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6話:同盟結成?

「あ、え・・・・・」


キラは目の前に迫り来る紫の光に気圧され、避けても間に合わないことを察した。


それでも、反射的にカードを引きバイザーにセットした。



《フラッシュキラー》


キラの左手にあるバイザーから強烈な光が放たれ、周囲を照らす。


するとテルの技が消え、テルはその場に着地した。



「・・・・・無効化?」


テルは思わず呟いた。

どうやら先ほどの技は攻撃を消す力らしい。


「ち、ちょっと。危ないじゃない!」


キラはテルに詰め寄るが、テルは相手にしない。

それでも詰め寄るキラにウンザリしたのか、テルはキラを突き飛ばした。


「いい加減にして、ジュエラーは殺し合うんだから当然でしょう」


「そんなの、納得出来ないよ!」


キラは強く反発した。

どんな理由があっても、人を殺していいはずがない。

キラはそう思っている。


テルはため息をつくと、ある場所を指差した。



「そんなに戦いを止めたいなら、先に向こうをどうにかしなさいよ」


キラはテルの指差した方を見た。


そこでは、アキラとフウヤが未だに戦い続けていた。


キラは慌てて二人の元へ走って行った。




《ナックルキラー》


《エレメントキラー》


アキラの拳にガーネットで出来たメリケンが装着され、フウヤの鞭には風が付加される。


互いの攻撃がぶつかり合い、火花を激しく散らす。


「うおおおおお!」


「ハァッ!」


二人は力を込めて攻撃を開始する。



「やめて!」


《ディフェンスキラー》


キラの両腕にダイヤドラゴンから出来たシールドが装着される。

キラは二人の間に立ち、アキラの拳とフウヤの鞭を受け止めた。


「倉四季!?」


「ん?」


二人は突然の乱入者に驚いたが、キラの姿を見ると武装を解除した。



「やめてください。どうしたんですか、アキラさんまで」


「・・・だが、コイツは」


アキラはそこまで言いかけた所で上を向いた。

キラもつられて上を向く。


ダイヤドラゴンがモンスターの命である光の球体を飲み込み、どこかへ去ってしまった。


テルはキラをジト目で見詰めた。


「貴女・・・・・」


綺麗事を言っておきながら、狙いはこれか。と言いたげな眼差しだった。


「ち、違う。ダイヤドラゴンが勝手に!」


キラは必死に否定した。

これではモンスターをダイヤドラゴンに食わせる為に場を掻き乱したみたいだ。



「・・・変な奴がジュエラーになったもんだ」


フウヤは鞭をしまうと背を向けてこの場を去ろうとする。


「逃げる気か!?」


アキラの問いにフウヤが答える。


「今日はそんな気分じゃないんだ」


フウヤの発言を聞いてアキラは殴り掛かろうとしたが、キラが引き止める。


「アキラさん、落ち着いて!」



そうしている内に、フウヤはゲートを潜って元の世界へ返った。






その後、キラ達もジュエルワールドから元の世界へ帰還した。


元の世界へ帰るやいなや、テルは立ち去ってしまった。


キラはアキラに尋ねた。



「アキラさん、フウヤさんと何があったんですか?らしくなかったですよ」


さっきのアキラは、今までとは明らかに様子が違った。


アキラは答えづらそうにしていたが、やがて口を開いた。



「あいつは・・・・・アイツに、私の弟は」


「人聞きの悪い嘘を振り撒かないでくれないか」


アキラが話し出すと、どこからともなくフウヤが現れた。



アキラはフウヤを睨みつける。


「何が嘘だ。お前が見殺しにしたのは事実だろう!!」


「ちょ、ちょっと。落ち着いて下さい」


キラはアキラを何とか押し止めると、フウヤに事の真偽を尋ねた。



「あの、見殺しって一体・・・」


フウヤはため息をつくと、事情を話し始めた。


「十年前に大規模の台風が俺達の町を襲ってな・・・こいつの弟は、その時増水してた川に巻き込まれたんだよ」


「今でも鮮明に覚えてるよ。橋から落ちた弟・・・・・そして、流される弟を間近で見て置きながら助けようともしなかったコイツを!」


「無茶言うな。ガキの頃の俺にあんな危険な川に飛び込めってのが無理なんだよ」


「何だと!?」


再びアキラが飛び出そうとしたので、キラは何とか抑える。



「・・・・・俺は災害で誰も死なない世界にする。そのためにジュエラーになった」


「災害で、誰も死なない?」


キラはフウヤに聞き返した。


