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37話:ミラクル☆ダイヤモンド

ニューイヤーが消滅してから8時間後、キラは目を覚まして辺りを見渡した。

近くには見張りをしているテルがいた。キラが起きたことに気づいたテルは、キラの隣へ近寄った。


「……大丈夫?」


テルはキラの体調を心配した。

あれだけの戦闘の後に立て続けにあんなことがあったのでは無理もない。

キラはテルに気を遣わせないように、大丈夫と答えた。


「……もう、誰もいないんだよね」


キラは俯いたまま呟いた。

あの少女が去ってから、少し休んだ二人は契約モンスターに乗って結界の外を見に行ったが、そこにはもう現実世界はなかった。


ジュエルワールドと同じように宝石が至る場所に生えており、遠目からでもニューイヤー並みの大きさのモンスターが各地で暴れまわっているのが見えた。

その惨状を見たキラは気を失い、先程まで寝てしまったのだ。


「本当に、行くのね?」


テルはキラに尋ねた。

テルがキラをあの塔の近くにまで運んだのはニューイヤーの結界の中が外よりも安全だからだ。


しかし、あの塔にいる少女に会うのは危険が多い。それでもキラはあの塔に行くと決めた。


「全部、パサランに聞かないといけない。何で外でモンスターが暴れているのか、あの子が何者なのか」


きっと、外にいる人達は助からない。そして結界の中にいた人達ももういない。ニューイヤーが気付かれないように生んだモンスター達に皆殺されてしまった。

だからこそ、問いたださなければならない。


あの二匹があれだけのモンスターを送り込んだ理由を。そして死んだ人達がもとに戻る方法がないか聞かなければ。


「テル……付いてきてくれる?」


「もちろんよ」


もうじいやも父親もいない。せめてキラだけでも命に替えて守ってみせる。テルはそう心に決めていた。

二人は覚悟を決め、神々しくそびえ立つ宝石の塔に向かった。





長い階段を登り、二人は最上階へたどり着いた。

地上から百メートル程の高さに広がる最上階は、市民体育館程の広がりをしており、ほぼ平らな床が広がっていた。

そして、部屋の奥。宝石で出来た玉座に座る少女の側に、ケセランとパサランはいた。


少女はニコニコ笑いながらキラに話し掛けた。


「待ってたよ」


テルは少女を無視し、ケセラン達に尋ねた。



「率直に聞くわ。その子は何者?」


ケセランはゲラゲラ笑いながら、テルの質問に答えた。


「こいつかぁ!?そうだなぁ……さしずめ、クォーツって所だなぁ。13人目のジュエラーさ」


「クォーツ……?」


テルはその名を呟いた。そして、もっともな疑問を口にする。


「どうして13人目のジュエラーが存在するの。ジュエラーは12人のはずよ」


騙していたのか、とケセランに問い詰めるがケセランは涼しい顔をしている。

そして、ゲラゲラ笑いながら答えた。


「まぁ仕方ないぜぇ。なんたってこいつは、この戦いの最初の勝者なんだからなぁ!」



言っている意味が分からなかった。戸惑うキラとテルにケセランは説明する。


「こいつはジュエラーの戦いで見事生き残り、願いを叶えたのさぁ。で、その叶えた願いっつーのがぁ……」


「もう一度、ジュエルバトルにまざりたいなぁって。そしたら時間が巻き戻ったの」


少女はニコニコ笑いながら答えた。その表情に悪意は微塵も感じられず、テルはうすら寒さを覚えた。

そこへ、キラが前に出て少女に尋ねた。


「あなた、名前は?」


「私は、サティだよ!」


「サティ……どうして、こんな戦いを繰り返したいなんて思ったの。この戦いで死んでいった人達の気持ちが分からないの!?」


「ごめんなさい。でも、楽しかったんだもん♪」


サティはぺこりと頭を下げるも、反省の素振りは欠片も見せなかった。

キラには分からなかった。こんな小さな女の子が、どうして命懸けの戦いを楽しいと思えたのか全然分からなかった。


「この遊びは本当に楽しくって……中でも、お姉ちゃんは何回も戦ってくれて、嬉しかったよ」


「あぁ、ダイヤモンド。お前は繰り返し繰り返し行われたこの戦いで、何度もクォーツと戦ったんだぜぇ」


キラは頭が遠くなりそうだった。何故彼らは多くの人が犠牲になるこの戦いを何度も繰り返し、全く心が痛まないのだろうか。

テルはキラの隣まで進み、サティに話し掛けた。


「もうやめなさい。充分楽しんだでしょう」


「えー、まだ13回目だよ?私、まだまだ遊びたいなぁ」


サティはポケットからデッキケースを取り出した。キラとテルもケースを取り出して構える。

サティはケースを上へ投げるとぴょんぴょん跳びはね、落ちてくるケースを受け取った。


「変身」


ケースをバックルに嵌め込むとサティの体に水晶で出来た装甲が纏われた。全身が多彩な色で彩られた装甲は眩いばかりの輝きを放ち、二人を圧倒する。

サティはけんけんぱー、と軽くステップを踏むとニコッと笑って二人を見つめた。


キラとテルも変身する。


「変身!!」




《スラッシュキラー》

《オフェンスキラー》


キラは右手に装着されたドラゴンヘッドから巨大なダイヤを発射し、テルはカードで強化された剣を握ってサティに接近する。


《イカロスキラー》


サティの左手に大きな両翼の翼が装着され、テルを軽く叩き飛ばす。そして、翼の鱗を発射してダイヤをいとも簡単に砕く。

