二
いつもの場所を散歩しているとおじさんを見かけた。
「おじさん」
「いつぞやの」
(名前はなんだったか)
「暇なのか」
「おじさんもね」
ぺたりと隣に座った。もっていた木の枝を振ることはやめない。
「ここで何してるの?」
「妄想かな」
「もーそー?」
おじさんは目の前に見える島を指さした。
「あの島な、夜になると灯台の光がチカチカってするんだよ。島の端っこにある灯台がチカチカって何かに見えないか?」
「んー、かいじゅう?」
「だな、俺もそう思う」
「ふーん」
「まぁそういうことだ」
「それだけ?」
「妄想の楽しいとこはそこからなんだ。例えばあそこの怪獣はなんて名前にする?」
「ゴジラ」
「そりゃかなり危ういな・・シマジラな」
「シマジラ!」
「シマジラは今何してると思う?」
「眠ってる」
「眠ってる、そうだ。なら夜は目がチカチカしてる」
「街を襲わなきゃ!」
「でも街は平和だろ?」
「・・・なんで」
「何かがいる」
「何か・・ヒーロー!」
「だな。夜くらい遠くの島からシマジラが来るとしたらヒーローはどこからくる?」
街の方をちらりと見た。
「街?」
「じゃあこの街では毎日シマジラと街のヒーロー・・」
「タカマン!」
「誰だ・・まぁそのタカマンが戦ってるわけだ。どう?」
「面白そう!作って!」
「今までのはお前のアイデアだからなぁ。妄想楽しかったろ?」
「それほどでも」
「辛口な奴だなぁ」
「じゃあもう帰るね」
「はいよ」