「俺の両親は地震で発生した土砂崩れに呑まれて死んだ。だから・・・もう、災害で誰かが死なない世界にする」


「人を見殺しにするお前に出来るはずがない。それは私が願う!」


アキラを無視し、フウヤはその場を去って行った。



キラは何とかアキラを宥め、話し掛けた。


「アキラさん・・・・・私には、貴女の言い分が言い掛かりに聞こえます。別にフウヤさんが弟さんを殺したわけじゃ・・・」


「自分でも分かってるさ。だが・・・・・あいつの顔を見ると、どうしても冷静じゃいられなくなる。どうしても感情的になってしまうんだ」


アキラはうなだれて、その場に座り込んだ。

キラは心配でアキラを覗き込む。


アキラはキラの頭を撫でた。



「ありがとう。余計な心配を掛けさせたな」


「いえ、気にしないで下さい」


「そういえば・・・二宮と何があった?何か言い合っていたようだが」


キラは言葉に詰まった。

出来ることなら、テルとのことにはあまり触れて欲しくなかった。


「二宮さんが、どうしてもジュエラーを殺すって・・・・・何度話しても、分かってくれなくて」


「仕方ないさ。私には分からないが・・・あいつにも、譲れない事情があるんだろう」


譲れない事情。

テルが人を殺してまで、叶えたい願いとは何なのだろうか。







その夜、テルは家のバルコニーで夜空を眺めていた。

少し肌寒いが、星の輝きはそれを忘れさせてくれる。


テルは自分の傍に何かが来たのを感じた。


「何か用?」



パサランが手摺りに着地し、テルに話し掛けた。


「倉四季キラはどうだい?」


「・・・別に」


「そうかい」


テルにはパサランの意図が分からなかった。



「一体何のつもり?こんな夜にあの子の話をするためだけに来たの?」


「そうだね、ただちょっとね」


パサランは宙に浮き、テルの前に移動した。



「倉四季キラはやがて君にとって最大の壁になるだろう」


「あんな、戦う気のない子が?冗談が下手ね」


テルはパサランの言葉を一蹴した。

しかし、パサランは少しも気にせず続ける。



「ああ、彼女の性格からしてね。僕の話はそれだけさ」


テルは顔をしかめた。

あの見るからに甘ったれてそうな子に苦しめられるというパサランの言葉が不愉快だった。


テルはバルコニーから自室に戻り、開き戸をバタンと閉めた。



一人になったパサランは独り言を言い始めた。


「もっとも、その壁が君の前にあるのか後ろにあるのかはまだ分からないけどね」








翌日、キラは学校を終えて帰る途中だった。

いつも通りに歩いて行く。


そこで、またテルに出くわした。


「二宮、さん・・・」


キラの顔を見て、テルは昨夜のことを思い出した。

そしてキラに問い詰めた。



「戦う気がないならどうして貴女はデッキを捨てないの。貴女が生きているだけで他のジュエラーの願いの足枷になるだけよ」


「これは・・・・・モンスターを倒すのに必要だから」


それを聞いて、テルはキラの胸倉を掴む。


「だから、貴女はモンスターにエサを与えて強くなる必要ないでしょ!」


「強くなりたいんじゃない!」


キラが声を荒げて叫ぶと、テルは思わずたじろぐ。



「私はただ、モンスターから人を守りたいだけ。これ以上、誰かが死ぬのは嫌なの!」


キラは思わずテルの両手を掴んだ。


「だからお願い。私と一緒にモンスターを倒して!貴女だって、モンスターを倒したいでしょう!?」


テルは思わずキラの話を聞いていたが、我に返ってキラの手を振りほどいた。


「確かにそうだけど、貴女と組むメリットがない。貴女が私を裏切る可能性も」


「テル!!」


テルは何が起こったか分からなかった。

キラはテルの名前を呼び、その目を見詰めながら話し続けた。



「私は、テルを裏切らない」


二人は何も喋らない。

ただ、互いを見つめ合うだけだ。


その時、キラとテルの頭にキーンと高い音が響いた。


モンスターが現れた証だ。


キラはカードケースを前に出す。

するとキラの前にゲートが現れた。


「変身!」


キラはダイヤモンドに変身し、ゲートを潜った。

テルは、そんなキラを黙って見送った。






キラはジュエルワールドに入ると、辺りを見渡した。


すると、電柱の上にモンスターが立っていた。


赤と青、二体の亀の甲羅を背負った人型の亀モンスターがそれぞれいた。



モンスターはキラの元へ飛び降りる。


キラはモンスターを回避し、カードを引く。

そして、バイザーにセットする。



《アームキラー》


