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03.ルートの二日目

 翌朝、リュイナの家に村長が訪ねて来た。

村人3人とリュオンに飲ませた回復薬のお礼を言っていたので、

僕が代金は要らないと言うと


「出来る事は限られておるが、何かあれば出来る限り対応しよう」

「それなら、リュイナに使えそうな槍の材料はありませんか」


 昨日、リュイナの槍を壊してしまったので聞いてみた。

 リュイナが使っていた槍は、リュオンが壊れた槍を繋ぎ合わせて

作った物で先端の刃の部分が柄の部分よりも細いもりの様な

形状だった。


「うーむ、槍の材料か、村にはケサナの木を加工出来る道具が無い

 周辺の森にある他の木は強度不足で槍には向かないのだ」

「ケサナの木、あの大きな5本の木ですか」

「いや、槍の材料になるのはもっと小さな木でな、鉄より硬いので

 加工するのに特殊ミスリルな道具が必要になる、去年、王都

 から来た職人がミスリル製の工具で一本切り倒して良い槍が造れ

 そうだと言って持ち帰って行った」


 鉄より硬い木ですか、僕が持っているナイフで切れるのかな?

確か大型の魔物でも切る事が出来るはずだから後で試してみよう。


(ナイフは魔物の内側から腹を切り裂いて脱出出来る仕様です)


「凄いですね、後で見に行きたいので場所を教えて下さい」

「ケサナの木は広い竹林の中にある、大きな木が南北に一直線に並

 んでいて小さなケサナの木は北の方向にある」

「ありがとうございます」


 リュイナと一緒に行こうと思ったけど、リュイナは槍が無い。


「リュイナは槍が無いと危険だよね、借りることは出来るの?」

「ランスさんは昨日の午後村の見張りをしていたから今日の午前中

 は槍を使わないと思うけど貸して貰えるのかな」

「いや、そんな事を心配しなくても良い、護衛も兼ねてランスに

 案内をさせよう」

「済みませんよろしくお願いします」

「ランスには準備する様に伝えよう」


 ランスさんに案内して貰える事になった。

 今夜は村で3人の回復を祝ってご馳走を振る舞うと招待されたの

で参加しますと返事をすると村長は帰って行った。


 朝食の後すぐに出かける事にした。

 リュオンも一緒に行きたがったがお留守番です。


「昨日は回復薬をありがとう」

「役に立って良かったです、案内とリュイナの護衛をよろしくお願

 いします」


 ランスさんと挨拶を交わした後に案内されたのは村から十分程歩

いた場所で、ケサナの木を初めて間近に見た。

 色は真っ黒で高さは4メートル位、上部へ行く程細くなっている。

 僕がポケットからナイフを出してケサナの木の根元に刃を当てる

と、あっけなく切断出来た。ランスさんがびっくりしている。


「それは普通のナイフに見えるが、何故切れるんだ」

「切れたのは魔法の力でナイフは普通の物だよ」


 僕はこの後の事を考えて魔法の力だと誤魔化す事にした。

 大きなケサナの木を切るには、このナイフは小さすぎる様に見え

るので最初から魔法の力だといっておく。

 ナイフを確認したいと言い出すかなと思ったが納得した様だ。

 ケサナの木は鉄よりもずっと軽いので異次元ボックスには収納せ

ずに持ち帰る事にした。アイテム袋に4メートルの物を収納する事

が普通なのか良く分からなかったので、今更だが目立たない様に。


(異次元ボックスは後で20メートルの物を収納する予定です)


 それから3人で村へ帰った。結局魔物は現れなかった。

 村の入り口で警護していた人は僕が持っている物がケサナの木だ

と聞くととても驚いていた、警護の人と話し込んでいるランスさん

と別れてから、リュイナと家に帰った。

 リュオンも一緒になって3人でリュイナの槍を作った。

 槍の先端部と根元の形状はリュオンが詳しくて木で見本を作って

くれたので僕はそれを見て練習した。


 リュイナが昼食を作ってくれたので昼食を食べた。

 しっかり食べたよ、少し薄味で不味くは無いけど塩胡椒があれば

 

「村の人は全部で何人いるの」

「25人です、お父さん達3人が町へ行っているので村には私たち

 姉弟を含めて22人います」

「村の人には後で配るから、先に食べようか」


 昼食の後でリュイナに村の人数を聞いた25人ならクッキーが配

れる。ポケットから取り出したクッキーの箱を開けて二人にクッキ

ーを渡した。


「これはクッキーと言う甘いお菓子だよ」

「クッキーですか初めて食べました、甘いですね」

「甘くておいしいです」


 それからも槍の削り方を練習して、なんとか綺麗に削り出した。

 最後にリュオンが皮の紐を巻き付けてリュイナの槍が完成した。


 リュイナが嬉しそうな顔をして槍の握りを確認している。


 夕方になったのでクッキーを入れる物をリュイナにお願いしたら

木の皿を用意してくれた、それはリュオンが父親の手伝いで作った

物だそうだ。

 クッキーを持って3人で村の集会所へ出掛けた。

 集会所に集まった人はみんな笑顔に見える、村長に挨拶してクッ

キーを配りますと言って、リュイナとリュオンにクッキーを配る様

にお願いした。

 まだ明るいけれど、村の入り口は既に門を閉じたらしい、門まで

クッキーを届けなくても良いみたい。


「ところで壊れた橋はどの様に直すのですか」

「橋の材料になるつる草が育つまで半年程かのう、材料が揃えば一

 週間で新しい橋を作れるのじゃが」

「大きなケサナの木は、橋に使えませんか」


 村長に壊れた橋について聞いてみた、使えそうな大きな木は気に

なるし、多分なんとか出来そうだけど


「大きなケサナの木は硬過ぎて、切り倒せる道具が村には無い」

「実は今日、小さなケサナの木なら切る事が出来ました、明日は大

 きなケサナの木を切り倒せるか試してみます」

「そうか、大きなケサナの木を橋にするか、村では誰もが一度は考

 えて実現は無理だと諦めていた、橋の組み方の案は幾つかあるの

 でもしも明日、切り倒せるのなら相談しよう」

「よろしくお願いします」


 丸太橋に手すりを付ける良い方法はあるのかな、聞いてみた。


「2本の木を使った丸木橋をに手すりを付ける事は出来ますか」

「ああ、その場合は・・・」


 そんな方法があるのか、それなら橋に手すりを付ける作業を村の

近くで行えば安全に設置出来る。

 村長との話がひと段落すると他の村人も近づいて回復薬やクッキ

ーのお礼を言ったり、橋の事を話したりして過ごした。

 料理は予想通り狼の肉が中心で、焼肉や何かの葉っぱと一緒に煮

た料理は何か物足りない気がした。


 リュイナとリュオンは先に帰したので僕は少し遅れて帰ったら、

二人ともまだ起きていて、お帰りなさいと言われた。

 帰ると言う表現が自然に出てくる、何だか二人に甘え過ぎている

気がする。明日で三日目か、まだ地球に帰りたくないな。



(二日目終了)





 橋を架ける際の材料に丁度良い木が使用されていない理由を適当に付けたら、鉄よりも硬いとんでもない素材になりました。

 村人は木と呼んでいますが多分違います(大きな魚の骨みたいな形で材質は未設定)

 ルートが持っているナイフは何でも切れます。

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