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8話:ビューティフルエイト

「アクアマリン?」


キラはそう名乗る少年に聞き返した。


その格好からして、ジュエラーだということは容易に想像出来た。



「そう、お前らザコより格上のアクアマリン様さ」


アクアマリンは四人を嘲笑いながら答えた。


「随分と生意気なガキだ」


フウヤの悪態にアクアマリンは即座に反応する。



「誰がガキだ!このヒョロ男!」


フウヤはアクアマリンを無視し、アクアマリンは更に腹を立てる。

その間に、キラが割り込む。



「あの、喧嘩はやめましょうよ。まずはゆっくり話し合って・・・・・」


「いい子ぶんなよザコ!」


アクアマリンの暴言にキラはたじろぐ。


「お前、甘いことばっか言ってよー。ウザイんだよ!」


キラは皆を見回すが、誰もキラを庇う者はいない。

キラは落ち込んで俯いた。


「出て来た所で悪いが・・・」


「倒させて貰うわよ」


フウヤとテルが武器を構えて対峙する。


アキラは変わらずフウヤに敵意を向ける。



「・・・・・あ」


キラが思わず声をあげた。

テル達も自分の体を見る。


見ると、四人の体が蒸発しかかっていた。


「時間切れか」


アキラが呟くと、フウヤは真っ先にゲートを探しに行った。


「早く元の世界に戻らないと、消滅するぞ!」


アキラはキラに伝えると、その場を去った。



「おい、逃げんなよ!」


アクアマリンはキラとテルに突っ掛かる。


テルは戦おうとするが、キラが手で制す。


「どいて!」


「テル、駄目だよ!」


キラはカードを引いてバイザーにセットする。



《バーストキラー》


キラの周りに七色のダイヤが現れ、キラはそれを手を振って操作する。


ダイヤはアクアマリンの足元に落ち、足が止まる。




煙が晴れ、アクアマリンは辺りを見渡した。


しかし、辺りには誰もおらず、既にキラ達は退散した後だった。



「クソ!」


アクアマリンは足元のクリスタルのカケラを蹴っ飛ばした。


辺りに生えている鉱石や宝石を八つ当たりする。


「あいつら、俺をコケにしやがって」


アクアマリンはワナワナと体を震わせる。


そして、大地を強く踏んだ。



「最後まで勝ち残るのは・・・・・この三条トモヒコだ!」


トモヒコは一人、力強く宣言した。






「はぁ、はぁ・・・・・」


キラは何とかジュエルワールドから脱出し、元の世界に帰って来た。


そこで、キラは近くにテルがいないのに気が付いた。


「テル?」


脱出の際のゴタゴタではぐれたのだろうか。

辺りには廃倉庫が寂しく建っているだけだ。


その時、キラは誰かが近付いていることに気が付いた。


「フウヤさん」


「お前・・・名前何だっけ?」


「倉四季キラです」


「倉四季か」


フウヤはキラの名前を覚えると、キラに歩み寄った。



「あんまりジュエラーに自分の名前を教えない方がいいぞ。いつ殺されるか分からないんだからさ」


「私は、殺すつもりも殺されるつもりもありません」


キラがあまりにも堂々と言うため、フウヤは思わず吹き出した。


「お前、やっぱり変わってるな」


「む・・・」


キラはフウヤの面白いものを見る言い方にムッとした。






「・・・・・キラ?」


テルは近くにキラがいないことに気が付いた。


「キラ、キラ!」


辺りを探して見るが、近くに誰もいない。

が、そこにアキラがやって来た。



「キラを探してるのか?」


「・・・傍にいたのが急にいなくなったから気になっただけよ」


テルはそっぽを向いた。

愛想のない奴だな、と思い思わず笑った。



「・・・何?」


「いや、お前も変わったな」


アキラの言葉にテルは顔をしかめる。


