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遥か先に視る想い  作者: 埋木花咲
第1章 先立つ者
8/38

Procyon

読み方:プロキオン

意味:先立つ者

 室内はまるで誰もいないかのように静かだった。

 時折誰かの鼻を啜る音が響くだけ。誰も何も言わなかった。否。言えなかったのかもしれない。今のパトリックの顔を見て一体、なんと声をかければいいのだろう。何が正解なのか、ヒカルにも船員達の誰にも判らなかった。

「……と、まあ。昔話はやめにしてだな」

 パトリックが2つの包みを取り出した。

「アンリ、ヒカル。この包みを覚えているか?」

 それは確かに記憶の片隅にある。

「リンから渡されたものよ」

 アンリが表情1つ変えぬまま呟く。それがむしろ彼女が涙を堪えているような印象を与える。

 パトリックが「そう。その通りだ」と言いながら、包みを開いた。中にあったのは古いビデオテープと紐で括られた冊子の束。それぞれ『マオへ』『アンリへ』と書かれている。

「このビデオテープは以前流したから皆も知っているだろう」

 机の上に置きながら彼は言う。

 それは、リンが船上から消えてから2日後の出来事だった。

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