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夜頃。
辺りがすっかり暗くなってから、ドアに掛けてある開店のプレートを裏側にひっくり返す。そこには閉店の文字が書いてあって、俺はしっかりそれを確かめてから、店を閉めた。
残念ながら、雑貨屋には寝泊まりするスペースがない。近くの安い宿屋を使っている。その内お金が貯まったら、こじんまりとした一軒家でも買いたいなと近頃思っていた。このときまでは。
いつも寝泊まりしている宿屋に行けば、なんだか様子がおかしかった。いつも明るい声で出迎えてくれる猪族の奥さんが、不安そうな顔をしていた。
「どうしたんですか?」
と俺が訊くと、
「知らないのかい?人間との戦争が始まりそうなんだよ」
と猪族の奥さんが言った。




