3/3
三
いつもの場所に向かうと少年が座っていた。
「よっ」
「おじさん」
「今日は早いな」
隣に座った。
「おじさんと一緒で暇だからね」
「だな」
目の前をフナムシが通っていった。
「ゴキブリ・・」
「あれはフナムシって名前だ」
「フナムシ・・何してるんだろ」
「なんだろうなぁ。なんか奥いっちゃったな」
「あそこにはきっと巣があるんだ」
「うじゃうじゃいるな」
「気持ち悪いね」
「ここら辺は田舎だけどさ。東京いったことあるか?」
首を横に振った。
「東京はなぁ。人が多いんだ。うじゃうじゃいる。巨人さん的にはそれどう?」
「気持ち悪いっすねぇ・・」
「だよなぁ。何にでも限度ってのがあるよなぁ」
「げんど?」
「ハンバーグ好き?」
「好き」
「目の前に百個あってうれしい?」
「うれしい」
「子供に食べ物の話はNGだな」
「えぬじー?」
「だめってことだ。何かだめなものある?」
「フナムシ」
「だなぁ」