第1話
高校生活最後の夏
私、千原真夜は恋に落ちた
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梅雨が明け
蒸し暑くなってきた7月
ここ戦場ヶ原高校では夏休みの開始が少し早いためみんなにわかに浮き足立っていた
「…以上だHR終わりー」
いつもどうりにHRが終わり
いつもどうりに時間が流れていく
友達もみんな楽しそうに笑ったりつまんなそうにしたりしている
そんな中私もある一人の男子と話していた
「おはよう、真夜!」
コイツは水谷蒼弥
隣のクラスで私の幼なじみ
同じ部活に入っている
「…おはよう、相変わらず元気ね」
私が呆れたように言うと蒼弥は
「高校生活最後の夏休みを前にそんな低いテンションでいるほうが難しいとおもうけど?」
さも当然のように蒼弥は尋ねてくる
「まだ二週間ぐらい先じゃなかったかしら?
それに夏休みと言っても
今までとそれほど違いは無いと思うけれど…」
すると蒼弥は驚いた顔で
「え?
いやだって高校最後だよ?」
と言ってきた
別に高校最後だろうと
夏休みに変わりはないのでは?
という本心は隠しながら
「そうね」
適当に返事をした。
「そっか…」
蒼弥は少し寂しそうな顔をして自分の席にもどっていった
蒼弥とは長い付き合いだ
前に「真夜のことは言わなくてもなんとなくわかる」
と言っていた
多分今のことも通じたのかなと思いつつ授業の準備をした
「いいかー分かったかー」
一時間目
黒板の前で説明する先生をぼーっと見ながら私は朝の蒼弥の事を考えていた
朝の寂しげな顔は何だったのだろうか?
蒼弥は私が休みや行事で騒ぐような人ではないと知っているのに…
もしかして
今回の夏休みは蒼弥にとって何か特別なのかも…
そんなことを考えていると後ろの席の人から綺麗におられた手紙が回ってきた
受け取ると
『千原さんへ』と書いてある
下に小さく『雨宮渚』と名前が書いてあった
渚はこのクラスになった時に出来た私の親友だ
私は小さくおられた手紙を広げてみるとそこには小さな丸い文字で
『今日の放課後あいてる?もしあいていたら駅前のカフェいかない?』
私はその下に
『今日は部活だから無理なんだ』
と書いた
私は天体観測部に入っている
その名の通り空を観察する部活で私は部長を勤めている
受験があるから部活は参加するな、と何度か言われているが
私達の部活は人数がとても少ないため、部を廃部にされないように日々頑張っている
部員は私と蒼弥
高2の原田君と高1の長屋君、瀬華さんである
ちなみに渚は帰宅部で暇があるとよく私をお茶に誘ってくれる
少し申し訳ない気持ちで手紙を小さくおり直して前の子に回すようにお願いした
しばらくしてまた手紙が回ってきたた
渚からだ
『真夜ちゃんって本当に部活好きだよね
気になる男子でもいるの?』
………部活は好きではないし嫌いでもない
男子に対して恋愛感情は無いと断言できる
『部活は部長として行くだけよ、それに気になるほどの男子はいないわ』
私はふと蒼弥の事が脳裏に浮かんだ
私にとって蒼弥はどんな存在だろうか
頼りになるただの幼なじみか
頼りになるただの一人の男子か
色々な事を考えていると
授業の終わりを告げる鐘が鳴った
「真夜ちゃん♪」
次の授業の準備をしていると渚が私に話し掛けてきた
「あら、渚」
「真夜ちゃん、男子に興味無いって書いてあったけど、水谷君はどうなの?」
「蒼弥はただの幼なじみよ」
「あんなかっこいいのにねぇ
『ただの』はないでしょ?」
確かに蒼弥は同じ年代の女子に大人気だけど…
「私にとっては『ただの』幼なじみよ」
すると渚は少し顔を赤らめて
「じゃあ…真夜ちゃんは水谷君に対して恋愛感情はあるの…?」
私は
少し考えてこう言った
「いいえ…ないわ」
放課後
みんなが帰ってなんだか静かになった教室の中
私は日直の仕事で黒板を掃除していた
教室の中は少しだけオレンジ色になった日の光に満たされている
静かな中、私が黒板を消す音だけが響く
一人で静かな場所に居ると
いろいろな事を考えてしまう
今日、渚が聞いてきたことが頭の中でぐるぐる渦巻いている
『真夜ちゃんは水谷君に恋愛感情があるの…?』
渚は多分蒼弥の事が好きなのだろう
でもなんで私にそんなこと聞くのだろうか?
