7話:トラップボーイ
日も暮れだした夕方、子供たちが公園で遊んでいた。
遊具を使ったり、鬼ごっこをしたりと、思い思いに遊んでいた。
それを眺める少年が、公園の傍に立っていた。
遊んでいる子供たちと同年代で、小学三年生くらいだ。
そして、遊んでいる子供の一人が、少年に気付いた。
「帰れ!悲惨条!」
そういって、子供たちは少年に石を投げ付けた。
少年は抵抗せずに石に当たっていたが、やがてどこかへ走り去って行った。
子供たちは少年が帰ったのを見届けると、遊びを再開した。
少年は石が当たった箇所をさすり、拳を握り締め、体をワナワナと震わせた。
「復讐してやる・・・・・復讐してやる!」
少年・・・三条トモヒコは怒りに瞳を燃やした。
ある日、アキラは商店街を歩いていた。
スポーツジムのバイトが終わり、昼食を買いに行く途中だった。
そこで、ある人物と出会った。
「何だ、お前かよ・・・・・」
フウヤはアキラの顔を見て露骨に不機嫌になる。
それはアキラも同じで不快感をあらわにする。
「ああ、私も貴様の顔は見たくなかった」
「じゃあ早くどっかに消えろ」
フウヤは足早にその場を去る。
アキラも、フウヤを睨みつけた後で歩き始めた。
あの日のことは昨日の事のように思い出せる。
台風が私の住んでいた町を襲った日、弟は外に出てしまっていた。
理由は分かっていた。フウヤと弟は仲が良かったから、いつものように会いに行ってしまったのだろう。
私は風が吹き荒れる中弟を追い掛けた。
そこで見てしまった。
柵から乗り出して手を振っていた弟がバランスを崩して転落するのを。
私は急いで駆け寄ったが、私が橋に到着すると同時に弟は氾濫した川に落ちてしまった。
見ると、弟が流されていくその先にフウヤが立っている。
「フウヤ!助けてくれ!」
私はフウヤに弟を助けるよう言った。
だが、奴は・・・・・動かなかった。
仕方なかったと思ってる。
フウヤはあの日の事を思い出していた。
台風だからといって破れない。
今日会おうと約束してしまった手前、あいつを待たせるわけにはいかない。
俺は風が吹き荒れる中約束の場所へ行った。
そこで、あいつが川に落ちるのを見てしまった。
こちらに流されてきて、あいつは無我夢中で助けを求めた。
俺は動けなかった。
全てを飲み込まんと言わんばかりに荒れた川に入る勇気がなかった。
あそこで川に飛び込んでいたら、俺も死んでいただろう。
今ならそれが分かる。
だから俺が最低野郎だとしても、間違っているとは思わない。
ただ一長アキラはそれ以来俺を批難し続けた。
それは構わなかったが、まさかあいつもジュエラーになるとは思わなかった。
そして不思議なことに願いまで一緒だった。
この世から災害が無くなればどうなるのかは分からない。
ただ、世界に大きな影響を与えるだろう。
そうなるとどうなってしまうのか分からないが、ならせめて人が死なないようにしたい。
それでも問題は起きるだろうが、俺はもう災害で誰かが死ぬのを見たくない。
だから、戦っている。
「・・・・・ん?」
フウヤの視界に見知った顔が映り込む。
「・・・五階堂フウヤ」
フウヤの前に現れたのはテルだった。
隣にはキラが不安げな顔でたっている。
「あの、テル。早く行こう?」
キラはテルを連れて去ろうとしたが、テルはそれを振り払うとフウヤと対峙した。
「ちょうどいいわ。相手してくれない?」
テルはカードケースを取り出す。
フウヤも同じくケースを取り出す。
「望む所だ」
そうして人気のない場所へ移動すると、ちょうどそこへゲートが現れる。
「テル、やめようよ」
キラは尚もテルを引き止めようとするが、テルはキラを一睨みする。
「言ったはずよ、ジュエラーとの戦いでは容赦しないって」
「悪いな、手を出さないでくれ」
フウヤとしては乱戦になるのはゴチャゴチャしそうなので、避けたかった。
