Aldebaran
読み方:アルデバラン
意味:後に続く者
しばらくして『セントリーズ』に乗組員全員が集まる。皆が皆、神妙な面もちで朝を迎えた。初めてこの飛行船に乗ったときから8人が部屋には欠けていた。初めに欠けた2人。キャシー、パトリック、アイリーンにレオ。
そしてハルとミヤビがいなかった。
「……あとどれだけ、この中からいなくなるんだろう」
チハルの呟きに空気が重量感を増した。アキラが妹を抱きしめ、大丈夫と言う。ここまで信憑性の無い「大丈夫」がどこにあるだろうか。次は自分かもしれない。そんな思いが部屋に渦巻いていた。もう誰が犯人かも考えていない。考えは皆同じ方向に向かっていた。
どうやって自分が生き残り、どうやって人殺しを消すか。
「そういえば、ヨシキ」
ルークが呟いた。
「お前、今まで消えた人……特にキャシーには対抗意識持ってたよな」
「……ルーク、君は何を」
「単刀直入に言おう。君が殺したのか」
「ちが」
言いかけて周りからの視線に気づく。刃物のように突き刺さる視線が彼の平常心に突き刺さった。
「みんなみんな、アホなんですか? 僕が殺すなら自分の手は汚さない! 誰かの心を煽り、他人に手を下させる!」
「だから、ヒカルちゃんは……」
「あいつは違うわ! 利用のかけらもないゲス野郎だ!」
「お前……いくら何でも言って良いことと悪いことが」
「嘘じゃないだろ?! だってこいつは」
「ヨシキ」
沈黙を貫いていたヒカルが開口一番言った。
「私が彼女を殴ったのは、私の大事な人を侮辱したからだ」
ついでに、と言って周りを見渡す。
「私にこの船に乗る前の記憶はない」