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許される事じゃないけれど


 理沙は、セシルに保護され、とりあえずフェルの家を離れた。彼の話によると、今まで保護してくれていたフェル達には多額のお礼を支払われるそうだ。

 村の人達は、お金よりも理沙が此処にずっと居る事を望んでいたが、世界政府が此処までして理沙を連れて帰りたがるので、みんな反対出来なかった。


 しばらくすると、犬飼さんと斉藤さんがやってきた。



「久しぶりだなSR。相変わらず元気そうで何よりだ」

「くっ...何が”元気そうで何より”ですか。人の苦労も知らないで...」

「フン」



 理沙の言葉を、犬飼さんは鼻で笑った、相変わらず、だ。全然変わっていない。斉藤さんは悲しそうな顔をしていた。



「理沙、あれは本当に...我々の力不足で...申し訳なかった...」

「一年、です。私は貴方方を信じてずっと待ち続けました。でも...誰も助けになんて来なかった。あの時の私の気持ち、貴方方に分かりますか?」

「うぅ...」



 理沙の言葉は、斉藤さんの心にグサッと突き刺さった。でも、それは決して悪口などではなく、理沙の思いだった。確かに自分達は卑劣な行為をしていた、理沙に何と言われても仕方無いーーと皆感じていた。犬飼さん以外は。



「それより、皆さんお怪我はもう完治しましたか?」

『え?』

「だって、セントラルパークで...少なからず皆さん撃たれてましたから...」

「それはな、上から許可貰ってお前の血使って完治させた。セシルだって撃たれたが、もうピンピンだろ?」

「そう、ですね...良かったです」



 安堵のため息を漏らした理沙。途端、犬飼さんの顔がピクッと反応した。



「お前、何でそんな事言えるんだよ」

「どうしてですか?」

「だって...お前さっき言っただろ。俺等を『信じてたのに』って。助けに来なかった奴らの事、何でそんな心配出来るんだよ」



 犬飼さん、は訝し気な目で理沙を睨んだ。だが、理沙は表情を変えずに即答した。



「皆さんは私を体を張って守ってくれました。それは事実です」

「チッ、変な奴だなお前」



 ”変な奴” 犬飼さんには言われたくない。ドSのくせに、本当は人一倍理沙の事を心配していたのは、セシルを入れなかったら犬飼さんが一番だった。素直じゃない、という言葉が一番お似合いだ。


 許される事じゃないけど、理沙はやっぱり彼らが好きだった。


 見捨てられたけど、やっぱりみんなが大好きだった。


 信じていたのに...結局来てくれなかった。



「犬飼さん、私...戻ります。NYに」

「当たり前だ。ちなみに、テロとかに遭われたら困るから連合の飛行機で行くぞ。本当、お前は疫病神だからな」

「はい、私は不老不死の疫病神です」

「開き直りやがって...」



 でも、私は帰る。ニューヨークに。


 だって、見捨てられたのは事実だけど、助けてもらったのも事実だから。




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