Canopus
読み方:カノープス
意味:案内人
目を開けばそこに広がる白い天井。
自分は何をしていたのだろう?
周りを見渡すが、1面白い壁、壁、壁。唯一、拳大の鏡がある。ふらつく頭を押さえながら立ち上がった。遠くで、ごおんごおんと金が鳴るような音がする。目眩がしそうだった。
鏡を覗き混む。やつれた顔の自分がそこにはいた。艶のあった髪も今では、刺繍糸のようにごわついている。瞳の中に生気はなく、ただ深淵の底のように何かが揺らめいていた。
壁のすみにボタンを見つける。○×ゲームのように9つに区切られたキーロックだろう。適当に3つほど押すが出られない。諦めてベッドに戻った。
私は一生ここから出られないのだろうか?
そんな予感が脳内で渦巻く。それだけは嫌だな、と呑気な拒否反応が生まれた。だけど何をすればいいのか、わからなくて。私はまた横になる。天井に1つだけシミがあるのが見えた。
そのシミをじっと見つめる。見つめ続けて気づいた。○×ゲームだ。
この部屋の天井すべてを使って○×ゲームがされている。わたしの真上は丁度、真ん中のマスだ。ここには×と書いてあった。ベッドを降りて右へと進む。そこには丸いシミがついていた。
ベッドから始めて横並びには揃わず、斜め左に×が揃っていた。それを確認し、ベッドに横たわる。
万が一、部屋を飛び出して戦うことになったら、体力が一番だからね。そんな言い訳をして私は眠りについた。