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遥か先に視る想い  作者: 埋木花咲
第2章 後に続く者
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Aldebaran

読み方:アルデバラン

意味:後に続く者

 誰かに叩き起こされてヒカルは目が覚めた。時計を見ると午前3時を過ぎたばかり。既に開けられた天井部分から顔を出すと、アイリーンが蒼白な顔で立ち尽くしていた。その横には泣きじゃくるレオを抱き上げたアンリ。嫌な予感がした。

「……ヒカル、一緒に来て」

 彼女の言葉に急いで着替える。ピタリと張り付くようなボディースーツ越しに冷え込んだ寒さがヒカルを包んだ。身震いが止まらない。これは寒さのせいか。嫌な予感のせいか。それとも、夢のせいだろうか。

 誰もいない廊下を4人で走る。途中、誰にも会わなかった。この時間なら当たり前か、と自己解決する。

 パトリックの部屋に近づくにつれ、あの臭いがしてきた。さっき夢で嗅いだばかりの臭いだ。そういえば夢なのにやけにリアルな臭いだったな、と関係のないことを考えて気を紛らわす。なぜ、パトリックの部屋からあの臭いがするのか。ヒカルは考えることを拒絶した。

「……アイリーン、レオを頼んだわよ」

 パトリックの部屋の1つ手前、『セントリーズ』へと2人をいれるアンリ。アイリーンはいやいやと首を振り彼女に抱きついた。レオまでもがぬいぐるみではなくアンリを抱き締めていた。

「アンリ。わたし独りで行こう」

 そう言って3人を中へと促す。アンリは「でも……」と言ったが、2人の顔を見て「そうね、お願いする」と答えた。

 『セントリーズ』の扉が閉まったことを確認し、パトリックの部屋まで歩く。段々ときつくなる鉄の臭い。2年前、チャールズの部屋で嗅いだのと同じ臭いがした。

「……ヒカルも来たのか」

 そう声をかけられ後ろを振り返る。そこにはミキトが悲壮感溢れる顔で立っていた。そして彼は彼女に「太陽が消えたよ」と言った。


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