「自分で気付いていないだろうが、お前は間違いなくキラに心を開いているよ」


「・・・・・私の願いはたった一つ。そのためなら私はキラを殺す」


テルはアキラの隣を通り過ぎ、アキラもそれを追って歩く。






「あ、テル!」


キラはテルを見つけると、駆け寄って手を握る。

テルはうっとうしげにそれを振り払う。


アキラとフウヤは互いの姿を見つけると、睨み合った。



すると、そこにトモヒコがやって来た。


「おい、見つけたぞお前ら!」


フウヤはトモヒコに尋ねた。


「お前がアクアマリンか」


「そうさ!」


トモヒコは自信いっぱいで胸を張って答えた。

そして、ポケットからケースを取り出した。



「さあ、戦おうぜ」


トモヒコが右手でケースを突き出すと、腰にバックルが現れる。


左手と左足を後ろに引き、ケースをバックルにはめる。


「変身!」


トモヒコがアクアマリンに変身した。

左手を顔の高さまで上げ、右手で手の甲を叩く。すると、叩いた場所から水色の結晶が辺りに舞う。



そして、アキラやテル、フウヤも変身する。


【変身!】


アメジスト、ガーネット、エメラルド、アクアマリンがそれぞれ睨み合う。



テルはキラに視線を向ける。

キラはポケットに手を入れ、ケースを掴むが、そこから手が動かない。


テルはキラの隣に来る。



「戦えないなら、やめた方がいい」


そう言ってテルはゲートを潜った。

アキラとフウヤも続けて入る。


トモヒコはキラを罵倒した。


「ビビってんならやめちまえよアホ!」


トモヒコがゲートを潜ると、キラは一人取り残された。



キラはどうすべきか考えた。

戦いを止めなければならない。


「私に、止められるのかな・・・」


自分が行って、何とかなるのだろうか。



「戦わないのかい?」


その時、キラの前にパサランが降りてきた。


キラはパサランに答えた。


「私は、ジュエラーとは戦わない」


「なら、この戦いは放って置くといい。君の邪魔が減るよ」


「・・・・・私、は」


キラはケースを握ると、ゲートに向けてバックルを出す。

そして、ダイヤモンドに変身した。


「私は、誰にも死んでほしくないの!」


キラがそう言うと、パサランは後ろを向いた。


「君の好きにしたらいい。僕に止める権利は無いしね」






《エレメントキラー》

《チェインキラー》


アキラの拳に炎が宿り、フウヤに襲い掛かる。


フウヤの背後から緑色の細い線が何本も飛び出し、アキラの拳を縛り付ける。


アキラは拳から炎を放出し、風の鎖を消し飛ばす。


フウヤはすかさずカードを引き、左肩にある竜巻型のバイザーに差し込む。


《エレメントキラー》


フウヤの鞭に風が纏い、アキラの拳に何度も当たる。

アキラは拳でガードするが、何度も防ぐ内に炎が弱まり、やがて炎と風が相殺する。


アキラが怯んだ隙にフウヤは鞭を振るう。


鞭がアキラの肩に命中し、続けて鞭を振り上げて腹に当てる。


アキラは火花を散らしながらのけ反る。




「さぁ、俺様が倒してやんよ!」


トモヒコはカードを引き抜くと、左手に持っている大きなコンパスの様な物の、本来なら針がある部分にカードを差し込む。


《キャノンキラー》


トモヒコの隣に砲台が設置され、光の砲弾を発射する。


《マッハキラー》


テルはカードの力で加速し、光弾を避ける。


「へへっ」


トモヒコは更にカードを差し込んでいく。



《キャノンキラー、キャノンキラー、ガトリングキラー、ガトリングキラー》


先程と同じ砲台が二つ、連射砲台が二つ。計五つの砲台が設置される。


「行けぇ!」


トモヒコが指示を出すと砲台が一斉に攻撃を開始した。

キャノンキラーからは大きめの光弾が。ガトリングキラーからは小さな光弾が連射される。


「・・・・・」


テルは弾幕を回避しながらトモヒコに接近する。



