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遥か先に視る想い  作者: 埋木花咲
第2章 後に続く者
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Aldebaran

読み方:アルデバラン

意味:後に続く者

 その日は雨が降っていた。

 しとしとと身体中にまとわりつく様に降りしきるそれは、ミキトの心までをも蝕んでいく。こんなにも自分に幻滅し、呆れ果てたのは何時ぶりだろうか、と思う。どこへ行っても自分には居場所がないんじゃないかとさえ感じた。

 雨粒が全身を濡らす。薄青い制服が濃紺に変わっていく。全身が濃紺に包まれても、ミキトはそこから動けなかった。背後には警察学校が佇んでいる。それは彼を嘲笑うかのように微動だにしなかった。心も身体も、何もかもやる気のない気だるさに包まれていた。

 そんな時、彼に降り注ぐ雨の音が変わる。ぼたぼたとビニールに弾かれるような音になった。ゆっくりと後ろを振り返る。そこには1人の女性が立っていた。傘をこちらに差し出し、自分はずぶ濡れになっていた。

「風邪、ひきますよ」

「そちらこそ」

 そう言って笑いあったのが初めての会話だった。

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