一瞬でキラの目の前に移動すると、両翼の翼でキラの体を挟み込んだ。


「っああああ!!」


キラの悲鳴を聞くと同時に、テルは急いでキラを助けに行く。


《マッハキラー》


高速で移動するテルは、剣をサティに体当たりでぶつけて突き飛ばそうとする。サティはちょっと押されるだけだったが、その隙にキラがカードを使う。


《バーストキラー》


七色のダイヤが宙を舞い、次々とサティの翼にぶつかっていく。遂に翼は砕け散り、キラは解放される。

キラは続けてサティにダイヤを向かわせる。


《スピアキラー》


大きな三つ矛の槍が召喚され、サティはそれを振るってダイヤを一振りで全て砕く。

危険を感じたテルはカードを使う。


《ディフェンスキラー》


「かんけーないよ!」


サティの槍はテルの盾を突き破ってテルを突き飛ばす。


《スラッシュキラー》


キラは左手にダイヤソードを握り、右手のドラゴンヘッドと共にサティに攻撃を仕掛ける。

が、サティはまた一振りで全ての武装を打ち砕き、キラをぶっ飛ばす。


《ファングキラー》


サティの左手にドラゴンの牙が装填され、まるでマシンガンのような勢いで次々と発射されていく。

キラとテルの姿が見えなくなると、サティは二人に呼び掛けた。


「まだ、終わりじゃないよね?」




<《エターライト》>

<《エターライト》>


桃色と藍色の光が煙を吹き飛ばし、中からキラとテルがパワーアップして現れる。

サティはその様子を見て、思わず微笑んだ。


<《スラッシュキラー》>

<《イリュージョンキラー》>


キラはオオヌサから伸びた光の刃を振るってサティに攻撃する。

サティは槍で対抗し、武器をぶつけ合う片手間にカードを引き抜く。カードを手離すと蒸発するように消えていき、カードの効果が発揮される。


《レインキラー》


空から雨のように光が降り注ぎ、天井を破壊しながらテルの分身を消し去っていく。


<《スラッシュキラー》>


しかし本物のテルはサティの側まで接近することができ、サティの槍を砕くことに成功した。

サティはテルを蹴飛ばそうとし、テルはカードを使って防御する。


<《サイクロンキラー》>


黒い風がテルを囲い、サティを吹き飛ばす。

そこに、キラが近付いた。


<《アームキラー》>

《イカロスキラー》


キラの拳とサティの翼がぶつかり合う。

何度ぶつかり合っても拮抗していたが、そこへテルが割り込んだ。黒い風を纏ったテルに押されたサティに、キラの拳が叩き込まれる。


「っ!」


<《スラッシュキラー》>


ひび割れた翼もろとも、テルの剣がサティを吹っ飛ばした。サティは玉座にぶつかり、崩れ落ちた玉座と煙に包まれて姿が見えなくなった。



サティが吹っ飛ばされたのを見届けると、ケセランはゲラゲラ笑い始めた。


「おいおぃ、マジかぁ? まさか勝っちまうなんてなぁ!」


「……もう貴方達の企みも終わりよ。諦めなさい」


テルはそう言いつつも不安だった。

どうしてケセランはサティが負けたというのにこうも陽気でいるのだろうか。

そんなテルを嘲笑うかのように、ケセランは告げた。


「いやぁダイヤモンドちゃんよぉ、お前も代わりにしちゃ頑張るなぁ?」



「……え?」


ケセランは一体何を言っているのだ。

訳が分からなくなっている二人に、パサランが捕捉を始めた。


「さっき言った通りサティは最初の勝者だ。当然その時はサティも12人の内の一人だった。それが、またジュエルバトルを繰り返すことになったから、サティの代わりに空いた12人目のジュエラーを埋める必要があったんだ」


それがキラということだろうか。

だとするなら。テルは嫌な予感がした。


その様子を見てニヤニヤ笑いながら、ケセランが告げた。


「そぅ。倉四季キラが加わる前の正式なジュエラー、それがサティだぁ」


その瞬間、大きな音を立てて玉座の瓦礫の中から人が出てきた。それを見たケセランが、一目散にその人物に向かって飛んでいく。


「ぎゃははぁ! そんで今まで12回分のジュエルバトルで貯まった魂を溜め込んだ俺様がこいつに取り込まれるぅ! そうして出来んのが最強のジュエラァー!!!!!!」


ケセランが取り込まれると、辺りを強烈な光が覆う。そして、光が収まると、玉座の前には一人のジュエラーが立っていた。

パサランが話を続ける。


「そう、彼女こそ今までの全てのジュエルバトルの勝利者。多くの魂を取り込んで力とする最強のジュエラー……」


キラとテルは愕然としていた。そのジュエラーが纏っている宝石は二人が見慣れているものだった。

しかし、それとは周囲に放つプレッシャーが段違いだった。


サティが纏っている宝石は、王のもの。その美しさは全てを澄んで輝かせる白銀の光。

光輝く装甲を纏ったサティは、自分のジュエラーの名を告げた。




「私が、ミラクル☆ダイヤモンドだよ」


ダイヤモンドエターライト

デッキ構成


エターライト×1

スラッシュキラー×3

アームキラー

バーストキラー

オフェンスキラー×2

ディフェンスキラー×4

ブロッサムキラー×1

タイフーンキラー×1

フラッシュキラー×2

サモンキラー×1

ファイナルキラー×1

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