込み杖はルートさんが大きなケサナの木を切る前に竹を伐って
練習した時に思い付いたそうです、何時か町へ行く時にリュオンが
ケサナの杖を持ち歩くと不良に絡まれて取り上げられたりしないか
心配だそうです。ルートさんは心配性ですね。
「仕込み杖は格好良いよ、男のロマンだ」
「そうなんですか?、そうですね男のロマンです」
「本当は刀の様に鞘と柄を作る方が良いけれど、竹を割いて単に杖
を埋め込むだけでも持っていると楽しい気がする」
「鞘から抜く方が楽しそうです、頑張って作ってみます」
リュオンが竹の棒にしか見えない仕込み杖を作りました、本当は
杖の中に刃物を仕込んだ物を仕込み杖と言うらしいです、リュオン
の物は杖の中に杖が仕込まれています、先端が尖っているから刃物
と言えるのかな。
昼食で家に戻って来たルートさんが、仕込み杖を鞘から抜いて片
手で剣の様に構えて満足そうです。リュオンよりもはしゃいでいる
様に見えます。良かったですね。
・・・・・・
話は少し遡り、ルートがリュイナと出会う前日の夜、スピナの町
へ向かった3人の村人、リュイナの父であるリュークと二人の村人
が町の宿屋でこれからどうするのかを相談していました。
先ずは村で作った商品を売り、その代金で食料を手に入れて村に
送る必要があります。
「橋は渡れないが、アイテム袋だけなら橋の向こうに側に投げ渡す
事は出来るだろう」
「いや、アイテム袋を落として壊れたりするとまずい、紐に結んで
村側から引っ張って貰えば良い」
「丈夫な長い紐を手に入れよう」
何時も商品を運ぶ際は橋の両側で警戒をする為、食料を持ち帰る
時は村からも三人やって来ます。今回も予め橋で落ち合う日と時間
を決めてあります。
「食料を橋まで届ける処までは何時もと同じだから、問題はその後
の過ごし方だな」
「町を拠点にするか、いっそ王都を拠点にした方が良いかな」
「しかし、王都から橋までは往復で6日必要だし次回からは商品を
受け取るのに1回、食料を届けるのに1回で2往復必要になるの
は効率が悪い」
「町から橋までは1日で往復出来るから月に2往復でも負担は少な
い、問題は商品や食料の売買で王都よりも損になる事だ」
「しかし、月に2回村の様子を知る事が出来るのは重要だ」
彼ら三人は壊れた橋が元に戻るまでは村へ帰れないので、町で生
活する事になりそうです。
三人は元冒険者なので自分の生活費なら冒険者ギルドで危険度の
低い依頼を受ければ捻出出来ます。 村の事を考えるともっと稼が
なければなりませんが、報酬の高い依頼の危険性は熟知しています。
そして、村と町の間に新しい橋が架かった日に3人は王都に到着
しました。
町の名前と姉弟の父親の名前を決めました。スピナの町とリュークです。
リュオンに杖を持たせました、そういえば登山の時に杖を使うのをテレビで観たので町へ行く前に杖in杖を作りました。
橋が壊れた後、村に帰れなくなった3人がどういう行動を取るのか考えていたらこうなりました。
リュイナとリュオンが二人の父リュークと会えるのは、もう少し先の事になります。