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Canopus
読み方:カノープス
意味:案内人
真っ暗な部屋の中、私は立ち尽くしていた。異臭が鼻をつく。鉄のような、生ゴミのような、そんな臭い。
「ついに……ついにやったわね!ヒカル!」
そんな風に彼女が嬉しそうに言った。何が嬉しいのかわからない。こんな臭いの中、機嫌良さげにいられる彼女が不思議でなからなかった。訝しげに彼女を見ようとするが、暗がりのせいでなにも見えなかった。とりあえずこんな空間にいたら気が変になりそうで、外に出るための道を探す。空間をまさぐっていると、指先が何かぬるっとしたものに触れた。叫びながらあてもなく走る。襖が閉じられていることに気づき思い切り開け、振り返った。、
そして絶句する。
指先に触れたのは壁に張り付いた肉片だった。部屋の中には2つの……恐らく、2人の人間だったものが無惨にも投げ捨てられていた。恐る恐る近づく。
その髪には母親に誕生日にあげた髪飾りがついていた。
声にならない叫びをあげ私は走った。走って走って走ると、あの公園についていた。
そこにはパトリックがいて「忘れよう」と言った。