32話:クリスマスイヴ
「クリスマスパーティー?」
キラはテルに聞き返した。
放課後、街でテルと合流したらテルからそんな話を振られたのだ。
「ええ、毎年家でクリスマスパーティーを開いてたんだけど、今年はお母様のこともあって……ね」
テルの表情が少し暗くなる。
キラは数ヶ月前の事を思い出す。テルの母親の死はキラにとって無関係ではない。
俯いたキラを見て、テルは慌ててフォローを入れる。
「ごめんなさい。別に落ち込ませる気はないの。あの……それでね」
急に歯切れが悪くなり、キラは一体どうしたのかとテルを見つめる。
「だから今年は…家の者だけでパーティーをするんだけど」
キラは首を傾げた。一体それがどうしたのだろうか。
テルは暫く迷っていたが、思い切ってキラの手を握って話し掛けた。
「明日、パーティーに来てくれない!?」
「…………うん」
テルの勢いに押されて深く考えずに答えてしまった。
キラが事態を理解するのにはそれから数分の時間を要した。
「ハァッ!ダァッ!オオオオォォォォ!」
《エレメントキラー》
アキラは炎を纏った拳を鼠頭のモンスターに叩き込んで行き、次々と撃破する。
もっと強く、もっと強く。
ユカリに負けない力を欲したアキラは、あれから毎日のようにモンスターを探し回っていた。その様子を、上空からケセランとパサランが眺めていた。
「ったくダイヤモンドといいガーネットといい、少しはモンスターを配置する俺様の身にもなれよなぁ」
愚痴るケセランを横目に、パサランは鬼気迫る勢いでモンスターを駆逐するアキラを憐れんだ。
「しかしまぁ、あのガーネットの姿とは思えないね」
「誰だって化けの皮をはがしゃああなるさぁ。ジュエラーになれば自分の願望、本性をあらわにせずにいられない」
一心不乱に戦うアキラを肴にするかのように、ケセランはニヤニヤしながら語った。
パサランは、相変わらず趣味の悪い相方にほとほと呆れた。
しかし、ケセランの言っていることは間違いでもない。今までの経験から、パサランはそれが正しいと理解していた。
「もうすぐ、年末か」
いずれ来るであろう終局を、ケセランは思い返した。
「ねぇねぇフウヤくーん」
「何だ」
フウヤは馴れ馴れしく引っ付いて来るユカリを引きはがしながら、何の用か尋ねた。
「男の人と女の人が仲良くあるいてるの」
「…クリスマスだからな」
こいつは何が言いたいのだろう。
クリスマス間近に殺人鬼と一緒にいる俺を馬鹿にしたいのだろうか。
「俺、何でお前なんかといるんだろうな」
「酷いよフウヤくーん」
ポカポカ頭を叩いてくるユカリをあしらいながら、フウヤは今後の事を考えた。
(そろそろ、モンスターと戦わないとな)
ここ数日、契約モンスターにエサを与えていなかったため、そろそろやばくなっていたのだ。
明日はモンスターを倒す事を決め、とりあえずユカリから逃げる事にした。
「あ、鬼ごっこ?」
後ろから全速力で追って来るユカリを、フウヤは改めて鬱陶しく思った。
「まぁ、悪くはないか」
マリスは家に帰るやいなや、リリーに抱き着いた。
リリーは驚いて持っていた物を落としてしまう。
「ただいま〜……お姉ちゃん、それ何?」
マリスが尋ねると、リリーは落とした紙を拾ってマリスに手渡した。
マリスはそれを見て驚いた。
「これ、マウスランドの招待券?」
リリーは頬を赤く染めて、やんわりと微笑んだ。
「ええ。明日だけど……一緒に行きましょう」
本当はマリスと出掛ける事は両親に禁止されていた。
流石に両親もマリスを腫れ物を扱うようになってしまった。
それでも自分にはマリスを見捨てる訳にはいかなかった。
「……っお姉ちゃん大好き!!」
マリスは感極まってリリーに再度抱き着いた。
その暖かさに酔いしれながら、リリーはマリスを抱きしめ返した。
マリスの顔を自分に向かせ、そっと唇を重ねる。
愛しい妹と過ごす時間の事を想像し、リリーは胸を踊らせた。
士守タツヤ CV.三ツ矢雄二
士防カツヤ CV.難波圭一
トパーズ&トパーズⅡ
デッキ構成
アームキラー×2
ダブルキラー×1
エレメントキラー×4
ディフェンスキラー
サモンキラー×1
ファイナルキラー×1