「おおっと」


トモヒコはコンパスの長い方で地面に線を引く。


するとその線から水が放たれ、壁となる。


「くっ!」


テルは横に逃げ、光弾を避けていく。



《オフェンスキラー》


アキラの右手にボクシンググローブのような形の赤い宝石が装着される。


アキラが拳を突き出すと、拳の形をした赤いエネルギーがフウヤ目掛けて飛んでいく。


フウヤはそれを避け、拳はトモヒコの背中に命中する。


「痛ぁ!」


トモヒコは衝撃で吹き飛び、勢い余ってテルにぶつかる。



「ぐ・・・!」


テルは痛みで一瞬呻き、地面に倒れた。

が、すぐさまトモヒコを蹴っ飛ばす。


飛ばされたトモヒコは格闘中のアキラとフウヤにぶつかる。

そこにテルが追撃に行く。


フウヤが鞭で剣を弾き、もう片方の鞭でテルを叩く。



戦いはいつの間にか混戦になった。

そこへ、


《ミサイルキラー》


電子音声が聞こえたかと思うと、テル達の周囲に何発ものミサイルが着弾する。


テル達は爆風で飛ばされる。

地面に倒れるテル達に何者かが近付いていく。



「全く、僕以外のジュエラーは美しくないね」


「誰だ!?」


アキラは攻撃してきた人物を見る。




「僕こそが世界で最も美しい男、美八ビューティー・・・・・サードニクスさ!」


ビューティーは黄緑の前髪を掻き上げ、気取った顔でテル達を見た。


赤と白の縞模様の装甲が日の光で煌めく。


「また新しいジュエラーか」


フウヤが警戒して戦闘体勢を取る。


テルやアキラ達も体勢を整え、五人が一斉にカードをセットする。



《サモンキラー》

《サモンキラー》

《サモンキラー》

《サモンキラー》

《サモンキラー》


五人の契約モンスターが同時に現れる。


テルのバードアメジスト

アキラのガーネットカンガルー

フウヤのエメラルドモール

トモヒコのラビットアクアマリン

ビューティーのライオサードニクス


五体のモンスターがそれぞれの盟主の後ろに現れ、咆哮で威嚇し合う。


その時、



《サモンキラー》


ダイヤドラゴンが現れ、口から光弾を発射してモンスターを傷付ける。


テルは煙が晴れると同時に目を守っていた腕を降ろす。


すると、そこには五人の中心に立つキラの姿があった。

キラを護るようにダイヤドラゴンが周囲を巻いて壁となる。そして、周囲に威嚇する。


キラは五人に向けて宣言した。



「私はジュエラーを殺さない!ジュエラー同士が殺し合うなんて間違ってる!だから・・・絶対に、誰も死なせない!!」


キラはそう宣言した。

自分が殺さないだけでなく、ジュエラーの死人も出さないと。



このどう考えても無理な内容にアキラは呆然とし、フウヤはやれやれと呆れながら少し楽しげに笑う。


テルは盛大なため息をつく。


トモヒコは「ハァ?」と口を開ける。



「美しくないね、そんな綺麗事」


ビューティーはキラを批難する。

キラはビューティーにハッキリ言った。


「やってみなくちゃ、何も分からない。だから私は諦めない」



キラが言い終えると同時にダイヤドラゴンが力強く咆哮する。キラの決意の硬さを表すように。



ケセランとパサランが橋の上からこれを見下ろしていた。


「へっへっへっ・・・・・面白くなってきたぜぇ」


「どうなるかな」


六人のジュエラーが、それぞれの思惑を胸に対峙した。

ジュエラーの戦いは、まだ始まったばかり・・・・・

三条トモヒコ CV.渡辺明乃



アクアマリン

デッキ構成


キャノンキラー

ガトリングキラー

オフェンスキラー×3

ディフェンスキラー×1

チェンジキラー×1

スリップキラー×1

イアイキラー×1

サモンキラー×1

ファイナルキラー×1

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