第9話 存在感
放課後、放送室には孝と高一の女子4人がいて、孝は編集、女子の4人は机で何か書いていた。女子たちは何か楽しそうである。よしよし、やっと仕事をしてくれるようになったか。よいことだ。
……ん? 何か違うぞ?
「何してんの? カラフルだね。」
「えっ、あっ三島先輩の誕生日カードです。」
沢山のマーカーが使われて、とても綺麗である。これも青春の一つだな、と思って僕は少しがっかりしてパソコンの前に座った。
「何しようかな〜」
「先輩、テロップの出し方研究するって言ってませんでしたか?」
「おぉ、そういえばそうだった。」
「あぁ〜思い付かん。」
ん?今、西宮の声がしたぞ。でも姿は見えない。幻聴か?僕が辺りを見渡していると
「ここだよ。」
手が一本出て来た。そこね。
「机の下で何やってんの?一人でかくれんぼ?」
「そんな人いるよね。浩樹とかさ。」
「あ〜そうなんだ。」
「悲しいよね〜。」
「で、何してたの?」
「今年の放送のTシャツのデザイン。」
「あぁ〜それもしなくちゃいけないのか。文化祭実行委員会はどんなんなん?」
「黄色のやつ。ドラゴンボールみたいな。」
「あぁあのドラゴンボールね。放送のはもっとカッコイイやつにしてくれよ。」
「だったらお前も考えてくれ。」
「わかった。今から作る。」
「えぇ、お前テロップの飛ばし方やるんじゃないの?」
「飽きた。」
「まだやってないだろうが。」
とにかく僕は画像編集ソフトを立ち上げて、作り始めた。
(数分後)……なかなか難しい。
家でゆっくりやるか。パソコン使う口実にもなるし。
僕は早々にあきらめ、テロップを作ろうとしたとき、足音が聞こえてきた。
バタバタバタバタバタバタ
あっ、そういえば今日もあいつ来るんだった。
これから会話の際、
文化祭実行委員会→文実
文化祭実行委員会のTシャツ→文T
などと略す場合がありますので、気をつけて下さい