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最終話:偶然じゃない、運命

「これは、どうしたものかな……」


パサランは呆れて物も言えなかった。

ケセランまでサティと一緒に死んでしまい、テルも死んだので勝者もいない。

そんなパサランの悩みも知らず、大きな光り輝く球体が現れた。


ジュエルバトルに関わった物全ての魂の集合体だ。

モンスターに食われたもの、戦いに敗れたもの。全ての魂を凝縮することで、その莫大なエネルギーを使って願いを叶えるのだ。


「……僕が使わないともったいないか」


まさかこのまま誰も願いを叶えず終わってしまうなどはありえない。

となれば、自分が願いを叶える方が無駄にならないだろう。


「僕は何を願えばいいのかな」


普通に考えるなら、ケセランに義理立てして時間を戻してもう一度サティと好き放題できるようにするべきだろう。

ただ、正直に言うと飽きた。

サティが勝利して当然の戦いをまた延々と繰り返すなど冗談ではない。何故あの二人は飽きないのか不思議でならない。


「…………」


頭に浮かぶのはキラのことだった。

あの少女は不思議だ。生きていても死んでいても多くの人に影響を与え続ける。現に今も、キラの言葉や行動が頭をよぎる。


期待していたと言えばそうだ。

本気ではなかったが、キラならば何か変えてくれるかもしれないと思って今まで接してきた。まさか本当にサティが死ぬことになるとは思いもしなかったが。


「……降参だよ、倉四季キラ。まさか僕が誰かに遠慮するなんてね」


これ以上ジュエルバトルでこの世界を荒らし続けるのは忍びない。そう思ったパサランは何を願うか決めた。

やはりこうやって誰かの思いを汲んで行動している自分がおかしくて、笑いそうになる。


「さようなら、倉四季キラ」







季節は四月。

始業式から一週間が経ち、中学生にとって授業が本格的に始まる時期。


「行ってきまーす」


キラは学校へ向かって走り出した。

今日はどんなことがあるのだろうか。

友達と何を話そうか。何を勉強するのか。

二度とない今日が始まるのだ。



キラと数人の子供たちがすれ違う。

トモヒコは友達と笑いながら小学校へ向かっている。


キラが通り過ぎた河川敷で、ゴウカが子供達と遊んでいた。

ボロボロのステージで、ヒーローがショーを開催している。


キラと数人の高校生がすれ違う。

ビューティーは女の子達とワイワイ言いながら美しく笑ってみせる。


キラと姉弟がすれ違った。

アキラはユカリがフウヤにベタベタしている事に気がつき、溜息をついた。


キラは下校の際に、インターンシップで訪れていた学生とすれ違った。

クランはキラを見送ると、笑みを浮かべた。


キラが通り過ぎた道のそばの教会で、結婚式が行われていた。

タツヤは、多くの人がカツヤ達を祝福してくれていることに感謝した。


キラと、遊園地帰りの姉妹がすれ違った。

マリスはリリーと腕を組み、リリーもマリスに寄りかかった。


キラと小さな女の子がすれ違った。

サティは母親を見つけ、迷子から解放された。


テルは、母親の容態が回復に向かっていることを知り、涙を流した。

テルの父親は、その背中を黙ってさすってやった。





キラは曲がり角で、誰かとぶつかってしまった。

その際、ダイヤモンドのアクセリーを落としてしまった。相手もアメジストのアクセサリーを落としたようだ。

アクセサリーを拾って、相手に渡そうとお互いに顔を見上げた。


藍色の長い髪だった。

キラは、この少女を知っている気がした。


「……ごめんなさい」


「いえ、こちらこそ」


謝罪のあと、アクセサリーを相手に渡した。これもいつから持っていたか覚えていない。ただ、自分にとって大事なものであるような気がするのだ。

少女とすれ違い、何だか名残惜しい気がして立ち止まってしまう。相手も同じく立ち止まっている。


思わず振り返り、もう一度しっかりと相手の顔を見つめた。



キラとテルは、微笑みながら、尋ねた。


「どこかで、会いました?」

ダイヤモンドの石言葉は、永遠の絆です。

ミラクル☆ダイヤモンド、いかがだったでしょうか。


最後まで読んで頂いた皆さん、ありがとうございました。

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