キラの両腕にダイヤの装甲が装着され、モンスターを殴る。


が、モンスターの両腕には亀の甲羅のような物があり、ダメージを与えられない。


「っ、固ァ!?」


キラは痺れた右手を振る。


その隙にもう一体のモンスターがキラを殴り飛ばす。






テルはキラとモンスターの戦闘をゲート越しに眺めていた。


2対1なためか、キラが押されているようだった。


テルがゲートの先を眺めていると、アキラがやって来た。


「やっぱり、変わった奴だろう?」


「・・・・・ええ」


アキラもゲートの先で戦うキラを眺める。



「あいつは自分の為じゃなく、どこかの他人のために戦える」


「他にやり方もあるでしように」


テルは呆れながら、ケースを取り出す。


「あいつと手を組むのか?」


「知らないわよ」


テルがケースを出すとバックルが出現する。




「変身!」


テルはアメジストに変身し、ゲートを潜った。


ジュエルワールドに入ると、カードを剣にセットした。



《スラッシュキラー》


テルが剣を振るうと紫の刃が飛び、モンスターの横腹に当たり、モンスターは怯んだ。


キラはカードをセットする。


《オフェンスキラー》


キラの右手にダイヤドラゴンの頭が装着され、キラは右手を突き出した。

すると、ドラゴンヘッドから巨大なダイヤが発射される。


二体のモンスターはダイヤに直撃して吹っ飛んだ。



キラは傍にやって来たテルを見た。

そして、テルはキラに告げた。


「モンスターの時だけ」


「え?」


「モンスターと戦う時だけ、貴女と共闘してあげる。それ以外は・・・・・ジュエラーとの戦いの時は、容赦しない」


テルの言ったことを理解し、キラは微笑んだ。



「じゃあ、私は絶対に死ねないね。貴女と・・・・・ジュエラーを戦わせないために」


「・・・・・出来るのならやってみなさいよ。キラ」


キラは自分の耳を疑った。


「・・・え?」


「貴女が先に私の名前、言ったのよ」


キラはそういえばそうだった。と思い出した。


つい勢いに任せてしまった。



キラとテルはモンスター相手に身構えると、向かっていった。


キラが青いモンスター。テルが赤いモンスターと戦う。



キラはドラゴンヘッドを叩き付けるように振るう。


モンスターは両手でガードするが、何度も同じ場所を叩かれたため、耐え切れず装甲が崩れる。



キラはモンスターを蹴飛ばし、カードをセットした。


《オフェンスキラー》


ダイヤドラゴンがキラの後ろに現れる。


キラはドラゴンヘッドを突き出し、それに合わせてダイヤドラゴンが口から虹色のビームを放つ。


モンスターはビームに直撃し、思いっ切り吹き飛ぶ。



《マッハキラー》


テルは高速で移動し、モンスターを撹乱する。

どうじに、首や脇腹など装甲のない部分を正確に斬っていく。


《スラッシュキラー》


テルの剣に紫色のオーラが纏われ、テルはモンスターを一閃する。


モンスターは勢い良く転がっていく。




キラとテルは同時にカードを引き、セットする。


《ファイナルキラー》

《ファイナルキラー》


キラは宙に浮き、テルは紫のオーラを剣に集める。


そして、それぞれの必殺技を同時に繰り出した。


「っダアアアアアア!」


ドラゴンダイヤキックが青いモンスターに炸裂する。


そして、テルの必殺技も、赤いモンスターを捉え、貫いた。




燃え盛る爆煙の中、キラとテルは互いを見つめ合った。


その頭上で、ダイヤドラゴンとバードアメジストがモンスターの命を喰らい、咆哮をあげる。


「グオオオオオォォォ!」

「カアアアアアァァァ!」



二つ声が響き渡る中、二人の戦士が炎の中で立っていた。






「・・・・・で、何?」


テルは不機嫌そうにキラに聞いた。


戦闘が終わったあと、強引に連れて来られたため、怒っている。



「そんな気にしないで、ほら食べて!」


そう言っておでんの皿をテルの前に差し出す。


まだおでんには少し早いだろうに。



テルはハフハフしながら大根を食べるキラを見ながら、同じく大根を口にした。


なんだか、とてもあったかい気がした。

二宮テル CV.早見沙織


アメジスト

デッキ構成


スラッシュキラー

マッハキラー×1

イリュージョンキラー×1

ディフェンスキラー

オフェンスキラー×2

サモンキラー×1

ファイナルキラー×1

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