キラが怯んだ隙に、二人は変身した。
【変身!!】
二人はそれぞれアメジストとエメラルドに変身し、ゲートの中に入った。
残されたキラはどうしようか迷った。
「入ったら戦いになるけど、見過ごせないよ・・・・・」
キラもケースを取り出す。
「変身!」
ダイヤモンドに変身し、ゲートを潜る。
《スラッシュキラー》
《エレメントキラー》
テルの剣に紫のオーラが纏い、フウヤの鞭には緑色の風が纏う。
二人の武器が何度もぶつかり合う。
フウヤは鞭を剣に巻き付け、テルを振り投げる。
地面を転がるテルにフウヤは追撃した。
キラはジュエルワールドに入ると、すぐにテルとフウヤを見つけた。
二人を止めようするが、モンスターが飛び出して来て、キラを突き飛ばした。
「きゃっ!」
キラは転倒したが、すぐに起き上がる。
キラに体当たりしたモンスターは、猪がそのまま大きくなったような姿をしていた。
モンスターは再びキラに突進する。
キラはカードを引くとバイザーにセットする。
《アームキラー》
キラの両手にダイヤの装甲が装着され、キラは突っ込んで来るモンスターと対峙する。
「ハァッ!」
フウヤはテルに鞭を振るい、テルは剣でそれを薙ぎ払う。
その時、フウヤに何者かが襲い掛かった。
「五階堂ー!!」
「またお前かよ」
フウヤは呆れた顔でアキラの拳をかわして距離を取る。
「・・・・・邪魔よ」
「こいつを倒すのは私だ!」
アキラはテルを無視し、フウヤに襲い掛かる。
キラは突進してくるモンスターの角を掴む。
押さえようとするキラを、モンスターは突き飛ばそうと更に力を込める。
キラはザザザザと音を立てながらモンスターに押されていく。
が、やがてキラとモンスターの動きが止まる。
キラがモンスターを完全に食い止めたのだ。
モンスターはキラを突き飛ばそうと再び走ろうとする。
キラはそんなモンスターを横に投げ飛ばした。
「ッラァ!」
モンスターは地面を転がり、倒れる。
キラはその隙にカードをセットする。
《サモンキラー》
ダイヤドラゴンが空間を裂いて現れ、モンスターに襲い掛かる。
モンスターをくわえると空へと舞い、何度もモンスターを噛み潰す。
ダイヤドラゴンが噛む度に火花が散り、モンスターが悲鳴を上げる。
《スラッシュキラー》
キラの手にダイヤの剣が握られ、上空のモンスターを見つめる。
そして、ダイヤドラゴンはキラに向かって口の中のモンスターを首を振って放り投げた。
自分に向かって物凄い速度で落ちて来るモンスターを、キラは剣で串刺しにした。
モンスターの腹をダイヤの剣が貫通する。
「ギ、ギャ・・・・・」
暫くモンスターは動かなかったが、やがて爆散した。
モンスターから出て来た命をダイヤドラゴンは丸呑みし、キラの傍まで寄って咆哮をあげた。
「ガオオオオオオオオオオ!!」
「近いよ」
キラはびっくりして耳を塞ぐ。
ダイヤドラゴンはキラの周囲を舞った後、どこかへ消えて行った。
「そうだ、皆は?」
キラは慌ててしゅういを見渡した。
すると、三人が入り乱れて戦っていた。
キラは仲裁しようと走り出したが、その時三人のいた場所が光で包まれた。
「・・・え?」
「く・・・」
テルはなんとか起き上がる。
三人で戦っていると突然足場が光り、光っていた範囲が光の爆発に呑まれたのだ。
アキラとフウヤも立ち上がる。
「なーんだ、やっぱこれだけじゃ死なないか」
どこからか、少年の声が聞こえる。
すると、一人の小柄な少年が歩いて来ていた。
全身を水色の装甲で纏った少年。
キラもその場に駆け寄り、少年に尋ねた。
「君は・・・?」
少年はキラを鼻で笑い、答えた。
「僕は・・・・・アクアマリンさ!」
一長アキラ CV.小清水亜美
ガーネット
デッキ構成
アームキラー
ナックルキラー
エレメントキラー×1
オフェンスキラー×2
ディフェンスキラー×1
サモンキラー×1
ファイナルキラー×1