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遥か先に視る想い  作者: 埋木花咲
第2章 後に続く者
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Aldebaran

読み方:アルデバラン

意味:後に続く者

「ヒカルちゃんは何も悪くないの」

 そう言ってチハルがヒカルの手を握る。ありがとう、そう言って目を伏せた。長い睫毛の隙間から雫が零れ落ちる。ミキトが彼女の肩を抱き寄せ、大丈夫だから、と呟いた。傍らではアンリが殴られた少女の傷を消毒している。意識は無かったが脈が残っていたのは不幸中の幸いだろう。

「……ごめんね、アンリちゃん。私が」

 チハルは言いかけて止めた。アンリが泣きそうな瞳で彼女を見つめていたからだ。その瞳の奥には悲しみや不安よりも固い覚悟のような物が見える。

「何も言わないで。チハル。私が悪いの」

 そう言ってうっすらと笑った彼女は今にも燃え尽きてしまいそうなほど儚げに見えた。例えるなら線香花火の一番最後の瞬間だ。今まで見たことがないほど激しく燃えて、そして落ちる。うまくは説明できないが、今のアンリはそんな雰囲気を漂わせていた。

 貴方も死んでしまうの?

 チハルの頭を不吉な言葉が過ぎる。彼女は頭を振ってそれを払った。

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