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名と役割のはざまで~覇道総裁中華財閥ロマンス~  作者: Furi0804
第2章 株価防衛戦

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第2章(8)外の光

### 妻視点/呼吸


屋敷の中で、

この部屋だけ時間が止まっている。


——そのはずだった。


「……お嬢様」


声が、床すれすれの高さからした。


次の瞬間、猫のように細い影が滑り込んできた。


「小猫……?」


「しーっ」


小猫は唇に指を当て、

音もなく背後を確かめる。


そして、息を殺したまま囁いた。


「李家から連絡がありました」


心臓が、はねた。


「直接じゃありません。

でも——確実に」


小猫は、懐から小さなものを取り出す。


スマートフォン。


「伝言は、これだけ」


小猫は、正確に言葉をなぞる。


「――昊天さまは無事。

 10時に、テレビを見よ」


それだけだった。


慰めも、説明も、ない。


でも——

それで十分だった。


私は、震える手でスマホを受け取る。


画面が灯る。

久しぶりに見る、“外の世界の光”。


経済ニュースの速報が、流れていた。


《龍騰グループ・李昊天総裁

 本日10時より、緊急記者会見》


小猫が、小さく息を呑む。


「……来ます」


時計を見る。

9時58分。


画面が切り替わる。


無機質な会見場。

フラッシュ。

ざわめき。


そして——

見慣れた面差し。


背筋を伸ばし、

感情を切り落とした顔で立つ、夫。


生きている。

少しやつれていたが、顔を上げ、カメラ越しにこちらをまっすぐに見つめている。


私は、この家で初めて息をした。

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