第11話 カラフルカード
それから30分後――8月25日18:00
浩樹は柳川さんと一緒に放送室に入ってきた。
「「「「中島先輩、ご誕生日おめでとうございます!!!!」」」」
「A HAPPY NEW YEAR!!」
「誕生日おめでとう。」
「それは『明けましておめでとう』だよ、池谷君。」
律儀に突っ込むのは柳川さんだけ――他の面々は僕の性格をよくご存知のようだ。
「まぁとにかくありがとう。みんなよく覚えててくれたね。」
「お前が昨日何回言ったと思うんだよ。」
「そうだっけ?」
「そうなの?」
「まぁいいや、ほら、放送からプレゼントだよ。」
僕は女子4人から渡された誕生日カードを手渡す。『恥ずかしいから先輩から渡してください。』と貰ったものだ。
「おぉ、ありがとう。」
「カラフル〜。中島君は幸せ者だね。あっ、このMD再生する機械とこのひもここに置いといていい?」
「うん、頼む。」
「友達待たせてるから、またね。」
「うい。じゃあな。」
「バイバイ。」
「中島君、後輩大切にしなさいよ〜。」
バタン………バタバタバタバタバタバタ
「「「「お疲れ様でした〜。」」」」
女子達も帰っていった。西宮と村野はいつの間にかいなくなっており、いつも通り二人になった。そして、いつも通り二人で浩樹の腕時計を探している。
「柳川の最後のセリフなんだったんだ?」
「俺に聞くな。あいつに聞け。」
「柳川の父さん、俺の父さんと職場一緒なんやで。しかも同じ英語科。」
「お前の父さんは高校の先生やっけ?」
「当たり。」
そうこうするうちに、顧問が様子を見に来た。
「おーい。下校完了時刻は6時15分だそ。はよ帰れよ。」
「「はーい。」」
「げっ、もうこんな時間か。」
「見つかったよ。」
「おっ、ありがとう。お前は優秀な警察犬になれるな。」
……次から探さんぞ。
明日テストです……
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