親友としてだろうか…
しばらく考え込んでいたら
後ろでドアの開く音がした
振り向くとそこには
蒼弥がいた
「よう!」
手を上げてまた私に挨拶してきた
「あら?部活に行かないの?」
私が尋ねると
「ん?いや~後輩は物静かだし、俺部活行ってもやることないし」
「真夜と一緒に行こうかなーって」
「…わざわざ待ってくれてたの?」
「おぅ!」
「……私が幼なじみだから?」
「よく分からないが…
それもあるけど?」
……私がバカみたい
「…今日は帰る」
「え?」
唖然とする蒼弥
「さよなら」
「ちょっ、おい真夜!!」
なんで蒼弥の事なんかで
悩んだのだろう
私は関係ないのに…
その日は家に帰って
蒼弥にメールした
『ごめんなさい。
あんな態度を取って』
しかしその日蒼弥から返事が来ることは無かった
☆★☆★
次の日
教室に入ると
渚が話し掛けて来た
「おはよう、渚」
「…真夜ちゃん、ちょっと来てくれない?」
「いいけど?」
そう言うと渚は私の手を引っ張って教室から連れ出した
「それで、渚は私に何か用?」
渚は顔を真っ赤にして
「あの、これを水谷君にわ、渡して!!」
そうして差し出されたのは
手紙だった
「これって…」
「お願い!!なにも言わずに渡して!」
この手紙は私が渡すべきなのだろうか…
渚自身が渡すべきものなのでは?
「とりあえず頼むわね!!」
そう言うと渚は走って行った
「え?ちょっと…」
その後
私が渚に話しかけようとすると顔を真っ赤にして逃げてしまった
「蒼弥に手紙を渡さないとラチがあかないじゃない…」
途方に暮れてると
「それ俺宛か?」
ひょいと私の手から手紙がとられた
「?!」
「なんだよ、幼なじみが珍しいのか?」
「い、いきなり蒼弥が現れるからびっくりしただけよ」
「で?この手紙は俺宛てみたいだが…?」
「えっと…」
「あれ?差出人が書いてある…」
「…雨宮渚」
「あれ?雨宮渚って…」
蒼弥は私を見て尋ねる
「そうよ、私と同じクラスの子」
そして手紙を渡された事を話した
蒼弥は
「じゃあこの手紙は俺宛なんだな?」
「えぇ、そうよ」
「分かった」
そう言うと走って私のクラスに向かって走っていった
放課後、天体観測部
「うーん、暇だな瀬華」
「そうだねー長屋君ー」
今日は午後から雨が降っていてなにもできない状況になっていた
「くそぉ、テ〇ガ強いぜ」
原田君は携帯ゲームで遊んでいる
私は読書をしていて
蒼弥は天体望遠鏡の整備をしていた
「蒼弥、さっきの話はどうなったの?」
私は蒼弥に渚のことを聞いてみた
「あぁその話はまた今度な」
「ちょっと、ごまかさないでよ…」
そこに割り込むように
瀬華さんが
「せんぱーい、夜になったら晴れるそうですよ」
長屋君も
「よし、そろそろ夏の星座も観察できる時期ですね」
蒼弥は立ち上がってこう言った
「よし、今夜は星を見に行くぞ!!」
こんにちは、なおとっとです
この作品は全くノウハウのない素人が描いたラブストーリーです
文法の違い 誤字 脱字は温かい目で見てください
あと更新スピードについてですが
かなり気まぐれです
こんな小説ですがよろしくお願いします