第三話 ボンビー打開策は?(2)
「イケメンがいなくちゃ、働く意欲が失われるよ」
「瑛子は彼氏がいるじゃない」
夏美が軽く瑛子を睨んだ。
「青春は今しかないのよ!」
満面の笑みで応える瑛子。
(どこまで男好きなのよ!)
と、つい心の中で本音がポロリ。
「ここなんてどうかな、ハンバーガー屋さん」
「三人同時で雇ってくれるかな」
「ここはいつもバイト募集してるよ」
「どこどこ?」
ハンバーガーと聞いて乗り気になったのか、瑛子が身を乗り出してきた。
「ダメだよぉ。遠いじゃない」
どれどれと見てみると、確かに電車で二駅先だ。
ならばここはどうかと提案すると、そこは友達のお母さんが働いてるから面倒だとか、こっちは時給が安いとか、瑛子がいるとまとまる話もまとまらなくなる。
京香と夏美は瑛子を睨みつけると、無視することに決めて、話を進めた。
「酷いよぉ、ちゃんとやるから、話に入れてよ」
「瑛子が入ると決まらないから、決まったら話に入れてあげるよ」
「そんなぁ……」
情けなさそうにしている瑛子のそばに、パリジャンヌが寄り添うように近寄ってきた。
「あぁー、クマちゃん。お前は、私の気持ちが分かるんだねぇ」
「クマじゃないから!」
結局、三人の家の中間で、三人を一緒に雇ってくれそうで、そこそこ時給のよさそうなところを物色して決まったのが、駅前にある大きな中華料理店だった。
文句は言わせないからねという視線を向けながら、京香が瑛子に求人を見せると、以外にも瑛子の反応が良かった。
「あ! ここ、いいよね。料理美味しいし。きっと、ただで食べさせてもらえるよ」
「ただで食べられるわけ無いじゃない」
「お昼ごはんとか、夕飯とか出してくれるところって多いって言うよ」
「それ、賄いってやつでしょ」
「賄い?」
「働いている人が食べる料理だよ」
「それでも、中華料理だから、私そこでいい!」
もうバイトが決まったような勢いだ。
夏美と京香は目を合わせると、ため息を吐いた。