表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遥か先に視る想い  作者: 埋木花咲
第2章 後に続く者
21/38

Aldebaran

読み方:アルデバラン

意味:後に続く者

「3人共おはよう。朝から一緒にいるなんて、相当仲が良いんだね」

 笑いかけながらミキトが言った。今4人がいるのは『クリスティ』から3部屋跨いだ所にある『チェスター』。机の上には湯気のたったココアが2つにコーヒーが1つ。それからホットミルクとサンドウィッチが置かれていた。アキラが「ココアみたいな子供っぽいもの、俺は飲まないね」の一言から一悶着あったが、それは今回は言及しないことにしよう。要するに、ココアは万国共通で美味しいのだ。コーヒーを一口飲み、アキラが苦さで顔をしかめたところで話し合いが始まった。

「今回のこの事件、過去のことと繋がりはあるのか?」

 ヒカルの問いにミキトが答えた。

「僕が警察官だった時の記憶を遡って考えてみたんだけど……模倣犯の可能性が高いんじゃないかと思うんだ」

「模倣犯って何?」

 チハルが興味深げに呟く。アキラが「要するに殺人鬼を真似する人だよ」と言った。

「そうだ。恐らく、2年前のチャールズの死を真似たものだね」

 そこからミキトの推理解説が始まった。

「何故、模倣って限定するかって言うとね。

 まず出血量が違うんだ。前回は干からびたみたいになってただろ?だけど今回は、キャシーの手は美しいままだった。……あまり近くで見られなかったから断定はできないけどね。

 次に連続殺人犯っていうのは、1度の欲求じゃ満たされないから結構短い頻度で犯行を犯すんだ。まあ、例外もいるけど。2年も経ってからの犯行は少し間が空きすぎてると思う。

 それから最期に。殺し方が違うんだよ。チャールズは頸動脈をスパッとやられてただろう?だから血の海ができていたし、血飛沫も酷いものだった。何度も殺人事件の現場を見た僕ですら吐きそうになったくらいだ。だけどキャシーの場合、刃物は胸に刺さっていたんだ」

 つらつらと解説していく彼の姿は3人にとって頼りになり、同じくらい恐ろしい姿に見えた。警察官になれば1人の人間の死をここまで正確に分析できるのか、と感嘆の溜め息すら漏れてしまう。

「ここで1つ問題なのが、だ」

 そう言ってミキトは親指をたてた。彼が「1」を表すときの癖だった。

「君は胸に刃物が刺さった大事な人を見て感傷に浸れるかい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