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30話:少し、トライアングル

「キラ、お帰りなさい」


夜、修学旅行から帰って来たキラは母親に迎えられた。

車に乗って、家へと帰宅する。


(テルに連絡しようかな……)


車の中でテルに電話しようか迷ったが、テルも疲れていると思いメールするだけにした。

久しぶりの我が家を思いつつ、キラは瞳を閉じた。





「随分遅いお目覚めね」


キラが目を覚ますと、何故か自分の部屋にテルがいた。

昨日のことを振り返っても、家にテルが来た記憶はない。


「今来たのよ。その様子だと元気みたいね」


キラの内心を見透かしてか、テルが説明してくれた。

時計を見るともう朝の10時だ。


「……おはよう」


大分遅れた朝の挨拶にテルはクスッと微笑んだ。


「ちょっと、外に出ない?」


テルの申し出に、キラは頷いて応えた。




「これ」


家を出て少し歩くと、テルが野菜ジュースを差し出してきた。朝食を食べていないキラへの気遣いだろう。ありがたく受け取り、キラはストローを刺して飲み始めた。


「テル、野菜ジュース好きなの?」


「一応……嫌いではないわ」


テルと何気ない会話を続ける。これを普通の日常というのだろうか。

ただ、自分達の送っている毎日は決して普通ではない。


「皆で、生き残ることは出来ないのかな」


「難しいでしょうね」


無理だ。とは言えなかった。

テルは自分がキラを苦しめるようなことだけは出来ないと思っているし、する気も無かった。


二人は、一歩一歩歩いて行く。





アキラは目の前の状況を疑った。

とてもじゃないが信じられる物ではない。


「お前ら、何やってるんだ」


フウヤは鬱陶しそうに振り返る。ついでにキャンパスに落書きしているユカリをキャンパスから引きはがす。


「何の用だ。正直もう面倒な女に関わりたくないんだが」


「……ああ、てっきり二人で仲良くお絵かきしてるのかと思ったよ」


アキラは皮肉をたっぷり込めて二人の仲を冷やかした。

なぜだか分からないが、非常に気に入らない。



「フウヤくん、この人誰だっけ」


「ガーネットだ!」


ユカリの態度はアキラの怒りに拍車をかけた。

フウヤは係わり合いになるまいと無視を決め込む。


ユカリはアキラの機嫌などお構い無しに、話し掛ける。


「今フウヤくんと一緒にお絵かきしてるんだけど、ガちゃんもする?」


「「断る」」


アキラとフウヤが同時に拒否すると、ユカリは不満の声をあげる。


アキラは昔のことを思い出していた。

今いるこの場所は、昔アキラと弟とフウヤの三人でよく遊んだ大事な場所だ。


(どうしてこいつは、そこに九留実ユカリなんかを居させるんだ)


それはアキラにとって理解出来ることでは無かった。

ユカリと争うのは避けた方がいいだろうが、そんなことは関係ない。


「九留実、今すぐ出ていけ」


「ここお外だよ?」


「いいから出ていけ!」


アキラはデッキケースを取り出して脅しを掛ける。

ユカリはどうしてアキラが怒っているのか分からないので首を傾げる。


そこでフウヤが怠そうに口だけ割り込んだ。


「戦うならお前らだけでやれよ」


フウヤにとって勝手に自滅しあってくれという意味だったのだが、アキラはその言葉が信じられなかった。


こいつは三人の思い出に、この殺人鬼が足を踏み入れるのを許すのか。

アキラはすかさずフウヤに殴り掛かった。






タツヤとカツヤは並んで立っていた。


タツヤはデッキケースを前にかざし、腰にバックルを召喚する。

そして、ケースをバックルに差し込む。


「変身!」


タツヤの姿がトパーズに変わり、右手の拳をグッと握る。

続いて右手の装甲にカードを差し込む。


《ダブルキラー》


タツヤの体が光に包まれたかと思うと、その光はカツヤに移動する。

一際まばゆい輝きが周囲を照らすと、カツヤの姿もトパーズになっていた。


これがダブルキラー……他者にトパーズの力を与えるカードだ。

これを使うことにより、カツヤにトパーズの力を与えて二人のトパーズとして行動してきたのだ。


タツヤとカツヤはジュエルワールドに移動した。

二人の前には、縛られて意識を失った数人の男がいた。


「ようやく見つけたね」


「はい。でも……終わりじゃない」


二人の願いも、二人の戦いも、終わってなどいない。

これからが、二人の戦いなのだ。

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